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「国宝・燕子花図屏風」展 南青山 根津美術館
表参道
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南青山の根津美術館では特別展、「国宝・燕子花図屏風」が開かれています。
会期は5月14日(日)までです。

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「燕子花図屏風」 尾形光琳 江戸時代 18世紀 国宝
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(右隻)
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(左隻)
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尾形光琳といえば「紅白梅図屏風」とこの屏風で、毎年、季節になると展示されます。

「夏草図屏風」 尾形光琳 江戸時代 18世紀
対img260 (2)

左下から右上に向かって、30種類もの夏の草花がびっしり並んで描かれています。
2曲1双の屏風で、琳派の屏風は左右を入れ替えても鑑賞できるそうですが、
これは1隻の屏風のようになっています。
「燕子花図屏風」 に比べると、写実性が増しています。

「白楽天図屏風」 尾形光琳 江戸時代 18世紀
光007

謡曲、「白楽天」を描いた作品です。
唐の詩人、白楽天が日本に渡ろうとしたところ、海上で老いた漁師
(実は和歌の神、住吉明神の化身)に出会い、和歌の力を知らされ、
神風によって吹き戻されたというお話です。
白楽天を乗せた船の描き方の奇抜さが眼を惹きます。

「四季草花図屏風」(右隻) 喜多川相説 江戸時代 17世紀
根津img530 (3)

すっきりとした配置で、芥子、土筆、燕子花、沢潟、夕顔などがおだやかな色調で
描かれています。
喜多川相説(生没年未詳)は俵屋宗達の弟子、俵屋宗雪の後継者と思われる絵師で、
京都と金沢を中心に活躍しています。
華やかな金箔地をあまり用いないのが特徴です。

「両帝図屏風」 狩野探幽 江戸時代 寛文元年(1661)
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右隻
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左隻
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豪華な金地に描かれていて、右隻は古代中国の皇帝とされる黄帝です。
黄帝は舟や車を発明したとされ、竜頭鷁首(りゅうとうげきしゅ)の舟や牛車も
描かれています。
左隻は、琴を弾き南風の詩を歌って天下を治めたとされる舜です。
狩野探幽(1602-1674)は元信の孫の永徳の孫で、徳川幕府の御用絵師となり、
狩野派の新しい画風を築いています。

「源氏物語朝顔図」 土佐光起 江戸時代 17世紀
狩野img649 (8)

狩野img649 (9)

源氏物語の「朝顔」の場面で、源氏と紫の上が語らい、庭では童女たちが
雪だるまを作っています。
夜の情景で、空には丸い月が浮かび、描写は細密で、火鉢の蒔絵まで描き込まれています。
本文の通り庭に落ちた扇も描かれていますが、池の鴛鴦を描くのは中世以来の様式
とのことです。
土佐光起(1617-1691)は江戸初期の絵師で、他派の画風も学び、後水尾天皇の寵愛を受け、
土佐家が一旦失った絵所預の職を85年振りに得て、土佐家中興の祖と謳われています。

「大津絵貼交屏風」 江戸時代 18世紀
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大津絵は江戸時代、近江大津宿で土産物として旅人に売られていた絵です。
鬼の念仏、藤娘、天狗と象の鼻比べ、瓢箪鯰、諫鼓鳥、鷹匠、槍持ち奴などが
並んでいます。
まだ描き方が形式化されていない18世紀はじめの絵とのことです。

藤娘
根津 (1)

鬼の念仏
根津

天狗と象の鼻比べ
根津 (2)


「伊勢参宮道中図屏風」(左隻部分) 江戸時代 18世紀
根津img530 (8)

京都から伊勢神宮までのお伊勢参りの道中を描いた六曲一双の屏風です。
瀬田の橋を渡る大名行列や宇治橋から参詣客が投げる賽銭を川の中で
網を持って待ち受ける男たちも見えます。

衣類をござに包んだ負俵を背負った巡礼
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大津絵を売る店と土産に買っていく客
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駕籠に乗った親子
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「新古今和歌集抄」 尾形宗謙 寛文12年(1672)
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尾形宗謙(1621-1687)は京都の呉服商雁金屋の当主で、尾形光琳・乾山の父です。

二条院讃岐
  大方の秋の寝覚めの露けくは又誰か袖に有明の月
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前大僧正慈円
  秋を経てあわれも秋の深草の里とふものはうずらなりけり
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よみびとしらず
  神無月しぐれふるらし佐保山の正木のかづら色まさりゆく
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「物外和尚送別図」 大川崇達ほか賛 正徳4年(1714) 
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南禅寺に居た物外本超が江戸に帰るのに際して、餞別として贈られた品です。
富士山の絵の上に禅僧たちの賛がびっしりと書かれています。
室町時代に盛んだった画題にちなんだ漢詩を賛として加える詩画軸が流行していました。

「銹絵梅図角皿」 尾形乾山作・尾形光琳画 江戸時代 18世紀
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光琳と乾山の合作で、光琳の紅白梅図屏風に似た梅が描かれ、
北宋の詩人、林和靖(967 - 1028)の詩が書かれています。
林和靖は梅を愛していました。

  耻随万物迹枯栄
  別借人間造化成


展示室5のテーマは「西田コレクション受贈II 唐物」です。
西田宏子氏より受贈した工芸品169件の一部を3回に分けて展示しています。
第2回は中国の陶磁器と漆器です。

「青花人物文筆筒」 景徳鎮窯 清時代 17世紀
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筆を立てる文房具で、青花(染付)で人物や驢馬などが描かれています。
ヨーロッパ向けの輸出品だったようです。

展示室6のテーマは初夏の茶の湯です。

「砂張釣舟花生 銘 艜(ひらた)」 東南アジア 15~16世紀
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細長い銅製の器で、縁を廻って細かい模様が入っています。
元は食器か盛り器として使われていた品です。
器を底の平らな川舟のひらた舟に見立てていて、武野紹鴎が所持していた
ところから紹鴎艜と呼ばれています。
砂張(さはり)は響銅とも書き、銅に錫、鉛を加えた合金です。

展覧会のHPです。


根津美術館の庭の燕子花は満開でした。

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アオサギも来ていました。

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【2023/05/02 19:38】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんばんは。
  • 今年は桜もそうですが、急に暖かくなったもので、燕子花の咲くのも早くなったと聞いていました。
    すぐには美術館に行けなかったもので、諦めていましたが、行ってみたらまだ満開だったので鑑賞できました。
    お客さんもかなり来ていました。
    自然が相手なので、予定通りいかないというのも一つの趣きかもしれません。

    【2023/05/03 00:08】 url[chariot #H4z1joGM] [ 編集]
  • 今年も根津美術館で「国宝・燕子花図屏風」が公開される時期になったのですね。今年はあいにく5/14迄は忙しくて行けませんが、またお庭の燕子花も併せて鑑賞したいと思います。

    【2023/05/02 22:00】 url[ばーばむらさき #v9aI.q/w] [ 編集]
    please comment















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