三越前
日本橋三越本店7階催物会場では「エミール・ガレとドーム兄弟」展が開かれています。
会期は2月27日(月)まで、入場料は一般1000円です。

諏訪市の北澤美術館の開館40周年を記念して、同館の所蔵するエミール・ガレと
ドーム兄弟のガラス作品、約90点が展示されています。
美術館の創立者の北澤利男氏がガラス作品の収集を始めたのは約40年前に
三越本店で開かれたアール・ヌーヴォー展を観て感銘を受けたのがきっかけとのことです。
エミール・ガレ(1846-1904)はフランス、ナンシー出身のデザイナー・ガラス工芸家で、
陶磁器・ガラス器の製造販売会社の経営者の子に生まれ、1877年に経営を任されています。
ナンシーに留学していた高島得三との交流を通じて日本の文物や植物の知識も得ています。
エミール・ガレ 「菊にカマキリ文月光色鉢」 1884-89年

父の会社を受継いだガレが1878年のパリ万博に初めて自分の名前で出品した作品です。
月光色ガラスと命名した、涼やかな淡青色のガラスを用いています。
菊とカマキリ「という、ジャポニスムを意識した取り合わせです。
エミール・ガレ 「菊花文鶴頸花瓶」 モデル制作1884年頃、1900年頃復刻

長い頸にも菊を散らし、流水文も見える、ジャポニスムいっぱいの花瓶です。
エミール・ガレ 「蔓日々草文碗」 1895年頃

小さな作品で、日本の器に想を得ています。
蔓日々草(ツルニチニチソウ)はヨーロッパ原産で、春に淡い紫色の5弁の花を咲かせます。
エミール・ガレ 脚付杯「フランスの薔薇」 1901年


ナンシー中央園芸協会長の引退記念の制作で、協会長の故郷であるロレーヌ地方に咲く
ロサ・ガリカ(フランスの薔薇)という種類の野生の薔薇です。
薔薇は1870年の普仏戦争でドイツに敗れたフランスを表しているそうです。
普仏戦争にはガレも従軍していますが、フランスの敗北により、ガレの故郷の
アルザス・ロレーヌの一部はドイツに割譲されています。
エミール・ガレ 花形ランプ「アプチロン」 1900-1904年

エジソンの白熱電球の発明に応じて、ガレは花形の電気照明器具を制作しています。
アプチロンは下向きに花が咲きます。
エミール・ガレ 「芥子文ランプ」 1902-1904年

幻覚作用のある芥子は夜や夢の象徴でもあります。
オーギュスト(1853-1909)、アントナン(1864-1930)のドーム兄弟はロレーヌ地方の
出身で、ナンシーで父の経営するガラス工場を受け継ぎ、アール・ヌーヴォーや
次の時代のアール・デコ様式のガラス器を制作しています。
ドーム兄弟 「水辺の花文花瓶(コウホネ)」 1897年

コウホネは日本原産の水生植物で、春から秋に黄色い花を付けます。
ジャポニスムを表した作品で、首は水辺を好む蜻蛉で飾られています。
ドーム兄弟 「黄金の雨とアネモネ」 1900年頃

金を加えた金赤ガラスを用いた、黄金色に輝く作品です。
1900年のパリ万博に出品後、長くドーム家に所蔵されていました。
ドーム兄弟 「花畠文シリーズ プレリアル」 1900年

プレリアルはフランス革命後に一時使われた暦で、牧草月といい、5月20日から
6月18日頃を差します。
ドーム兄弟 「すみれのシリーズ」 1905年頃

特に評判の高かったシリーズで、その愛らしさが好まれました。
ドーム兄弟 花瓶「蜘蛛に刺草」 1910年頃

細かい棘を持つ刺草(イラクサ)に蜘蛛が巣を掛けている、妖しい雰囲気を持つ器です。
人に嫌がられるイラクサと蜘蛛に共感を寄せたヴィクトル・ユーゴーの言葉が
彫られています。
会場は照明の具合もほど良く、作品をじっくりと堪能できる展覧会です。
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日本橋三越本店7階催物会場では「エミール・ガレとドーム兄弟」展が開かれています。
会期は2月27日(月)まで、入場料は一般1000円です。

諏訪市の北澤美術館の開館40周年を記念して、同館の所蔵するエミール・ガレと
ドーム兄弟のガラス作品、約90点が展示されています。
美術館の創立者の北澤利男氏がガラス作品の収集を始めたのは約40年前に
三越本店で開かれたアール・ヌーヴォー展を観て感銘を受けたのがきっかけとのことです。
エミール・ガレ(1846-1904)はフランス、ナンシー出身のデザイナー・ガラス工芸家で、
陶磁器・ガラス器の製造販売会社の経営者の子に生まれ、1877年に経営を任されています。
ナンシーに留学していた高島得三との交流を通じて日本の文物や植物の知識も得ています。
エミール・ガレ 「菊にカマキリ文月光色鉢」 1884-89年

父の会社を受継いだガレが1878年のパリ万博に初めて自分の名前で出品した作品です。
月光色ガラスと命名した、涼やかな淡青色のガラスを用いています。
菊とカマキリ「という、ジャポニスムを意識した取り合わせです。
エミール・ガレ 「菊花文鶴頸花瓶」 モデル制作1884年頃、1900年頃復刻

長い頸にも菊を散らし、流水文も見える、ジャポニスムいっぱいの花瓶です。
エミール・ガレ 「蔓日々草文碗」 1895年頃

小さな作品で、日本の器に想を得ています。
蔓日々草(ツルニチニチソウ)はヨーロッパ原産で、春に淡い紫色の5弁の花を咲かせます。
エミール・ガレ 脚付杯「フランスの薔薇」 1901年



ナンシー中央園芸協会長の引退記念の制作で、協会長の故郷であるロレーヌ地方に咲く
ロサ・ガリカ(フランスの薔薇)という種類の野生の薔薇です。
薔薇は1870年の普仏戦争でドイツに敗れたフランスを表しているそうです。
普仏戦争にはガレも従軍していますが、フランスの敗北により、ガレの故郷の
アルザス・ロレーヌの一部はドイツに割譲されています。
エミール・ガレ 花形ランプ「アプチロン」 1900-1904年

エジソンの白熱電球の発明に応じて、ガレは花形の電気照明器具を制作しています。
アプチロンは下向きに花が咲きます。
エミール・ガレ 「芥子文ランプ」 1902-1904年

幻覚作用のある芥子は夜や夢の象徴でもあります。
オーギュスト(1853-1909)、アントナン(1864-1930)のドーム兄弟はロレーヌ地方の
出身で、ナンシーで父の経営するガラス工場を受け継ぎ、アール・ヌーヴォーや
次の時代のアール・デコ様式のガラス器を制作しています。
ドーム兄弟 「水辺の花文花瓶(コウホネ)」 1897年

コウホネは日本原産の水生植物で、春から秋に黄色い花を付けます。
ジャポニスムを表した作品で、首は水辺を好む蜻蛉で飾られています。
ドーム兄弟 「黄金の雨とアネモネ」 1900年頃

金を加えた金赤ガラスを用いた、黄金色に輝く作品です。
1900年のパリ万博に出品後、長くドーム家に所蔵されていました。
ドーム兄弟 「花畠文シリーズ プレリアル」 1900年

プレリアルはフランス革命後に一時使われた暦で、牧草月といい、5月20日から
6月18日頃を差します。
ドーム兄弟 「すみれのシリーズ」 1905年頃

特に評判の高かったシリーズで、その愛らしさが好まれました。
ドーム兄弟 花瓶「蜘蛛に刺草」 1910年頃

細かい棘を持つ刺草(イラクサ)に蜘蛛が巣を掛けている、妖しい雰囲気を持つ器です。
人に嫌がられるイラクサと蜘蛛に共感を寄せたヴィクトル・ユーゴーの言葉が
彫られています。
会場は照明の具合もほど良く、作品をじっくりと堪能できる展覧会です。
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