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「江戸絵画の華」展  第2部 京都画壇と江戸琳派 出光美術館
日比谷・有楽町
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日比谷の出光美術館では「江戸絵画の華」展の第2部「京都画壇と江戸琳派」が
開かれています。
会期は3月26日(日)までです。

江戸絵画img505 (2)


アメリカのエツコ&ジョー・プライス夫妻のコレクションの一部が2019年に
出光美術館のコレクションに加わって初めて公開される展覧会です。
第2部は京都の円山応挙と江戸の酒井抱一を中心にした展示です。

先ず、京都画壇の作品の展示です。

「懸崖飛泉図屏風」 円山応挙 寛政元年(1776)
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左隻部分
江戸絵画img507

右隻
江戸絵画img505 (11)

注文主の居室の都合なのか、四曲・八曲一双という珍しい形です。
右上の滝から左下の松まで水の流れが続き、間には雌雄の鹿も見えます。
奥行きと広がりのある、静かな情景です。

「赤壁図」 円山応挙 安永5年(1789)
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北宋の詩人、蘇軾(蘇東坡)が「前赤壁賦」と「後赤壁賦」に詠んだ景色です。
舟遊びしている長江の水面には月が映っています。

「雪松図屏風」(左隻) 源琦 寛政4年(1792)
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源琦(1747 – 1797)は円山応挙の高弟で、長沢蘆雪と並び称せられていました。
三井記念美術館の所蔵する応挙の「雪松図屏風」の忠実な模写で、最初見た時、
応挙の屏風があると思いました。
よく観ると、応挙に比べ、筆遣いがやや穏やかになっています。

「虎図」 円山応挙 天明5年(1785)
 江戸絵画img505 (3)

掛軸の縦長の画面に頭と前脚だけを描き入れて、迫力があります。
毛並みも一本ずつ丁寧に描かれ、質感が伝わってきます。

虎の絵は他に源琦、森狙仙、岸駒の描いたものがあります。

続いて、江戸琳派の酒井抱一、酒井道一、鈴木其一、鈴木守一、中村芳中、
中野其明などの作品の展示です。
中村芳中は大阪の絵師ですが、尾形光琳に私淑しています。

「四季草花図・三十六歌仙図色紙貼交屏風」(左隻) 酒井抱一 江戸時代
江戸絵画img505 (10)

金砂子地の屏風の右から左に季節の草花が移ろい、左隻には朝顔、紅葉、葡萄、
ツワブキなどが描かれ、三十六歌仙の色紙が貼ってあります。
すべて抱一が手掛けた作とのことです。

紀貫之

さくらちるこの下風はさむからでそらにしられぬ雪ぞふりける

源順
水の面に照る月なみをかぞふればこよひぞ秋のもなかなりける

中務
鶯の声なかりせば 雪消えぬ 山里いかで春を知らまし

「十二か月花鳥図」 酒井抱一 江戸時代
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十二幅対の一部です。
人気の高い画題だったようで、現在6種類残っており、工房で制作していたと
思われます。

「扇面流し図屏風」(右隻) 鈴木守一 江戸時代~明治時代
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江戸琳派風の鮮やかな色彩の流水に扇面を流しています。
右隻の扇には紅梅、菫と蕨、百合とセンノウ、牡丹、薄と鶉などが描かれています。
武者絵は平家物語の屋島の戦いで、平家方の平景清が源氏方の美尾谷十郎国俊の
兜を掴んだら錣(しころ)が引き千切られたという場面です。
鈴木守一(1823-1889)は鈴木其一の子で、江戸琳派の画風を継いでいます。


第1部の「若冲と江戸絵画」もそうでしたが、今回も逸品揃いの展示で、
プライスコレクションの質の高さには感心します。

展覧会のHPです。

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【2023/02/25 20:04】 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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