表参道
南青山の根津美術館では企画展、「仏具の世界―信仰と美のかたちー」が
開かれています。
会期は3月31日(金)までです。

「百万塔」 奈良時代 8世紀

称徳天皇(在位:764-770)は 藤原仲麻呂の乱を平定した後、国家の安泰を
願って陀羅尼を100万巻印刷し、小型の木製の塔に納めて、東大寺・西大寺・
興福寺・薬師寺などの十大寺に奉納しています。
陀羅尼とはサンスクリット語の原文を漢字で音写した呪文のことです。
「普賢十羅刹女像」 平安時代 12世紀 重要文化財

普賢菩薩は華厳経や法華経に書かれた菩薩で、法華経が女人成仏を説くことから、
特に女性に多く信仰されています。
白象に乗った姿で表されます。
十羅刹女は法華経に登場する10人の鬼神で、法華経信者を守護します。
普賢菩薩のお顔は真に麗しく、截金も施された優美な像です。
「神護寺経」 平安時代 12世紀

紺紙に金字で書かれた一切経で、表紙には金銀で宝相華模様、見返しには
釈迦説法図が描かれ、赤い「神護寺」の印も捺されています。
神護寺経は鳥羽法皇の発願で、後白河法皇が神護寺に寄進しており、
当初は5400巻あったとされています。
「神護寺経経帙」 平安時代 12世紀

経帙(きょうちつ)は経巻をまとめて包む道具です。
竹ひごを黒く着色し、色糸で編み、錦で縁取りしています。
「宝相華銀平文袈裟箱」 平安時代 12世紀 重要文化財

文様の形に切った銀の薄板を貼り、黒漆を塗ってから文様の部分を剝ぎ取っています。
左右対称を意識した文様で、中国文化の影響の強い奈良時代の面影を残しています。
「黒漆塗彩絵華籠」 平安時代 12世紀

散華を盛る器で、紙を10枚ほど重ねて貼り、黒漆で固め、緑青、朱、金箔で
八葉蓮華と三鈷を描いています。
「金剛五鈷鈴」 鎌倉時代 13~14世紀

五鈷鈴(ごこれい)は密教の法具で、五鈷は邪を砕く五つの切っ先を持つ武器で、
鈴は人の仏性を呼び覚まします。
空海が唐から持ち帰ったとされる五鈷鈴と大きさ、形がよく似ているそうです。
「青銅銀象嵌梵字宝相華文香炉」 高麗時代 13~14世紀

堂々とした姿の香炉で、梵字の形に切った銀の薄板を象嵌し、周囲を繊細な
唐草文の象嵌で埋めています。
朝鮮の高麗時代は仏教が盛んでした。
「獅子香炉」 瀬戸 室町時代 16世紀 重要美術品

元は狛犬の像で、千利休が口から後頭部を打ち割って、外せるようにして
香炉としたとされる品で、小堀遠州が所持していました。
実際には、割れてしまったので香炉として使うようにしたのだろうということです。
展示室5のテーマは「西田コレクション受贈I IMARI」です。
西田宏子氏より受贈した工芸品169件の一部を3回に分けて展示しています。
第1回は伊万里です。
「色絵紋章文大皿」 肥前 江戸時代 18世紀

オランダの両家の1702年の結婚を祝うため、注文された皿で、両家の紋章が
描かれています。
展示室5のテーマは「花どきの茶」です。
「貫之集切」 伝 藤原行成筆 平安時代 11世紀

ちるがうへにちりもまがふかさくらばな かくてぞこぞのはるもすぎにし
「色絵煙草葉文水指」 フランスまたはオランダ 17世紀

ヨーロッパで薬壺として使われたものが日本に伝わり、茶人に喜ばれて、
オランダに注文を出していたようです。
細密な仏画や精巧な工芸品が揃って、かなり面白い展覧会です。
展覧会のHPです。
4月15日からはいよいよ毎年恒例の「国宝燕子花図屏風」が展示されます。

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南青山の根津美術館では企画展、「仏具の世界―信仰と美のかたちー」が
開かれています。
会期は3月31日(金)までです。

「百万塔」 奈良時代 8世紀

称徳天皇(在位:764-770)は 藤原仲麻呂の乱を平定した後、国家の安泰を
願って陀羅尼を100万巻印刷し、小型の木製の塔に納めて、東大寺・西大寺・
興福寺・薬師寺などの十大寺に奉納しています。
陀羅尼とはサンスクリット語の原文を漢字で音写した呪文のことです。
「普賢十羅刹女像」 平安時代 12世紀 重要文化財

普賢菩薩は華厳経や法華経に書かれた菩薩で、法華経が女人成仏を説くことから、
特に女性に多く信仰されています。
白象に乗った姿で表されます。
十羅刹女は法華経に登場する10人の鬼神で、法華経信者を守護します。
普賢菩薩のお顔は真に麗しく、截金も施された優美な像です。
「神護寺経」 平安時代 12世紀

紺紙に金字で書かれた一切経で、表紙には金銀で宝相華模様、見返しには
釈迦説法図が描かれ、赤い「神護寺」の印も捺されています。
神護寺経は鳥羽法皇の発願で、後白河法皇が神護寺に寄進しており、
当初は5400巻あったとされています。
「神護寺経経帙」 平安時代 12世紀

経帙(きょうちつ)は経巻をまとめて包む道具です。
竹ひごを黒く着色し、色糸で編み、錦で縁取りしています。
「宝相華銀平文袈裟箱」 平安時代 12世紀 重要文化財

文様の形に切った銀の薄板を貼り、黒漆を塗ってから文様の部分を剝ぎ取っています。
左右対称を意識した文様で、中国文化の影響の強い奈良時代の面影を残しています。
「黒漆塗彩絵華籠」 平安時代 12世紀

散華を盛る器で、紙を10枚ほど重ねて貼り、黒漆で固め、緑青、朱、金箔で
八葉蓮華と三鈷を描いています。
「金剛五鈷鈴」 鎌倉時代 13~14世紀

五鈷鈴(ごこれい)は密教の法具で、五鈷は邪を砕く五つの切っ先を持つ武器で、
鈴は人の仏性を呼び覚まします。
空海が唐から持ち帰ったとされる五鈷鈴と大きさ、形がよく似ているそうです。
「青銅銀象嵌梵字宝相華文香炉」 高麗時代 13~14世紀

堂々とした姿の香炉で、梵字の形に切った銀の薄板を象嵌し、周囲を繊細な
唐草文の象嵌で埋めています。
朝鮮の高麗時代は仏教が盛んでした。
「獅子香炉」 瀬戸 室町時代 16世紀 重要美術品

元は狛犬の像で、千利休が口から後頭部を打ち割って、外せるようにして
香炉としたとされる品で、小堀遠州が所持していました。
実際には、割れてしまったので香炉として使うようにしたのだろうということです。
展示室5のテーマは「西田コレクション受贈I IMARI」です。
西田宏子氏より受贈した工芸品169件の一部を3回に分けて展示しています。
第1回は伊万里です。
「色絵紋章文大皿」 肥前 江戸時代 18世紀

オランダの両家の1702年の結婚を祝うため、注文された皿で、両家の紋章が
描かれています。
展示室5のテーマは「花どきの茶」です。
「貫之集切」 伝 藤原行成筆 平安時代 11世紀

ちるがうへにちりもまがふかさくらばな かくてぞこぞのはるもすぎにし
「色絵煙草葉文水指」 フランスまたはオランダ 17世紀

ヨーロッパで薬壺として使われたものが日本に伝わり、茶人に喜ばれて、
オランダに注文を出していたようです。
細密な仏画や精巧な工芸品が揃って、かなり面白い展覧会です。
展覧会のHPです。
4月15日からはいよいよ毎年恒例の「国宝燕子花図屏風」が展示されます。

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