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「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」 その1 国立西洋美術館
上野
chariot

国立西洋美術館では「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」が
開かれています。
会期は2023年1月22日(日)までです。

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ベルリン国立ベルクグリューン美術館は美術商、ハインツ・ベルクグリューン
(1914-2007)のコレクションを収蔵、展示する美術館です。

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ハインツ・ベルクグリューンはベルリンのユダヤ人の家に生まれ、1936年にナチスの
迫害を逃れてアメリカに渡り、第2次世界大戦で従軍の後、パリで画廊を開いています。
ベルクグリューンは限られた作家の作品を収集し、その厳選されたコレクションの
収蔵のため、2004年にベルリン国立ベルクグリューン美術館が発足しています。
展示されているのはセザンヌ、ピカソ、マティス、クレー、ジャコメッティの4人の作品です。

記事は2回に分け、今日はピカソを載せます。
ピカソの作品は約50点あります。
展示作品は一部を除き、撮影可能です。

パブロ・ピカソ 「座るアルルカン」 水彩 1905年
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初期の、青の時代に続くばら色の時代の作品で、赤色に深みがあります。
痩せたアルルカンはどこか儚げです。

パブロ・ピカソ 『裸婦「アビニヨンの娘たち」のための習作』 1907年
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ピカソの初期の代表作の習作です。
この頃、ピカソはアフリカ彫刻に関心を持ち、作品に取り入れています。

パブロ・ピカソ 「丘の上の集落(オルタ・デ・エブロ)」 1909年
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セザンヌ風のキュビズムの時代が始まっています。
オルタ・デ・エブロはカタルーニャ地方の町で、壁の色も赤茶けています。

パブロ・ピカソ 「ポスターのある風景」 1912年
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ソルグは南仏のアヴィニヨン近くの町で、ピカソは2012年に訪れています。
初期の分析的キュビズムと言われた時から、色彩が豊富になる総合的キュビズムへの
移行が始まっています。
KUBの文字は当時売られていたブイヨンの商品名で、キューブ(CUBE)すなわち
キュビズムの掛け言葉になっているそうです。

パブロ・ピカソ 「一房のブドウのある静物」 1914年
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木屑も貼り付けたコラージュも行なっています。
コラージュはピカソや共にキュビズムを追及したジョルジュ・ブラックが始めています。
ピカソはいろいろなことを試す人です。

パブロ・ピカソ 「トランプのカード、煙草、瓶、グラスのある静物」 1914年
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重層的な構成です。

パブロ・ピカソ 「窓辺の静物、サン=ラファエル」 グアッシュ 1919年
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サン=ラファエルは南仏のリゾートです。
マティスのような趣きがあります。

パブロ・ピカソ 「座って足を拭く裸婦」 1921年
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同じくキュビズムを追及していたジョルジュ・ブラックが第1次世界大戦で徴兵されたり、
イタリア旅行で古代文化に触れたことなどをきっかけに、新古典主義の時代に入ります。
モデルは妻のオルガで、彫刻のような堂々とした姿です。

パブロ・ピカソ 「緑色のマニキュアをつけたドラ・マール」 1936年
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ドラ・マールはフランスの写真家で、ピカソの「泣く女」のモデルにもなっています。
パリでドラ・マールと会った年の作品です。
下から上を見上げる安定した画面で、色彩も落着いています。

パブロ・ピカソ 「黄色のセーター」 1939年
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華やかな色彩で、網目まで細かく描き出したセーターが印象的です。
モデルはドラ・マールです。
額縁はアカンサスの葉を彫り込んだ金塗りで、17世紀前半のスペイン製です。
ベルクグリューンはこの力強い絵に合わせるために選んだそうです。

パブロ・ピカソ 「多色の帽子を被った女の頭部」 1939年
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椅子に座り、頬杖を突いた女性です。
明るい色彩で、装飾性もあります。

パブロ・ピカソ 「大きな横たわる裸婦」 1942年
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横195㎝の大きな作品です。
1939年に第2次世界大戦が始まり、1940年にはパリが陥落し、フランスは降伏します。
「ゲルニカ」を描いたピカソはナチスの受けが良い筈がなく、1944年にパリが解放
されるまで、監視された生活を送ることになります。
置かれた状況を映して、暗鬱な雰囲気の漂う裸婦像です。

パブロ・ピカソ 「本を読む女」 1953年
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簡潔な造形で、落着いた雰囲気があります。

パブロ・ピカソ 「アルジェの女たち(ヴァージョンL)」 1955年
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ピカソは晩年、過去の巨匠の作品を自分流に描いた作品を多く描いています。
ドラクロワの「アルジェの女」(1834年)を基にしています。

パブロ・ピカソ 「闘牛士と裸婦」 1970年
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1973年に亡くなったピカソの最晩年の作品で、思うがままにのびのびと描いています。

パブロ・ピカソ 「男と女」 1969年
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こちらは国立西洋美術館の所蔵で、梅原龍三郎の寄贈です。

とても充実したコレクションで、画業の長いピカソの作品を初期から晩年まで、
たっぷり味わうことが出来ました。

展覧会のHPです。

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