上野
上野の東京国立博物館では特別展「東福寺」が開かれています。
会期は5月7日(日)までです。
会場の一部は撮影可能です。
会期中、かなりの展示替がありますので、展覧会のHPでご確認下さい。

慧日山東福寺は臨済宗東福寺派の大本山で、嘉禎2年(1236)、
摂政九条道家による建立です。
京都五山の一つで、紅葉の名所としても知られています。
開山の円爾(1202~1280)は宋に渡り、無準師範(1177~1249)に師事した後、
帰国し博多の承天寺、京都の東福寺の開となっています。
「無準師範像」自賛 中国・南宋時代 嘉熙2年(1238) 国宝


4月2日までの展示です。
無準師範は臨済宗の僧で、無学祖元や牧谿などの師でもあり、書も有名です。
自ら賛を書いて、円爾に与えたものです。
「禅院額字幷牌字」のうち「方丈」 張即之筆 中国・南宋時代 13世紀 国宝

4月9日までの展示です。
全19幅の一つで、承天寺の開山に当たり、扁額などの手本として無準師範より
円爾に送られたものです。
無準師範は力強い太字の張即之(1186 – 1266)の書を好んでいました。
19幅は期間を分けて展示されます。
「円爾宛尺牘」 剣門妙深筆 中国・南宋時代 淳祐9年(1249)
常盤山文庫蔵 重要文化財

南宋の僧、剣門妙深が日本に帰国した円爾に宛てた手紙で、共通の師の
無準師範の遷化と遺言を伝えています。
遺言では自らの語録の刊行には円爾の助力を得るようにとあり、無準の円爾への
信頼の高さを示しています。
「遺偈」 円爾筆 鎌倉時代 弘安3年(1280)

4月4日からの展示です。
遺偈は禅僧が死に臨んで書き遺す言葉です。
利生方便 七十九年 欲知端的 佛祖不傳
「虎 一大字」 虎関師錬筆 鎌倉~南北朝時代 14世紀 京都・霊源院

字のようにも見えてしまう虎の絵です。
虎関師錬(1278-1346)は臨済宗の僧で、円爾の孫弟子に当たり、学識に優れ
日本最初の仏教の通史「元亨釈書」を著し、東福寺や南禅寺の住持を務めています。
重要文化財の「元亨釈書」も展示されています。
宋時代初期に成立した一種の百科事典である、国宝の「太平御覧」の展示もあります。
中国では早くに失われており、日本にしか残っていません。
「達磨・蝦蟇鉄拐図」 吉山明兆筆 室町時代 15世紀 重要文化財
4月9日までの展示です。







大きな三幅対で、中心に達磨、向かって左に3本足のガマを担いだ蝦蟇仙人、
右に魂を体から遊離させる術を使う鉄拐仙人を配しています。
手の描写など実に生き生きとした描き振りで、画力の高さを示しています。
吉山明兆(1352-1431)は東福寺の画僧で、後の日本の仏画に大きな影響を
与えています。
明兆は釈迦涅槃図に最初に猫を描き入れた人として知られていますが、
実際には猫のいる涅槃図は鎌倉時代からあります。
「五百羅漢図」 吉山明兆筆 南北朝時代 至徳3年(1386)
大きな掛軸で、1幅に10人ずつ、全50幅で500人の羅漢の姿です。
衆生を救ったり祈ったり、様々な様子で描かれており、何回かに分けて展示されます。
「仏手」 東福寺旧本尊 鎌倉~南北朝時代 14世紀

仏手は明治14年(1881)に焼失した旧本尊の釈迦如来座像の左手で、
下に垂れた与願印の形をしていたと思われます。
高さ約2mの巨大な手で、衆生を余さず掬い取る水かきも付いています。
火災に際して、何とか運び出したもののようで、同じく焼け残った光背の化仏と
高さ約1mの大きな台座の蓮弁も展示されています。
焼失した旧本尊は創建当初の本尊が14世紀に火災で焼失した後、
再制作されたものです。
他に鎌倉時代の迫力あふれる四天王像や金剛力士像なども展示されています。
「東福寺伽藍図」 了庵桂悟賛 室町時代 永正2年(1505) 重要文化財

紅葉で有名な通天橋も見えます。

4月11日からの展示です。
了庵桂悟は、文明10年(1478年)に東福寺の住持になっています。
東福寺は一時、70近くの塔頭(支院)があった程の大寺院でしたが、南北朝の騒乱など、
度々火災に遭っています。
東福寺三門 室町時代 応永12年(1405) 国宝

通天橋

会場には通天橋も設けられています。

2022年に同じ東京国立博物館で開かれた「日本のたてもの 自然素材を活かす
伝統の技と知恵」展には東福寺の三門の模型が展示されていました。
(参考)
「東福寺三門」


三門とは3つの門がつながった形を言います。
4代将軍足利義持により再建されており、2階建で、禅宗様や大仏様が入り、
豪壮な建築になっています。
臨済宗は文学や絵画の文化が盛んな宗派ですが、その様子も伝わる
興味深い展覧会です。
展覧会のHPです。
平日限定で17日(金)まで、毎日先着2000名にホログラムシールがプレゼントされます。

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上野の東京国立博物館では特別展「東福寺」が開かれています。
会期は5月7日(日)までです。
会場の一部は撮影可能です。
会期中、かなりの展示替がありますので、展覧会のHPでご確認下さい。

慧日山東福寺は臨済宗東福寺派の大本山で、嘉禎2年(1236)、
摂政九条道家による建立です。
京都五山の一つで、紅葉の名所としても知られています。
開山の円爾(1202~1280)は宋に渡り、無準師範(1177~1249)に師事した後、
帰国し博多の承天寺、京都の東福寺の開となっています。
「無準師範像」自賛 中国・南宋時代 嘉熙2年(1238) 国宝


4月2日までの展示です。
無準師範は臨済宗の僧で、無学祖元や牧谿などの師でもあり、書も有名です。
自ら賛を書いて、円爾に与えたものです。
「禅院額字幷牌字」のうち「方丈」 張即之筆 中国・南宋時代 13世紀 国宝

4月9日までの展示です。
全19幅の一つで、承天寺の開山に当たり、扁額などの手本として無準師範より
円爾に送られたものです。
無準師範は力強い太字の張即之(1186 – 1266)の書を好んでいました。
19幅は期間を分けて展示されます。
「円爾宛尺牘」 剣門妙深筆 中国・南宋時代 淳祐9年(1249)
常盤山文庫蔵 重要文化財

南宋の僧、剣門妙深が日本に帰国した円爾に宛てた手紙で、共通の師の
無準師範の遷化と遺言を伝えています。
遺言では自らの語録の刊行には円爾の助力を得るようにとあり、無準の円爾への
信頼の高さを示しています。
「遺偈」 円爾筆 鎌倉時代 弘安3年(1280)

4月4日からの展示です。
遺偈は禅僧が死に臨んで書き遺す言葉です。
利生方便 七十九年 欲知端的 佛祖不傳
「虎 一大字」 虎関師錬筆 鎌倉~南北朝時代 14世紀 京都・霊源院

字のようにも見えてしまう虎の絵です。
虎関師錬(1278-1346)は臨済宗の僧で、円爾の孫弟子に当たり、学識に優れ
日本最初の仏教の通史「元亨釈書」を著し、東福寺や南禅寺の住持を務めています。
重要文化財の「元亨釈書」も展示されています。
宋時代初期に成立した一種の百科事典である、国宝の「太平御覧」の展示もあります。
中国では早くに失われており、日本にしか残っていません。
「達磨・蝦蟇鉄拐図」 吉山明兆筆 室町時代 15世紀 重要文化財
4月9日までの展示です。







大きな三幅対で、中心に達磨、向かって左に3本足のガマを担いだ蝦蟇仙人、
右に魂を体から遊離させる術を使う鉄拐仙人を配しています。
手の描写など実に生き生きとした描き振りで、画力の高さを示しています。
吉山明兆(1352-1431)は東福寺の画僧で、後の日本の仏画に大きな影響を
与えています。
明兆は釈迦涅槃図に最初に猫を描き入れた人として知られていますが、
実際には猫のいる涅槃図は鎌倉時代からあります。
「五百羅漢図」 吉山明兆筆 南北朝時代 至徳3年(1386)
大きな掛軸で、1幅に10人ずつ、全50幅で500人の羅漢の姿です。
衆生を救ったり祈ったり、様々な様子で描かれており、何回かに分けて展示されます。
「仏手」 東福寺旧本尊 鎌倉~南北朝時代 14世紀

仏手は明治14年(1881)に焼失した旧本尊の釈迦如来座像の左手で、
下に垂れた与願印の形をしていたと思われます。
高さ約2mの巨大な手で、衆生を余さず掬い取る水かきも付いています。
火災に際して、何とか運び出したもののようで、同じく焼け残った光背の化仏と
高さ約1mの大きな台座の蓮弁も展示されています。
焼失した旧本尊は創建当初の本尊が14世紀に火災で焼失した後、
再制作されたものです。
他に鎌倉時代の迫力あふれる四天王像や金剛力士像なども展示されています。
「東福寺伽藍図」 了庵桂悟賛 室町時代 永正2年(1505) 重要文化財

紅葉で有名な通天橋も見えます。

4月11日からの展示です。
了庵桂悟は、文明10年(1478年)に東福寺の住持になっています。
東福寺は一時、70近くの塔頭(支院)があった程の大寺院でしたが、南北朝の騒乱など、
度々火災に遭っています。
東福寺三門 室町時代 応永12年(1405) 国宝

通天橋

会場には通天橋も設けられています。

2022年に同じ東京国立博物館で開かれた「日本のたてもの 自然素材を活かす
伝統の技と知恵」展には東福寺の三門の模型が展示されていました。
(参考)
「東福寺三門」


三門とは3つの門がつながった形を言います。
4代将軍足利義持により再建されており、2階建で、禅宗様や大仏様が入り、
豪壮な建築になっています。
臨済宗は文学や絵画の文化が盛んな宗派ですが、その様子も伝わる
興味深い展覧会です。
展覧会のHPです。
平日限定で17日(金)まで、毎日先着2000名にホログラムシールがプレゼントされます。

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