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「大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション名品選101」 泉屋博古館東京 その1
六本木1丁目
chariot

六本木の泉屋博古館東京では特別展「大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション
名品選101」が開かれています。
会期は5月21日(日)までです。

安宅img600 (1)


大阪市立東洋陶磁美術館の所蔵する安宅コレクションのうち、国宝2件、
重文11件を含む中国陶磁、韓国陶磁、101件が展示されています。

安宅コレクションは安宅産業の創業家出身の安宅英一が収集し、安宅産業が
所蔵していた東洋陶磁と速水御舟の作品のコレクションで、1975年の安宅産業の
経営破綻に伴い、東洋陶磁は大阪市が買い取り、大阪市立東洋陶磁美術館を
設立しています。

記事は2回に分け、今日は中国陶磁について載せます。

会場は撮影可能です。

「緑釉 楼閣」 後漢時代・2〜3世紀
あDSC09439
 
高さ約1mもある高楼で、墓の副葬品でした。
最上階には弩を持った兵士も見え、軍用の望楼のようです。

「加彩 宮女俑」 唐時代・7世紀
あDSC09449

初唐の女性像で、盛唐のふくよかな姿に対して、とてもスリムな体形で、
顔だちもすっきりしています。
彩色の上、金彩や箔押も施した豪華な品です。

「加彩 婦女俑」 唐時代 8世紀
東011

高さ50.5cmの塑像で、塗られていた泥絵具が少し残っています。
髪の切れ込みにはかんざしが、指先には小鳥が付いていたらしいとのことです。
ふくよかな唐美人の姿をしていて、体の曲線が流れるようで、表情も愛らしい作品です。
玄宗皇帝は太った女性を好んでいて、楊貴妃に「風が吹いてもお前なら平気だろう」と
からかっています。
初唐と盛唐ではかなり好みも変わったようです。

「白磁刻花蓮花文洗」 定窯 北宋時代 11世紀 重要文化財
東003

径24.5cmと大きいのですが、とても薄手に作られています。
温かな白い肌の内と外に線彫りで蓮花文が施されています。
器を伏せて焼くため、口縁の釉は掻き落としてあり、代わりに付けられた銀の覆輪が
くっきりした印象を与えています。
定窯は河北省にあった窯で、北宋時代に栄え、おもに白磁を生産していました。

「青磁 水仙盆」 汝窯 北宋時代・11世紀末〜12世紀初
安宅img600 (4)

汝窯は河南省宝豊県清涼寺にあったとされ、淡い上品な水色の青磁は
宮廷で使われましたが、作品は現在90点ほどしか確認されていません。
中でもこの水仙盆という形は評価が高く、安宅コレクションを代表する
作品とされています。

「油滴天目茶碗」 建窯 南宋時代 12-13世紀 国宝
東002

器の内も外も焼成中に現れた油の粒のような輝く斑文で覆われています。
油滴は器の奥に向かうほど小さく、観ていると吸い込まれるようです。
所有者は豊臣秀次、西本願寺、京都三井家、若狭酒井家などでした。
この茶碗は2010年に出光美術館で開かれた、「茶陶の道 天目と呉州赤絵」展にも
展示されていました。
建窯は福建省にあった窯で、北宋から元時代にかけて天目茶碗を生産していました。
南宋時代は抹茶文化の流行によって、茶の色の映える黒釉の茶碗が盛んに
作られるようになったそうです。

「木葉天目茶碗」 吉州窯 南宋時代 12〜13世紀 重要文化財
安宅img600 (3)

木葉天目は南宋の吉州窯の黒釉茶碗独特の意匠で、最初は焼成窯に木の葉が
紛れ込んでできた偶然の産物でしょうが、自然の一部を茶碗に取り込んで趣があります。
桑の枯れ葉が焼付けられていて、南宋の詩人、陳与義の「柏樹解説法、桑葉能通禅」に
拠っているのではないかということです。
見込にはうっすらと梅花文の装飾も見られるそうで、金の覆輪も付いています。
加賀前田家が所蔵していました。
吉州窯は江西省吉安市にあった窯で、宋、元時代が最盛期でした。

「青磁 長頸瓶 銘 鎹(かすがい)」 龍泉窯 南宋時代・13世紀
あDSC09470

頸の部分のひび割れを鎹で補修してあり、この銘があります。
大坂の鴻池家に伝来し、川端康成の旧蔵でした。
龍泉窯は浙江省にあった窯で、青磁を生産し、日本も多くを輸入しています。

「青磁 鳳凰耳花生」 龍泉窯 南宋時代・13世紀 重要文化財
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何層も掛けられた釉薬により、玉のような艶やかな器面になっています。
丹波篠山藩青山家の旧蔵です。

「飛青磁花生」 龍泉窯 元時代 13-14世紀 国宝
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飛青磁花生(とびせいじはないけ)は鉄斑という模様を器の上に散らした後、
青磁の釉薬を掛けて焼成してあります。
ふっくらとした、のびやかな姿で、空の上に点々と雲が浮かんでいるようです。

「青花蓮池魚藻文壺」 景徳鎮窯 元時代 14世紀  重要文化財
東008

染付(青花)は、白い地にコバルト顔料を使って絵を描いてから焼き、藍色を出す技法で、
元時代に景徳鎮で完成しています。
どっしりとした広口の壷に、鮮やかな発色で蓮や鱖魚(ケツギョ)という淡水魚魚が
活き活きと描かれ、染付の王者のような風格があります。
景徳鎮窯は江西省にある、中国を代表する陶磁器産地です。

「青花 龍波濤文 扁壺」 景徳鎮窯 明時代・永楽(1403〜1424)
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荒波に囲まれた白抜きで描かれた龍は鱗などを陰刻で表しています。
イスタンブールのトプカプ宮殿にも類品が伝世していて、広く輸出されていたことが
分かります。

「青花 宝相華唐草文 壺「大明宣徳年製」銘」
 景徳鎮窯 明時代・宣徳(1426〜1435)

あDSC09505

肩に「大明宣徳年製」と書かれています。
5代皇帝、宣徳帝の時代に景徳鎮は官窯として整備され、宮廷用の品に年号が
記されるようになります。

「瑠璃地白花 牡丹文 盤「大明宣徳年製」銘」
 景徳鎮窯 明時代・宣徳(1426〜1435) 重要文化財

あDSC09378

濃い瑠璃地に白抜きで白牡丹、周りを瑞果文の桃、杏、柘榴、枇杷、茘枝、柿が
囲んでいます。
本郷の加賀前田家江戸屋敷の跡地からも類品の破片が出土しています。

「法花花鳥文壺」 明時代 15世紀 重要文化財
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高さ44.5cmの大きな壷で、法花とは地の上に輪郭線を盛り上げて、その内側に
釉で色を付ける技法です。
藍色地に緑、黄、青などで描かれた絵は立体的に見え、牡丹の花には厚みがあります。

「五彩金襴手 婦女形水注」 景徳鎮窯 明時代・16世紀
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髷が蓋、右手の袖口が注ぎ口、左腕が把手という、面白い形をしていて、
右足を軽く上げて踊っている様を表し、彩色も華やかです。

「五彩牡丹文盤(『大明萬暦年製』銘)」 景徳鎮窯 明時代 万暦(1573-1620)
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径38.5cmの大きなお皿で、内側の底に牡丹、内側の側面に石榴などの吉祥文を
描いてあります。
官窯の作品ですが、びっしり描かれた図柄も伸びやかで色彩も華やかです。

展覧会のHPです。

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【2023/05/09 19:10】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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