上野
2月に展示替えになった東京国立博物館本館の総合文化展(平常展)に行ってきました。
2回に分けて記事にして、今日は1回目です。
「江戸城本丸大奥御対面所障壁画下絵」 狩野養信 江戸時代・19世紀



未来の国宝という意味で、2月26日まで国宝室に展示されていました。
天保15年(1844)の江戸城本丸火災後の再建のため制作された障壁画の下図です。
赤染衛門らの作と伝えられる「栄花物語」の巻第一「月の宴」の場面で、
村上天皇も御簾の内に描かれています。
理想の時代とされた、醍醐天皇・村上天皇による延喜・天暦の治が
江戸城の御殿を飾る題材に選ばれていました。
狩野養信(1796 –1846)は木挽町狩野9代目で、江戸城西の丸御殿や本丸御殿の
障壁画を手掛けています。
「大般若経 巻第四百六十八(神亀五年五月十五日長屋王願経)」
奈良時代・神亀5年(728) 個人蔵 重要文化財

天武天皇の孫、長屋王が両親や歴代の天皇の追善のために書写させたものです。
巻末には書写や校閲などの担当者名も書かれています。
1行17字の原則に則っていますが、罫線は引かれていません。
長屋王自身は藤原氏の陰謀により神亀6年(729年)に自殺させられています。
「普賢菩薩像」 鎌倉時代・13世紀

華やかに装った菩薩や白象、異国風の従者は南宋頃に多い作例だそうです。
「遊行上人縁起絵巻」 鎌倉時代・14世紀 重要文化財
時宗の祖、一遍と二世の他阿の事績を描いた絵巻です。
尾張国の甚目寺(じもくじ)では毘沙門天が出現し、その霊験により人々に
飲食が振る舞われる場面です。

毘沙門天が現れます。


被差別民らしき人々も描かれています。

「鶴草紙」下巻 筆者不詳 江戸時代・17世紀


零落した貴族が鶴を救うと、鶴は人の姿になって現れ、二人は結ばれますが、
鶴は転生を約束して去った後、十数年後に再び現れ、二人は添い遂げる
というお話です。
「黒漆銀銅蛭巻太刀」 南北朝時代・14世紀 重要文化財

黒漆塗りで、鍍銀した銅の薄板を鞘に巻いてあります。
柄も鞘もかなり長い、武骨な拵えです。
陸奥を拠点にした南朝方の武将、南部政長(?ー1360)の所用と伝えられています。
「呉州赤絵蓮池水禽文鉢」 中国・漳州窯 明時代・17世紀

漳州窯(しょうしゅうよう)は明から清時代に福建省の漳州に分布していた窯で、
赤絵などを生産し、景徳鎮窯に倣った作風も見られ、アジアやヨーロッパに
輸出されています。
地方窯らしく、のびのびと大らかな描きぶりです。
「安南染付唐草文香合」 ベトナム 15~16世紀

安南焼はベトナムの焼き物です。
灰色の地に白釉を化粧掛けして下絵付けし、透明釉を掛けた、可愛らしい香合です。
「赤楽茶碗」 得入作 江戸時代・宝暦12年(1762)~明和7年(1770)

得入(1745ー1774)は樂家8代目ですが、30歳で亡くなっているため、
作品は多くありません。
chariot
2月に展示替えになった東京国立博物館本館の総合文化展(平常展)に行ってきました。
2回に分けて記事にして、今日は1回目です。
「江戸城本丸大奥御対面所障壁画下絵」 狩野養信 江戸時代・19世紀



未来の国宝という意味で、2月26日まで国宝室に展示されていました。
天保15年(1844)の江戸城本丸火災後の再建のため制作された障壁画の下図です。
赤染衛門らの作と伝えられる「栄花物語」の巻第一「月の宴」の場面で、
村上天皇も御簾の内に描かれています。
理想の時代とされた、醍醐天皇・村上天皇による延喜・天暦の治が
江戸城の御殿を飾る題材に選ばれていました。
狩野養信(1796 –1846)は木挽町狩野9代目で、江戸城西の丸御殿や本丸御殿の
障壁画を手掛けています。
「大般若経 巻第四百六十八(神亀五年五月十五日長屋王願経)」
奈良時代・神亀5年(728) 個人蔵 重要文化財

天武天皇の孫、長屋王が両親や歴代の天皇の追善のために書写させたものです。
巻末には書写や校閲などの担当者名も書かれています。
1行17字の原則に則っていますが、罫線は引かれていません。
長屋王自身は藤原氏の陰謀により神亀6年(729年)に自殺させられています。
「普賢菩薩像」 鎌倉時代・13世紀

華やかに装った菩薩や白象、異国風の従者は南宋頃に多い作例だそうです。
「遊行上人縁起絵巻」 鎌倉時代・14世紀 重要文化財
時宗の祖、一遍と二世の他阿の事績を描いた絵巻です。
尾張国の甚目寺(じもくじ)では毘沙門天が出現し、その霊験により人々に
飲食が振る舞われる場面です。

毘沙門天が現れます。


被差別民らしき人々も描かれています。

「鶴草紙」下巻 筆者不詳 江戸時代・17世紀


零落した貴族が鶴を救うと、鶴は人の姿になって現れ、二人は結ばれますが、
鶴は転生を約束して去った後、十数年後に再び現れ、二人は添い遂げる
というお話です。
「黒漆銀銅蛭巻太刀」 南北朝時代・14世紀 重要文化財

黒漆塗りで、鍍銀した銅の薄板を鞘に巻いてあります。
柄も鞘もかなり長い、武骨な拵えです。
陸奥を拠点にした南朝方の武将、南部政長(?ー1360)の所用と伝えられています。
「呉州赤絵蓮池水禽文鉢」 中国・漳州窯 明時代・17世紀

漳州窯(しょうしゅうよう)は明から清時代に福建省の漳州に分布していた窯で、
赤絵などを生産し、景徳鎮窯に倣った作風も見られ、アジアやヨーロッパに
輸出されています。
地方窯らしく、のびのびと大らかな描きぶりです。
「安南染付唐草文香合」 ベトナム 15~16世紀

安南焼はベトナムの焼き物です。
灰色の地に白釉を化粧掛けして下絵付けし、透明釉を掛けた、可愛らしい香合です。
「赤楽茶碗」 得入作 江戸時代・宝暦12年(1762)~明和7年(1770)

得入(1745ー1774)は樂家8代目ですが、30歳で亡くなっているため、
作品は多くありません。
- 関連記事
-
- 東京国立博物館 総合文化展 2023年3月 その2 (2023/03/05)
- 「仏具の世界―信仰と美のかたちー」 根津美術館 (2023/03/04)
- 東京国立博物館 総合文化展 2023年3月 その1 (2023/03/02)
- 「漆表現の現在Vol.3 」展 日本橋髙島屋 (2023/02/28)
- 「FACE展2023」 新宿 SOMPO美術館 (2023/02/26)
私、何故か九十九髪茄子持ってます。無論レプリカ(今となっては本物がどんなのかもわからんのに(笑))ですが。とは言え、桐箱に入ってなかなかどうして高そうである。ま、猫に小判、miss.keyに茶道具なんですけどね。
秀吉の北野大茶会でも展示されていたことでしょう。
貴賤を問わず参加すべしとの茶会でしたから、茶入一つ持って参加するのも一興でしょう。