表参道
根津美術館では企画展、「文様のちからー技法に託すー」が開かれています。
会期は2月13日(日)までです。

14点の衣装など、染織品を中心に文様とそれをつくる技法に焦点を当てた展覧会です。
「茶地立涌雪持松模様縫箔」 桃山~江戸時代 17世紀


能の子方の小さな衣装で、立涌文の地に雪を被った松を刺繍した、
鮮やかな図柄です。
「白地青海波に扇面散模様縫箔」 江戸時代 17世紀

金箔を貼って模様を作る摺箔に、刺繍を加えた縫箔です。
扇の中には菊、藤、柘榴、紅葉などが刺繍で描かれています。
よく使われていたらしく、摺箔はかなりすり減っています。
桃山時代の刺繍の技法を使っていますが、袖幅の寸法は
江戸時代のものだそうです。
「紅浅葱段籠目草花模様唐織」 江戸時代 19世紀


籠目文の段替わりの地に菊と蝶を織り出して、華やかです。
衣装を包む畳紙に「「杜若」 里の女 宝生流」と書かれてあるそうです。
里の女は能の「杜若」でのシテの役で、後に装束を改めて杜若の精として
登場します。
「薄浅葱地槍梅鶴亀模様直垂」 江戸時代 19世紀

狂言方が演じる「三番叟」に用いられる衣装で、直立した梅に鶴亀を配した、
目出度い図柄です。
「扇丸草花模様裂」 江戸時代 17世紀

小袖の裂で、絹地に縫い締め絞り、鹿の子絞り、刺繍、摺箔、描絵が
施されています。
「誰が袖図屏風」 六曲一双 江戸時代・17世紀

金地の画面の背景に、朝顔の描かれた腰障子を置いてあります。
右隻の衣桁には亀甲つなぎ、桐竹唐草、鹿の子絞り、扇散らしなどの衣装が掛かり、
印籠や帯も下がり、畳には双六盤が置いてあります。
右隻


左隻には雪輪文、桜花文などの衣装や、男物の袴、紐のついた子ども用の振袖が掛かり、
手拭い掛けもあります。
冊子と硯箱の載った文机も置いてあって、主が教養人であることを示しています。
左隻

「青花龍鳳文梅瓶」 景徳鎮窯 元時代 14世紀

青花(染付)の瓶で、何段にも区切って文様を付けるのが元時代の特徴とのことです。
肩に如意(僧の持つ、孫の手の形をした道具)の頭の形の文様、胴に龍鳳凰、
裾にラマ式蓮弁文をめぐらせています。
「 貼金緑松石象嵌花唐草文鏡」 中国・唐時代 8世紀

直径5.5㎝のとても小さな青銅製で、金が貼ってあり、 トルコ石の象嵌が施された、
華やかな鏡です。
「雲龍八花鏡」 中国・唐時代 8世紀

体を大きくうねらせた龍が鋳出されています。
「雲龍堆朱盆」 中国・明時代 万暦17年(1589)

堆朱は漆を男百回も塗り重ねて厚い層を作り、それを彫って模様を
浮き出させる技法です。
岩、波、霊芝雲や、皇帝のみが使用した五爪の龍を彫り出しています。
「牡丹蝶図鐔」 加納夏雄 明治時代 19世紀

幕末から明治にかけての彫金の名人、加納夏雄(1828-1898)の作です。
鉄地に牡丹を浮き彫りし、花芯には金象嵌を施してあります。
展示室5のテーマは新年恒例の「百椿図」の展示です。
「百椿図」(部分) 伝 狩野山楽 江戸時代・17世紀

播磨明石藩藩主の松平忠国(1597~1659)の注文により多種類の椿を狩野山楽が
描いたとされ、忠国とその子で老中にもなった信之(1631-86)の2代にわたって、
それぞれの花に著名人に漢詩や和歌の賛を書いてもらっています。
賛を寄せたのは49人で、徳川光圀、烏丸光広、北村季吟、松花堂昭乗などがいます。
本之巻の巻頭には「いさはや」という品種に徳川光圀が和歌を寄せています。
きみもいざ はやゆきて見よ こせやまの つらつらつばき はるすぎぬまに
いさはやといふつばきのうつしえをみて
本歌は万葉集の坂門人足の歌です。
巨勢山の つらつら椿 つらつらに 見つつ偲ばな 巨勢の春野を
2012年の「百椿図展」の記事です。
初公開の「邸内遊楽図屏風」も展示されています。
「邸内遊楽図屏風」(部分) 江戸時代 17世紀

若い男が客をもてなす若衆茶屋の遊びを描いたもので、この題材の屏風は7点、
現存しているそうです。
諸肌脱ぎの男が腕に子供を乗せる芸を披露し、鼓が囃しています。
碁盤や煙草盆も見え、手前では男と女が腕相撲をしています。
平曲を語る琵琶法師、双六をする男の首に手を掛け引っ張る女、茶屋の外で
居眠りをしながら主を待つ駕籠舁の従者などが描かれた面白い屏風です。
展示室6のテーマは「茶湯始―新年を祝うー」です。
年の始めの茶の湯を茶湯始と呼んでいました。
「赤楽富士茶碗」 伝覚々斎作 江戸時代 17~18世紀

ぶっくりした茶碗に富士山のような太い線が入っています。
覚々斎(1678-1730)は表千家6代家元です。
「祥瑞松竹梅文水指」 景徳鎮窯 明時代 17世紀

松竹梅に鳥や鹿、三つ輪などが賑やかに描かれています。
「南蛮海老耳水指」 焼締陶器 ベトナム 17世紀

海老の形をした耳が付いているのがポイントです。
海老は不老長寿を表す吉祥文とされています。
展覧会のHPです。
chariot
根津美術館では企画展、「文様のちからー技法に託すー」が開かれています。
会期は2月13日(日)までです。

14点の衣装など、染織品を中心に文様とそれをつくる技法に焦点を当てた展覧会です。
「茶地立涌雪持松模様縫箔」 桃山~江戸時代 17世紀


能の子方の小さな衣装で、立涌文の地に雪を被った松を刺繍した、
鮮やかな図柄です。
「白地青海波に扇面散模様縫箔」 江戸時代 17世紀

金箔を貼って模様を作る摺箔に、刺繍を加えた縫箔です。
扇の中には菊、藤、柘榴、紅葉などが刺繍で描かれています。
よく使われていたらしく、摺箔はかなりすり減っています。
桃山時代の刺繍の技法を使っていますが、袖幅の寸法は
江戸時代のものだそうです。
「紅浅葱段籠目草花模様唐織」 江戸時代 19世紀


籠目文の段替わりの地に菊と蝶を織り出して、華やかです。
衣装を包む畳紙に「「杜若」 里の女 宝生流」と書かれてあるそうです。
里の女は能の「杜若」でのシテの役で、後に装束を改めて杜若の精として
登場します。
「薄浅葱地槍梅鶴亀模様直垂」 江戸時代 19世紀

狂言方が演じる「三番叟」に用いられる衣装で、直立した梅に鶴亀を配した、
目出度い図柄です。
「扇丸草花模様裂」 江戸時代 17世紀

小袖の裂で、絹地に縫い締め絞り、鹿の子絞り、刺繍、摺箔、描絵が
施されています。
「誰が袖図屏風」 六曲一双 江戸時代・17世紀

金地の画面の背景に、朝顔の描かれた腰障子を置いてあります。
右隻の衣桁には亀甲つなぎ、桐竹唐草、鹿の子絞り、扇散らしなどの衣装が掛かり、
印籠や帯も下がり、畳には双六盤が置いてあります。
右隻


左隻には雪輪文、桜花文などの衣装や、男物の袴、紐のついた子ども用の振袖が掛かり、
手拭い掛けもあります。
冊子と硯箱の載った文机も置いてあって、主が教養人であることを示しています。
左隻

「青花龍鳳文梅瓶」 景徳鎮窯 元時代 14世紀

青花(染付)の瓶で、何段にも区切って文様を付けるのが元時代の特徴とのことです。
肩に如意(僧の持つ、孫の手の形をした道具)の頭の形の文様、胴に龍鳳凰、
裾にラマ式蓮弁文をめぐらせています。
「 貼金緑松石象嵌花唐草文鏡」 中国・唐時代 8世紀

直径5.5㎝のとても小さな青銅製で、金が貼ってあり、 トルコ石の象嵌が施された、
華やかな鏡です。
「雲龍八花鏡」 中国・唐時代 8世紀

体を大きくうねらせた龍が鋳出されています。
「雲龍堆朱盆」 中国・明時代 万暦17年(1589)

堆朱は漆を男百回も塗り重ねて厚い層を作り、それを彫って模様を
浮き出させる技法です。
岩、波、霊芝雲や、皇帝のみが使用した五爪の龍を彫り出しています。
「牡丹蝶図鐔」 加納夏雄 明治時代 19世紀

幕末から明治にかけての彫金の名人、加納夏雄(1828-1898)の作です。
鉄地に牡丹を浮き彫りし、花芯には金象嵌を施してあります。
展示室5のテーマは新年恒例の「百椿図」の展示です。
「百椿図」(部分) 伝 狩野山楽 江戸時代・17世紀

播磨明石藩藩主の松平忠国(1597~1659)の注文により多種類の椿を狩野山楽が
描いたとされ、忠国とその子で老中にもなった信之(1631-86)の2代にわたって、
それぞれの花に著名人に漢詩や和歌の賛を書いてもらっています。
賛を寄せたのは49人で、徳川光圀、烏丸光広、北村季吟、松花堂昭乗などがいます。
本之巻の巻頭には「いさはや」という品種に徳川光圀が和歌を寄せています。
きみもいざ はやゆきて見よ こせやまの つらつらつばき はるすぎぬまに
いさはやといふつばきのうつしえをみて
本歌は万葉集の坂門人足の歌です。
巨勢山の つらつら椿 つらつらに 見つつ偲ばな 巨勢の春野を
2012年の「百椿図展」の記事です。
初公開の「邸内遊楽図屏風」も展示されています。
「邸内遊楽図屏風」(部分) 江戸時代 17世紀

若い男が客をもてなす若衆茶屋の遊びを描いたもので、この題材の屏風は7点、
現存しているそうです。
諸肌脱ぎの男が腕に子供を乗せる芸を披露し、鼓が囃しています。
碁盤や煙草盆も見え、手前では男と女が腕相撲をしています。
平曲を語る琵琶法師、双六をする男の首に手を掛け引っ張る女、茶屋の外で
居眠りをしながら主を待つ駕籠舁の従者などが描かれた面白い屏風です。
展示室6のテーマは「茶湯始―新年を祝うー」です。
年の始めの茶の湯を茶湯始と呼んでいました。
「赤楽富士茶碗」 伝覚々斎作 江戸時代 17~18世紀

ぶっくりした茶碗に富士山のような太い線が入っています。
覚々斎(1678-1730)は表千家6代家元です。
「祥瑞松竹梅文水指」 景徳鎮窯 明時代 17世紀

松竹梅に鳥や鹿、三つ輪などが賑やかに描かれています。
「南蛮海老耳水指」 焼締陶器 ベトナム 17世紀

海老の形をした耳が付いているのがポイントです。
海老は不老長寿を表す吉祥文とされています。
展覧会のHPです。
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