東京
東京駅の東京ステーションギャラリーでは「ハリー・ポッターと魔法の歴史展」が
開かれています。
会期は3月27日(日)までです。

J.K.ローリング(1965~)の小説、「ハリー・ポッター」の舞台、ホグワーツ魔法魔術学校の
各科目に沿って、大英図書館の所蔵する魔法にちなんだ資料を紹介する展覧会です。
第1章 旅
ジム・ケイ 「(ハリー・ポッターと賢者の石)の9と3/4番線の習作」
2015年 ブルームズベリー社蔵


ロンドンのキングス・クロス駅の9番線と10番線の間にある、魔法の世界につながる駅です。
荷物やシロフクロウのヘドウィグを載せた台車を押すハリー・ポッターの姿も見えます。
キングス・クロス駅はスコットランドに向かう線の起点で、ホグワーツもスコットランド
辺りにあるということです。
学校の近くの駅はホグズミード駅で、映画のロケではヨークシャーのゴースランド駅が
使われていて、映画で観た時、お伽話のような駅の佇まいに驚いたものです。
第2章 魔法薬学
ヤコブ・マイデンバッハ 「健康の庭」 1491年 大英図書館蔵

初めて印刷された博物学の本で、このページには患者の尿を調べて病気の診断をする
学者が描かれています。
手前にはサンプルの入った筒を持った人たちがいて、順番を争っているのでしょうか、
中には喧嘩している人もいます。
尿検査は昔からあった診断方法のようです。
第3章 錬金術
ジェームズ・スタンディッシュ 「リプリー・スクロール」 16世紀 大英図書館蔵




長さ6mの巻物で、イギリスの錬金術師、ジョージ・リプリーにちなんで命名されています。
錬金術は金などの貴金属を他の材料を使って造り出そうとするする術で、古代エジプトで
すでに始まっています。
「賢者の石」は卑金属を金や銀に変えたり、人を不老不死にする力を持つ石のことです。
結局、成功することはなく、水銀を使ったりしたため、多くの錬金術師が命を縮めましたが、
近代化学の発展に寄与もしています。
なお、現代の核分裂の技術を使えば金の生成は可能ですが、採算は合わないそうです。
第4章 薬草学
「薬物誌(医薬の材料の書)」 14世紀 大英図書館蔵

マンドレイク(マンドラゴラ)は神経に作用する薬草ですが、枝分かれした太い根は
人の形にも似ています。
引き抜くと悲鳴を上げると言われ、その声を聞いた者は発狂して、時には死んで
しまうそうです。
第5章 呪文学
魔法には不可欠の呪文についての展示です。
日本でも仏教諸派で呪文が唱えられています。
第6章 天文学
「天文学論集」 12世紀 大英図書館蔵

魔法使いのシリウス・ブラックの名の元になっているシリウスはおおいぬ座の星で、
恒星の中で一番明るい星です。
実際のおおいぬ座は右を向いた形をしていて、シリウスは口の所にあります。
日本では冬の南の空に見えます。
第7章 占い学
アルマ・ブロードブリッジ 「茶葉占い」 1887年 ヨーク・アート・ギャラリー蔵

ティーカップに残った紅茶の茶葉の形を見て占っています。
カップに残ったトルココーヒーの粉で占う方法もあります。
日本でも、茶柱が立つと良いことがあるといいます。
第8章 闇の魔術に対する防衛術
「動物誌」 1595年 大英図書館蔵

見たり息を吹きかけただけで人を殺すといわれるバジリスクです。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 「魔法円」 1886年 テート蔵


ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(1849-1917)はイギリスの古典主義の
画家です。
大鍋で何かを煮ている魔女は三日月鎌を持ち、棒で結界と思われる円を描いています。
円を鴉と蛙が囲み、奥の洞窟の前ではこちらを見ている人がいます。
シェイクスピアの「マクベス」に登場する3人の魔女は蛇の切り身や蝙蝠の羽根などと
一緒に蛙も煮込んでいるので、この蛙もぼやぼやしていると鍋に放り込まれてしまう
かもしれません。
私が高校生の時、学芸会で「マクベス」を演じたクラスがありましたが、黒い衣を着た
3人の魔女が呪文を唱えながら大鍋を掻きまわす様は恐ろしげでした。
第9章 魔法生物飼育学
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 「人魚」
1900年 ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ蔵、ロンドン

人魚は多くの画家に好まれ、描かれています。
背景の岩はモネのよく描いたノルマンディーのエトルタの景色に
ちょっと似ています。
マヌエル・フィレス 「動物の性質について」 16世紀 大英図書館蔵

マヌエル・フィレスは東ローマ帝国の詩人で、想像上の動物についても書いています。
写本に描かれているのは西洋ではおなじみのユニコーン(一角獣)です。
2013年に国立新美術館で、フランス国立クリュニー中世美術館の所蔵する、
「貴婦人と一角獣」という名の6枚の豪華なタピスリーが展示されていました。
(参考)
「貴婦人と一角獣」より「視覚」 1500年頃

貴婦人は座って鏡を持ち、一角獣は前脚を貴婦人の膝に乗せて嬉しそうに
自分の顔を映しています。
鏡に映る自分の姿を自分と認識出来るので、ユニコーンの知能はかなり高いようです。
「貴婦人と一角獣展」の記事です。
第10章 過去、現在、未来
世界中のさまざまな言語に翻訳された書籍の展示です。
以前、ロンドンに行った時、大英博物館のミュージアムショップでグリフィンドール寮と
スリザリン寮のネクタイを売っていたのを思い出します。
スリザリンのエンブレムの入ったネクタイを締めるのはちょっと勇気がいるかも
しれません。
大英博物館には映画、「賢者の石」に登場した「ルイス島のチェス駒」も所蔵されています。
(参考)
「ルイス島のチェス駒」 1150‐1200年
イギリス、ルイス島 おそらくノルウェーで制作 セイウチの牙、クジラの歯

キング、クイーン、ビショップ、ナイトなどが揃っています。
イギリスは「ハリー・ポッター」の他にも、「ピーター・ラビット」「不思議の国のアリス」
「ドリトル先生」「たのしい川べ」「メアリー・ポピンズ」など、ファンタジーや動物との
交流を題材にした優れた児童文学を「生んでいます。
有力な言語である英語で書かれていることも原因の一つでしょうが、不思議なこと
ではあります。
展覧会のHPです。
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東京駅の東京ステーションギャラリーでは「ハリー・ポッターと魔法の歴史展」が
開かれています。
会期は3月27日(日)までです。

J.K.ローリング(1965~)の小説、「ハリー・ポッター」の舞台、ホグワーツ魔法魔術学校の
各科目に沿って、大英図書館の所蔵する魔法にちなんだ資料を紹介する展覧会です。
第1章 旅
ジム・ケイ 「(ハリー・ポッターと賢者の石)の9と3/4番線の習作」
2015年 ブルームズベリー社蔵


ロンドンのキングス・クロス駅の9番線と10番線の間にある、魔法の世界につながる駅です。
荷物やシロフクロウのヘドウィグを載せた台車を押すハリー・ポッターの姿も見えます。
キングス・クロス駅はスコットランドに向かう線の起点で、ホグワーツもスコットランド
辺りにあるということです。
学校の近くの駅はホグズミード駅で、映画のロケではヨークシャーのゴースランド駅が
使われていて、映画で観た時、お伽話のような駅の佇まいに驚いたものです。
第2章 魔法薬学
ヤコブ・マイデンバッハ 「健康の庭」 1491年 大英図書館蔵

初めて印刷された博物学の本で、このページには患者の尿を調べて病気の診断をする
学者が描かれています。
手前にはサンプルの入った筒を持った人たちがいて、順番を争っているのでしょうか、
中には喧嘩している人もいます。
尿検査は昔からあった診断方法のようです。
第3章 錬金術
ジェームズ・スタンディッシュ 「リプリー・スクロール」 16世紀 大英図書館蔵




長さ6mの巻物で、イギリスの錬金術師、ジョージ・リプリーにちなんで命名されています。
錬金術は金などの貴金属を他の材料を使って造り出そうとするする術で、古代エジプトで
すでに始まっています。
「賢者の石」は卑金属を金や銀に変えたり、人を不老不死にする力を持つ石のことです。
結局、成功することはなく、水銀を使ったりしたため、多くの錬金術師が命を縮めましたが、
近代化学の発展に寄与もしています。
なお、現代の核分裂の技術を使えば金の生成は可能ですが、採算は合わないそうです。
第4章 薬草学
「薬物誌(医薬の材料の書)」 14世紀 大英図書館蔵

マンドレイク(マンドラゴラ)は神経に作用する薬草ですが、枝分かれした太い根は
人の形にも似ています。
引き抜くと悲鳴を上げると言われ、その声を聞いた者は発狂して、時には死んで
しまうそうです。
第5章 呪文学
魔法には不可欠の呪文についての展示です。
日本でも仏教諸派で呪文が唱えられています。
第6章 天文学
「天文学論集」 12世紀 大英図書館蔵

魔法使いのシリウス・ブラックの名の元になっているシリウスはおおいぬ座の星で、
恒星の中で一番明るい星です。
実際のおおいぬ座は右を向いた形をしていて、シリウスは口の所にあります。
日本では冬の南の空に見えます。
第7章 占い学
アルマ・ブロードブリッジ 「茶葉占い」 1887年 ヨーク・アート・ギャラリー蔵

ティーカップに残った紅茶の茶葉の形を見て占っています。
カップに残ったトルココーヒーの粉で占う方法もあります。
日本でも、茶柱が立つと良いことがあるといいます。
第8章 闇の魔術に対する防衛術
「動物誌」 1595年 大英図書館蔵

見たり息を吹きかけただけで人を殺すといわれるバジリスクです。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 「魔法円」 1886年 テート蔵


ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(1849-1917)はイギリスの古典主義の
画家です。
大鍋で何かを煮ている魔女は三日月鎌を持ち、棒で結界と思われる円を描いています。
円を鴉と蛙が囲み、奥の洞窟の前ではこちらを見ている人がいます。
シェイクスピアの「マクベス」に登場する3人の魔女は蛇の切り身や蝙蝠の羽根などと
一緒に蛙も煮込んでいるので、この蛙もぼやぼやしていると鍋に放り込まれてしまう
かもしれません。
私が高校生の時、学芸会で「マクベス」を演じたクラスがありましたが、黒い衣を着た
3人の魔女が呪文を唱えながら大鍋を掻きまわす様は恐ろしげでした。
第9章 魔法生物飼育学
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 「人魚」
1900年 ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ蔵、ロンドン

人魚は多くの画家に好まれ、描かれています。
背景の岩はモネのよく描いたノルマンディーのエトルタの景色に
ちょっと似ています。
マヌエル・フィレス 「動物の性質について」 16世紀 大英図書館蔵

マヌエル・フィレスは東ローマ帝国の詩人で、想像上の動物についても書いています。
写本に描かれているのは西洋ではおなじみのユニコーン(一角獣)です。
2013年に国立新美術館で、フランス国立クリュニー中世美術館の所蔵する、
「貴婦人と一角獣」という名の6枚の豪華なタピスリーが展示されていました。
(参考)
「貴婦人と一角獣」より「視覚」 1500年頃

貴婦人は座って鏡を持ち、一角獣は前脚を貴婦人の膝に乗せて嬉しそうに
自分の顔を映しています。
鏡に映る自分の姿を自分と認識出来るので、ユニコーンの知能はかなり高いようです。
「貴婦人と一角獣展」の記事です。
第10章 過去、現在、未来
世界中のさまざまな言語に翻訳された書籍の展示です。
以前、ロンドンに行った時、大英博物館のミュージアムショップでグリフィンドール寮と
スリザリン寮のネクタイを売っていたのを思い出します。
スリザリンのエンブレムの入ったネクタイを締めるのはちょっと勇気がいるかも
しれません。
大英博物館には映画、「賢者の石」に登場した「ルイス島のチェス駒」も所蔵されています。
(参考)
「ルイス島のチェス駒」 1150‐1200年
イギリス、ルイス島 おそらくノルウェーで制作 セイウチの牙、クジラの歯

キング、クイーン、ビショップ、ナイトなどが揃っています。
イギリスは「ハリー・ポッター」の他にも、「ピーター・ラビット」「不思議の国のアリス」
「ドリトル先生」「たのしい川べ」「メアリー・ポピンズ」など、ファンタジーや動物との
交流を題材にした優れた児童文学を「生んでいます。
有力な言語である英語で書かれていることも原因の一つでしょうが、不思議なこと
ではあります。
展覧会のHPです。
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