上野
4月に展示替えになった東京国立博物館の総合文化展(平常展)の記事を3回に分け、
今日はその3です。
「綱絵巻」 室町時代・16世紀





渡辺綱が羅生門で鬼退治をした話と、源頼光の病の原因が牛鬼であると突き止め、
その腕を斬って持ち帰るが、母に化けた牛鬼に取り返された話です。
「見立山吹の里」 鈴木春信 江戸時代・18世紀

雨具を貸してほしいとの太田道灌の頼みを断った逸話に拠っています。
七重八重花は咲けども山吹のみの(実の・蓑)一つだに無きぞ悲しき
「新板風流五節句遊・五月」 岩井半四郎 歌川豊国 江戸時代・18世紀

五月の節句で、菖蒲を活けています。
「幼時を夢見る坂田金時」 鳥居清長 江戸時代 18世紀

坂田金時が足柄山で熊と遊んでいた金太郎の時代の夢を見ています。
坂田金時は伝説上の人物ですが、源頼光の四天王の一人で、頼光に従って
大江山の酒呑童子を退治したとされています。
「出陣図」 蹄斎北馬 江戸時代 19世紀

肉筆浮世絵で、源頼朝の命により土佐坊昌俊の軍勢が京都の源義経の屋敷を
襲撃し(堀川夜討)、義経が迎え討つ場面です。
義経は静御前から兜を受け取り、馬は勇んで足掻いています。
蹄斎北馬(1770‐1844)は御家人の子ですが家を継がず、葛飾北斎に入門し、
谷文晁の手伝いもしています。
肉筆美人画を多く描いています。
「五月幟」 歌川国芳 江戸時代 嘉永2年(1849)

天保の改革による取締まりで江戸を追放された父の市川海老蔵(7代目市川団十郎)を
追って大坂に行く8代目市川団十郎の出発を祝って、魚市の人たち制作しています。
魚市らしく鯉を大きく描き、鍾馗は市川海老蔵の顔になっています。
「色絵蝶牡丹文大皿」 伊万里 江戸時代 17世紀

紫を中心にした濃厚な色彩と絵柄で、古九谷との共通性を思わせます。
***
1階のジャンル別展示 14室では「特集 ニール号引き揚げ品—ウィーン万博をめぐる
日欧の工芸文化交流—」の展示があります。
1873年のウィーン万国博覧会に出展した日本の美術工芸品や、帰国に際し集められた
ヨーロッパの品々を積んだニール号が1874年に伊豆沖で嵐のため沈没しています。
その後に引き揚げられた品や、あらためて海外から寄贈された作品などの展示です。
「色絵金彩婦人図皿」 ドイツ・バイエルン 19世紀

引き揚げられた品で、バイエルン国王マクシミリアン2世の王妃マリーの肖像です。
マクシミリアン2世はオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフの従弟に当たります。
ドイツ帝国の中の領邦国家だったバイエルン王国は第1次世界大戦による
ドイツ敗北と共に、1918年に消滅しています。
「色絵金彩婦人獅子図木瓜形盆」 イギリス 19世紀

裸体の女性、ライオン、蛇、背景にはピラミッドが描かれた、オリエンタリズムに拠る
絵柄です。
「銹絵葡萄図角皿」 乾山 江戸時代18世紀

乾山によく見られる角皿ですが、陶器で低温焼成のためか変色が進んでいます。
「鼈甲製鳥籠」 長崎 江戸時代 19世紀


籠や止まり木もべっ甲で作った精巧な細工です。
よく海中で腐食せずにいたものです。
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4月に展示替えになった東京国立博物館の総合文化展(平常展)の記事を3回に分け、
今日はその3です。
「綱絵巻」 室町時代・16世紀





渡辺綱が羅生門で鬼退治をした話と、源頼光の病の原因が牛鬼であると突き止め、
その腕を斬って持ち帰るが、母に化けた牛鬼に取り返された話です。
「見立山吹の里」 鈴木春信 江戸時代・18世紀

雨具を貸してほしいとの太田道灌の頼みを断った逸話に拠っています。
七重八重花は咲けども山吹のみの(実の・蓑)一つだに無きぞ悲しき
「新板風流五節句遊・五月」 岩井半四郎 歌川豊国 江戸時代・18世紀

五月の節句で、菖蒲を活けています。
「幼時を夢見る坂田金時」 鳥居清長 江戸時代 18世紀

坂田金時が足柄山で熊と遊んでいた金太郎の時代の夢を見ています。
坂田金時は伝説上の人物ですが、源頼光の四天王の一人で、頼光に従って
大江山の酒呑童子を退治したとされています。
「出陣図」 蹄斎北馬 江戸時代 19世紀

肉筆浮世絵で、源頼朝の命により土佐坊昌俊の軍勢が京都の源義経の屋敷を
襲撃し(堀川夜討)、義経が迎え討つ場面です。
義経は静御前から兜を受け取り、馬は勇んで足掻いています。
蹄斎北馬(1770‐1844)は御家人の子ですが家を継がず、葛飾北斎に入門し、
谷文晁の手伝いもしています。
肉筆美人画を多く描いています。
「五月幟」 歌川国芳 江戸時代 嘉永2年(1849)

天保の改革による取締まりで江戸を追放された父の市川海老蔵(7代目市川団十郎)を
追って大坂に行く8代目市川団十郎の出発を祝って、魚市の人たち制作しています。
魚市らしく鯉を大きく描き、鍾馗は市川海老蔵の顔になっています。
「色絵蝶牡丹文大皿」 伊万里 江戸時代 17世紀

紫を中心にした濃厚な色彩と絵柄で、古九谷との共通性を思わせます。
***
1階のジャンル別展示 14室では「特集 ニール号引き揚げ品—ウィーン万博をめぐる
日欧の工芸文化交流—」の展示があります。
1873年のウィーン万国博覧会に出展した日本の美術工芸品や、帰国に際し集められた
ヨーロッパの品々を積んだニール号が1874年に伊豆沖で嵐のため沈没しています。
その後に引き揚げられた品や、あらためて海外から寄贈された作品などの展示です。
「色絵金彩婦人図皿」 ドイツ・バイエルン 19世紀

引き揚げられた品で、バイエルン国王マクシミリアン2世の王妃マリーの肖像です。
マクシミリアン2世はオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフの従弟に当たります。
ドイツ帝国の中の領邦国家だったバイエルン王国は第1次世界大戦による
ドイツ敗北と共に、1918年に消滅しています。
「色絵金彩婦人獅子図木瓜形盆」 イギリス 19世紀

裸体の女性、ライオン、蛇、背景にはピラミッドが描かれた、オリエンタリズムに拠る
絵柄です。
「銹絵葡萄図角皿」 乾山 江戸時代18世紀

乾山によく見られる角皿ですが、陶器で低温焼成のためか変色が進んでいます。
「鼈甲製鳥籠」 長崎 江戸時代 19世紀


籠や止まり木もべっ甲で作った精巧な細工です。
よく海中で腐食せずにいたものです。
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