六本木1丁目
泉屋博古館東京で開かれている特別展、「大阪市立東洋陶磁美術館
安宅コレクション名品選101」の記事その2、韓国陶磁です。
会期は5月21日(日)までです。

「青磁陰刻 柳蘆水禽文 浄瓶」 高麗時代・12世紀

僧が浄水を入れる金属製の器をかたどっています。
高麗仏画でも楊柳観音の持物として描かれており、浄瓶の胴にも
草や水鳥とともに柳が描かれています。
「水月観音像」 徐九方(ソグバン)筆
1323年(至治3年・忠粛王10年) 泉屋博古館 重要文化財


大きな仏画で、水月観音の教えを善財童子が聴いているところです。
華厳経の中の入法界品では、善財童子が観音菩薩や弥勒菩薩など、53人の賢者の
許を訪れて、教えを乞うています。
水月観音は楊柳観音とも呼ばれ、補陀落山の水辺に座し、水に映る月を眺める姿で
表され、水瓶が横に置かれています。
「青磁彫刻 童女形水滴」 高麗時代・12世紀 重要美術品

硯に水を注ぐ小さな文房具で、蓮の花の形が蓋で、水瓶が注ぎ口になっています。
水瓶を抱えている仕草がとても愛らしく、可愛い表情をしているのが魅力です。
安宅氏が購入しようとした時には安宅産業の1か月の購入限度額に足らず、
分割払いになったそうです。
安宅コレクションは個人コレクションではなく、企業コレクションになっていました。
「青磁彫刻 鴛鴦蓋香炉」 高麗時代・12世紀

蓋をおしどりの形にした香炉で、口から煙を吐きます。
羽根の線彫りも細かく丁寧にされています。
「青磁象嵌辰砂彩 牡丹文 鶴首瓶」 高麗時代・13世紀

青磁に白土で象嵌し、辰砂彩の赤を際立たせています。
辰砂彩は酸化銅の顔料を釉の下に塗り、還元焼成して発色させる、
高麗独自の技法です。
「青磁鉄絵 宝相華唐草文 梅瓶」 高麗時代・12世紀

梅瓶(めいぴん)は口が小さく肩が広く、下の方に徐々にすぼまる
背の高い容器のことです。
青磁に鉄絵具で唐草文をバランスよく廻らして描いてあります。
「青磁象嵌 童子宝相華唐草文 水注」
高麗時代・12世紀後半〜13世紀前半 重要文化財

空間を白土で埋め、唐草の蔦をよじ登る童子を浮き上がらせています。
「白磁 瓜形水注・承盤」 高麗時代・12世紀

高麗白磁は青磁と同じ窯で作られているので、形も似ています。
丸々とした形で、蓋はへたの形をしています。
承盤はお湯を入れて水注の中の酒などを温めるために使ったようです。
「青花 梅竹文 壺(「辛丑」銘)」 朝鮮時代・1481年

染付で描かれた梅の枝も立体的に描かれ、巧みな筆遣いです。
宮廷画院の画家が描いたものと思われます。
「粉青鉄絵 蓮池鳥魚文 俵壺」 朝鮮時代・15世紀後半〜16世紀前半

俵の形をしていて、酒の容器と思われます。
地の上に白泥で化粧掛けを施し、鉄を含む顔料で絵を描いて釉を掛けています。
自分より大きそうな魚を捕まえようとするカワセミ、ひょろりと伸びた蓮の花、
反対側にはとぼけた表情のサギが、のんびりした筆遣いで描かれています。
「粉青鉄絵 魚文 深鉢」 鶏龍山焼 朝鮮時代・15世紀後半〜16世紀

儒教の儀礼用の「洗」と呼ばれる器で、白化粧を施した上に高麗鱖魚(ケツギョ)が
大きく描かれています。
鱖は宮鱖(宮殿)に入って出世することを意味する、吉祥文様です。
「粉青線刻 柳文 長壺」 朝鮮時代・15世紀後半〜16世紀

線刻で木のようなものが勢いよく彫られていて、素朴を超えて何か前衛的な
ものまで感じます。
「鉄砂 虎鷺文 壺」 朝鮮時代・17世紀後半

まつ毛も描かれた、面白い顔の虎は大きく伸びをしていて、後ろには雲も沸き立ち、
元気の良い絵柄です。
反対側には手早い筆さばきで鷺と蓮も描かれています。
「青花 窓絵草花文 面取壺」 朝鮮時代・18世紀前半

ふっくら仕上げた胴を削って八角形に面取してあります。
秋草手と呼ばれる、李朝時代の意匠で、染付によるさらりとした描き方に
味わい深いものがあります。
「青花 草花文 面取瓶」 朝鮮時代・18世紀前半

頸の部分から八角形の面取りが施されています。
可憐な姿の草花が描かれ、安宅氏は秋草手の徳利の頂点とみなしていたそうです。
儒教を重んじた李朝は華美を排し、簡素な白色を好んだので、陶磁にもそれが
表れています。
「青花 虎鵲文 壺」 広州官窯 朝鮮時代・18世紀後半


肩口に如意頭文が廻り、月、遠山、そして虎が描かれています。
虎は尻尾がとても長く、呑気な顔をしていて、猫のようです。
「辰砂 松鶴文 壺」 朝鮮時代・18世紀

白磁に辰砂彩で、松と鶴をおおらかな筆さばきで描いています。
韓国陶磁には完成度の高さを追及する中国陶磁とは違った、安らぎのある作品の
多いのが魅力です。
展覧会のHPです。
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泉屋博古館東京で開かれている特別展、「大阪市立東洋陶磁美術館
安宅コレクション名品選101」の記事その2、韓国陶磁です。
会期は5月21日(日)までです。

「青磁陰刻 柳蘆水禽文 浄瓶」 高麗時代・12世紀

僧が浄水を入れる金属製の器をかたどっています。
高麗仏画でも楊柳観音の持物として描かれており、浄瓶の胴にも
草や水鳥とともに柳が描かれています。
「水月観音像」 徐九方(ソグバン)筆
1323年(至治3年・忠粛王10年) 泉屋博古館 重要文化財


大きな仏画で、水月観音の教えを善財童子が聴いているところです。
華厳経の中の入法界品では、善財童子が観音菩薩や弥勒菩薩など、53人の賢者の
許を訪れて、教えを乞うています。
水月観音は楊柳観音とも呼ばれ、補陀落山の水辺に座し、水に映る月を眺める姿で
表され、水瓶が横に置かれています。
「青磁彫刻 童女形水滴」 高麗時代・12世紀 重要美術品

硯に水を注ぐ小さな文房具で、蓮の花の形が蓋で、水瓶が注ぎ口になっています。
水瓶を抱えている仕草がとても愛らしく、可愛い表情をしているのが魅力です。
安宅氏が購入しようとした時には安宅産業の1か月の購入限度額に足らず、
分割払いになったそうです。
安宅コレクションは個人コレクションではなく、企業コレクションになっていました。
「青磁彫刻 鴛鴦蓋香炉」 高麗時代・12世紀

蓋をおしどりの形にした香炉で、口から煙を吐きます。
羽根の線彫りも細かく丁寧にされています。
「青磁象嵌辰砂彩 牡丹文 鶴首瓶」 高麗時代・13世紀

青磁に白土で象嵌し、辰砂彩の赤を際立たせています。
辰砂彩は酸化銅の顔料を釉の下に塗り、還元焼成して発色させる、
高麗独自の技法です。
「青磁鉄絵 宝相華唐草文 梅瓶」 高麗時代・12世紀

梅瓶(めいぴん)は口が小さく肩が広く、下の方に徐々にすぼまる
背の高い容器のことです。
青磁に鉄絵具で唐草文をバランスよく廻らして描いてあります。
「青磁象嵌 童子宝相華唐草文 水注」
高麗時代・12世紀後半〜13世紀前半 重要文化財

空間を白土で埋め、唐草の蔦をよじ登る童子を浮き上がらせています。
「白磁 瓜形水注・承盤」 高麗時代・12世紀

高麗白磁は青磁と同じ窯で作られているので、形も似ています。
丸々とした形で、蓋はへたの形をしています。
承盤はお湯を入れて水注の中の酒などを温めるために使ったようです。
「青花 梅竹文 壺(「辛丑」銘)」 朝鮮時代・1481年

染付で描かれた梅の枝も立体的に描かれ、巧みな筆遣いです。
宮廷画院の画家が描いたものと思われます。
「粉青鉄絵 蓮池鳥魚文 俵壺」 朝鮮時代・15世紀後半〜16世紀前半

俵の形をしていて、酒の容器と思われます。
地の上に白泥で化粧掛けを施し、鉄を含む顔料で絵を描いて釉を掛けています。
自分より大きそうな魚を捕まえようとするカワセミ、ひょろりと伸びた蓮の花、
反対側にはとぼけた表情のサギが、のんびりした筆遣いで描かれています。
「粉青鉄絵 魚文 深鉢」 鶏龍山焼 朝鮮時代・15世紀後半〜16世紀

儒教の儀礼用の「洗」と呼ばれる器で、白化粧を施した上に高麗鱖魚(ケツギョ)が
大きく描かれています。
鱖は宮鱖(宮殿)に入って出世することを意味する、吉祥文様です。
「粉青線刻 柳文 長壺」 朝鮮時代・15世紀後半〜16世紀

線刻で木のようなものが勢いよく彫られていて、素朴を超えて何か前衛的な
ものまで感じます。
「鉄砂 虎鷺文 壺」 朝鮮時代・17世紀後半

まつ毛も描かれた、面白い顔の虎は大きく伸びをしていて、後ろには雲も沸き立ち、
元気の良い絵柄です。
反対側には手早い筆さばきで鷺と蓮も描かれています。
「青花 窓絵草花文 面取壺」 朝鮮時代・18世紀前半

ふっくら仕上げた胴を削って八角形に面取してあります。
秋草手と呼ばれる、李朝時代の意匠で、染付によるさらりとした描き方に
味わい深いものがあります。
「青花 草花文 面取瓶」 朝鮮時代・18世紀前半

頸の部分から八角形の面取りが施されています。
可憐な姿の草花が描かれ、安宅氏は秋草手の徳利の頂点とみなしていたそうです。
儒教を重んじた李朝は華美を排し、簡素な白色を好んだので、陶磁にもそれが
表れています。
「青花 虎鵲文 壺」 広州官窯 朝鮮時代・18世紀後半


肩口に如意頭文が廻り、月、遠山、そして虎が描かれています。
虎は尻尾がとても長く、呑気な顔をしていて、猫のようです。
「辰砂 松鶴文 壺」 朝鮮時代・18世紀

白磁に辰砂彩で、松と鶴をおおらかな筆さばきで描いています。
韓国陶磁には完成度の高さを追及する中国陶磁とは違った、安らぎのある作品の
多いのが魅力です。
展覧会のHPです。
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