新橋・汐留
パナソニック汐留美術館では開館20周年記念展「ジョルジュ・ルオー
― かたち、色、ハーモニー」が開かれています。
会期は6月25日(日)まで、休館日は水曜日です。

ジョルジュ・ルオー(1871-1958)の作品を多く所蔵するパナソニック汐留美術館による、
ルオーの初期から晩年までの作品を展示する本格的な回顧展です。
ルオーがよく用いた言葉、「かたち、色、ハーモニー」をキーワードにしています。
展示室は一部撮影可能です。
Ⅰ 国立美術学校時代の作品:古典絵画の研究とサロンへの挑戦
ルオーは職人の子として生まれ、初めステンドグラス職人に弟子入りしています。
ルオーの作品の特徴の黒い輪郭線はステンドグラスの影響といわれています。
やがて絵画を志し、1890年には国立の美術学校、エコール・デ・ボザールに入学します。
教授はギュスターヴ・モローで、同窓生にマティス、マルケらがいて、特にマティスは
生涯の友となります。
「自画像」 1895年 ジョルジュ・ルオー財団

最初の自画像で、木炭、黒チョークによって描かれています。
顔と左手のパレットが白く浮き上がって見えるのはレンブラントの影響があるそうです。
かなり傷があるのは、第2次世界大戦中に作品を保管していた家がドイツ軍に占拠されて
いたためとのことです。
「死せるキリストとその死を悼む聖女たち」 1895-97年 ジョルジュ・ルオー財団

木炭とチョークによる初期の暗い雰囲気の作品で、テーマとしてキリストが現れています。
キリストに身を寄せているのは聖母マリア、聖ヨハネ、ヤコブとヨセフの母マリア、
ゼベダイの子らの母、足元に跪いているのはマグダラのマリアです。
マリアたちの顔はレオナルド・ダ・ヴィンチの作品に似ており、レオナルドを研究していた
ことが分かります。
Ⅱ 裸婦と水浴図:独自のスタイルを追い求めて
「花瓶 水浴の女たち」 1909年 ファイアンス パナソニック汐留美術館

ルオーやマティス、ヴラマンク、ドランたちは画商のアンブロワーズ・ヴォラール
(1866-1939)に誘われて、パリ近郊の陶芸家、アンドレ・メテ(1871-1920)の
工房を訪れ、陶器の絵付けを行なっています。
特にルオーは陶芸を重視していました。
装飾性を見せず、塗りを重ねて深みのある器面にしています。
ルオーは芸術の順位を1位が陶芸、2位が絵画としていて、陶芸を重視しています。
陶芸はマティエールの表現にすぐれていると考えていて、ルオー独特の、厚塗りによる
マティエールは陶芸によって取得したものと思われます。
ルオーの父はピアノのニス塗り職人で、ルオーも初めはステンドグラス職人だったので、
工芸への親近感もあったのでしょう。
「花蘇芳の側にいる水浴の女たち」 1925-29年 パナソニック汐留美術館

花蘇芳は春に赤紫の花を咲かせる木です。
赤色が強調され、青色との対比が効いています。
「セザンヌへのオマージュ(セザンヌの泉)」 1938年 なかた美術館

1906年に亡くなったセザンヌへのオマージュとして、セザンヌの故郷のエクス=アン=
プロヴァンスに噴水を建てる計画がありました。
そのために描かれた作品で、噴水の出る壁にはセザンヌの肖像と水浴図が
据えられています。
南仏らしい古代ローマ風のデザインですが、残念ながら、この計画は実現しませんでした。
ルオーもセザンヌに倣って水浴図をよく描いています。
Ⅲ サーカスと裁判官:装飾的コンポジションの探求
「プルチネルラ」 1910年頃 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

プルチネルラ(プルチネッラ)はイタリアの風刺劇、コメディア・デラルテ
(コンメディア・デッラルテ)に登場する道化役です。
傲慢な噓つきという役柄ですが、暗い色彩で演じる人物の悲哀をも表しています。
「小さな家族」 1932年 出光美術館

ルオーはサーカスをよく題材にしていますが、色彩はだんだん明るくなっていきます。
高さ212㎝の大きな作品で、タピスリーの原画として制作されていて、縁取りも
描かれています。
赤、黄、青の衣装を着たサーカスの一座の家族がくつろいでいて、3人の視線は
信頼と愛情を表しています。
衣装やカーテンの赤色がとりわけ印象的です。
「二人組(二兄弟)」 1948年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

サーカスの道化がモデルのようで、色調は明るく青色に深みがあり、表情はとても柔らかく、
聖母子の趣きがあり、「プルチネルラ」を描いた頃とかなり雰囲気が変わっています。
「最期の時を待つ十字架上のキリスト」
1952-56年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

磔にされたキリストと共に描かれているのは法服を着た裁判官です。
ルオーは人が人を裁くことの恐ろしさを訴えて、よく裁判官を描いています。
白い点による縁取りは晩年の特徴です。
フランスは1905年に成立した政教分離法によって、法廷に掲げられていた十字架像が
撤去されましたが、ルオーはこれに怒っていたそうです。
フランス革命以来の政教分離主義原則(ライシテ)はカトリックの支配からの自由を
目指したものですが、現在もイスラム系の移民などの問題を抱えています。
Ⅳ 二つの大戦:人間の苦悩と希望
「母親に忌み嫌われる戦争(ミセレーレ42)」 1927年 パナソニック汐留美術館

「ミセレーレ」とはラテン語で、「憐れみたまえ」という意味です。
父の死と第一次世界大戦を経験したルオーが制作した58点の銅版画集で、
9点が展示されています。
力強いモノクロで、深い悲しみの感情が表れています。
「青い鳥は目を潰せばもっとよく歌うだろう」、 通称「青い鳥」
1934年 個人蔵(ルオー財団協力)

「ミセレーレ」に組み入れられる予定で、採用されなかった作品です。
「ナイチンゲール(小夜啼鳥)は目を潰すとよく歌う」という伝説に依っているとのことです。
「ホモ・ホミニ・ルプス(人は人にとりて狼なり)」
1944-48年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

「ミセレーレ」の中の1作を油彩画にしたもので、第2次世界大戦中から数年かけ
て描いています。
「ホモ・ホミニ・ルプス」はラテン語で、古代ローマの劇作家の言葉です。
「深き淵より」 1946年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

「ミセレーレ」で描かれた、ヘルメットを被った兵士が聖職者に変わっています。
元は1912年に亡くなった父が制作のきっかけとのことです。
カトリックの聖職者は結婚を禁じられているので、傍らの二人は妻と子ではないと
いうことになります。
Ⅴ 旅路の果て:装飾的コンポジションへの到達
こちらの展示室は撮影可能です。
ルオーがよく用いたアーチも設けられています。

「クマエの巫女」 1947年 パナソニック汐留美術館

クマエの巫女はローマ神話に登場する巫女です。
ローマの詩人、ウェルギリウスの詩において、キリストの降誕を予言したとして、
後のキリスト教社会では伝えられています。
ミケランジェロもシスティーナ礼拝堂の天井画に描いています。
「大木のある風景」 1946年頃 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

ルオーは1920年代から幻想的な風景の中に聖なる人物を描く、「聖書風景」と
呼ばれる作品を描き始めます。
その中の1点で、縦長の画面の中にキリスト、母子、月、塔が描き込まれています。
「キリストと漁夫たち」 1947年頃 パナソニック汐留美術館

夕暮れの水辺の風景ですが、キリストも描かれていて、聖書によく出てくる
キリストと漁夫の話の場面になっています。
空と水の青色が深い精神性を表わしています。
「受難(エッケ・ホモ)」 1947‒1949年 パリ国立近代美術館・ポンピドゥー・センター

新約聖書のヨハネ福音書にある一場面で、裁判にかけられるイエスをローマ総督
ポンテオ・ピラトが「エッケ・ホモ(この人を見よ)」と言って群衆に指し示します。
イエスはマタイ福音書の通り、茨の冠をかぶり、赤い衣を着せられ、王笏の代わりに
葦の棒を持たされています。
その表情は深く静かで、自らの苦難を引き受けています。
「かわいい魔術使いの女」 1949年 パリ国立近代美術館・ポンピドゥー・センター

ルオーが一度手元に戻して、描き足した作品で、元は裸婦が描かれていたものを
大きく変えています。
ルオーは一度完成した作品でも描き足すことをよく行なっています。
美術評論家で収集家の福島繁太郎(1895-1960)の旧蔵品でした。
福島繁太郎は1920年代を中心に長くパリに滞在し、多くの作品を購入して
日本にもたらしており、特にルオーと交流を深めています。

「秋の終り」 1952-56年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

「聖書風景」の一つで、ルオーの好んだ夕暮れの光景の中のキリストで、月も出ています。
風景画と宗教画が一体となった作品です。
ルオーの作品は晩年になると、画面に黄色が増えてきます。
「キリストとの親しき集い」 1952年 パナソニック汐留美術館

室内でのキリストの姿で、女性に祝福を与えているところです。
横長の画面にアーチが連なり、穏やかで安定感のある情景です。
常設展示室ルオー・ギャラリーでは「女曲馬師(人形の顔)」と「エジプトへの逃避」を
高解像度撮影した画像を拡大投影していて、細かい筆遣いや豊かな色彩を確認する
ことが出来ます。
(参考)
「女曲馬師(人形の顔)」 1925年頃 パナソニック汐留美術館

ルオーの特徴のアーモンド型の目をした、くっきりとした肖像です。
目元や口元、髪飾りの赤に生命力を感じます。
展覧会のHPです。
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パナソニック汐留美術館では開館20周年記念展「ジョルジュ・ルオー
― かたち、色、ハーモニー」が開かれています。
会期は6月25日(日)まで、休館日は水曜日です。

ジョルジュ・ルオー(1871-1958)の作品を多く所蔵するパナソニック汐留美術館による、
ルオーの初期から晩年までの作品を展示する本格的な回顧展です。
ルオーがよく用いた言葉、「かたち、色、ハーモニー」をキーワードにしています。
展示室は一部撮影可能です。
Ⅰ 国立美術学校時代の作品:古典絵画の研究とサロンへの挑戦
ルオーは職人の子として生まれ、初めステンドグラス職人に弟子入りしています。
ルオーの作品の特徴の黒い輪郭線はステンドグラスの影響といわれています。
やがて絵画を志し、1890年には国立の美術学校、エコール・デ・ボザールに入学します。
教授はギュスターヴ・モローで、同窓生にマティス、マルケらがいて、特にマティスは
生涯の友となります。
「自画像」 1895年 ジョルジュ・ルオー財団

最初の自画像で、木炭、黒チョークによって描かれています。
顔と左手のパレットが白く浮き上がって見えるのはレンブラントの影響があるそうです。
かなり傷があるのは、第2次世界大戦中に作品を保管していた家がドイツ軍に占拠されて
いたためとのことです。
「死せるキリストとその死を悼む聖女たち」 1895-97年 ジョルジュ・ルオー財団

木炭とチョークによる初期の暗い雰囲気の作品で、テーマとしてキリストが現れています。
キリストに身を寄せているのは聖母マリア、聖ヨハネ、ヤコブとヨセフの母マリア、
ゼベダイの子らの母、足元に跪いているのはマグダラのマリアです。
マリアたちの顔はレオナルド・ダ・ヴィンチの作品に似ており、レオナルドを研究していた
ことが分かります。
Ⅱ 裸婦と水浴図:独自のスタイルを追い求めて
「花瓶 水浴の女たち」 1909年 ファイアンス パナソニック汐留美術館

ルオーやマティス、ヴラマンク、ドランたちは画商のアンブロワーズ・ヴォラール
(1866-1939)に誘われて、パリ近郊の陶芸家、アンドレ・メテ(1871-1920)の
工房を訪れ、陶器の絵付けを行なっています。
特にルオーは陶芸を重視していました。
装飾性を見せず、塗りを重ねて深みのある器面にしています。
ルオーは芸術の順位を1位が陶芸、2位が絵画としていて、陶芸を重視しています。
陶芸はマティエールの表現にすぐれていると考えていて、ルオー独特の、厚塗りによる
マティエールは陶芸によって取得したものと思われます。
ルオーの父はピアノのニス塗り職人で、ルオーも初めはステンドグラス職人だったので、
工芸への親近感もあったのでしょう。
「花蘇芳の側にいる水浴の女たち」 1925-29年 パナソニック汐留美術館

花蘇芳は春に赤紫の花を咲かせる木です。
赤色が強調され、青色との対比が効いています。
「セザンヌへのオマージュ(セザンヌの泉)」 1938年 なかた美術館

1906年に亡くなったセザンヌへのオマージュとして、セザンヌの故郷のエクス=アン=
プロヴァンスに噴水を建てる計画がありました。
そのために描かれた作品で、噴水の出る壁にはセザンヌの肖像と水浴図が
据えられています。
南仏らしい古代ローマ風のデザインですが、残念ながら、この計画は実現しませんでした。
ルオーもセザンヌに倣って水浴図をよく描いています。
Ⅲ サーカスと裁判官:装飾的コンポジションの探求
「プルチネルラ」 1910年頃 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

プルチネルラ(プルチネッラ)はイタリアの風刺劇、コメディア・デラルテ
(コンメディア・デッラルテ)に登場する道化役です。
傲慢な噓つきという役柄ですが、暗い色彩で演じる人物の悲哀をも表しています。
「小さな家族」 1932年 出光美術館

ルオーはサーカスをよく題材にしていますが、色彩はだんだん明るくなっていきます。
高さ212㎝の大きな作品で、タピスリーの原画として制作されていて、縁取りも
描かれています。
赤、黄、青の衣装を着たサーカスの一座の家族がくつろいでいて、3人の視線は
信頼と愛情を表しています。
衣装やカーテンの赤色がとりわけ印象的です。
「二人組(二兄弟)」 1948年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

サーカスの道化がモデルのようで、色調は明るく青色に深みがあり、表情はとても柔らかく、
聖母子の趣きがあり、「プルチネルラ」を描いた頃とかなり雰囲気が変わっています。
「最期の時を待つ十字架上のキリスト」
1952-56年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

磔にされたキリストと共に描かれているのは法服を着た裁判官です。
ルオーは人が人を裁くことの恐ろしさを訴えて、よく裁判官を描いています。
白い点による縁取りは晩年の特徴です。
フランスは1905年に成立した政教分離法によって、法廷に掲げられていた十字架像が
撤去されましたが、ルオーはこれに怒っていたそうです。
フランス革命以来の政教分離主義原則(ライシテ)はカトリックの支配からの自由を
目指したものですが、現在もイスラム系の移民などの問題を抱えています。
Ⅳ 二つの大戦:人間の苦悩と希望
「母親に忌み嫌われる戦争(ミセレーレ42)」 1927年 パナソニック汐留美術館

「ミセレーレ」とはラテン語で、「憐れみたまえ」という意味です。
父の死と第一次世界大戦を経験したルオーが制作した58点の銅版画集で、
9点が展示されています。
力強いモノクロで、深い悲しみの感情が表れています。
「青い鳥は目を潰せばもっとよく歌うだろう」、 通称「青い鳥」
1934年 個人蔵(ルオー財団協力)

「ミセレーレ」に組み入れられる予定で、採用されなかった作品です。
「ナイチンゲール(小夜啼鳥)は目を潰すとよく歌う」という伝説に依っているとのことです。
「ホモ・ホミニ・ルプス(人は人にとりて狼なり)」
1944-48年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

「ミセレーレ」の中の1作を油彩画にしたもので、第2次世界大戦中から数年かけ
て描いています。
「ホモ・ホミニ・ルプス」はラテン語で、古代ローマの劇作家の言葉です。
「深き淵より」 1946年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

「ミセレーレ」で描かれた、ヘルメットを被った兵士が聖職者に変わっています。
元は1912年に亡くなった父が制作のきっかけとのことです。
カトリックの聖職者は結婚を禁じられているので、傍らの二人は妻と子ではないと
いうことになります。
Ⅴ 旅路の果て:装飾的コンポジションへの到達
こちらの展示室は撮影可能です。
ルオーがよく用いたアーチも設けられています。

「クマエの巫女」 1947年 パナソニック汐留美術館

クマエの巫女はローマ神話に登場する巫女です。
ローマの詩人、ウェルギリウスの詩において、キリストの降誕を予言したとして、
後のキリスト教社会では伝えられています。
ミケランジェロもシスティーナ礼拝堂の天井画に描いています。
「大木のある風景」 1946年頃 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

ルオーは1920年代から幻想的な風景の中に聖なる人物を描く、「聖書風景」と
呼ばれる作品を描き始めます。
その中の1点で、縦長の画面の中にキリスト、母子、月、塔が描き込まれています。
「キリストと漁夫たち」 1947年頃 パナソニック汐留美術館

夕暮れの水辺の風景ですが、キリストも描かれていて、聖書によく出てくる
キリストと漁夫の話の場面になっています。
空と水の青色が深い精神性を表わしています。
「受難(エッケ・ホモ)」 1947‒1949年 パリ国立近代美術館・ポンピドゥー・センター

新約聖書のヨハネ福音書にある一場面で、裁判にかけられるイエスをローマ総督
ポンテオ・ピラトが「エッケ・ホモ(この人を見よ)」と言って群衆に指し示します。
イエスはマタイ福音書の通り、茨の冠をかぶり、赤い衣を着せられ、王笏の代わりに
葦の棒を持たされています。
その表情は深く静かで、自らの苦難を引き受けています。
「かわいい魔術使いの女」 1949年 パリ国立近代美術館・ポンピドゥー・センター

ルオーが一度手元に戻して、描き足した作品で、元は裸婦が描かれていたものを
大きく変えています。
ルオーは一度完成した作品でも描き足すことをよく行なっています。
美術評論家で収集家の福島繁太郎(1895-1960)の旧蔵品でした。
福島繁太郎は1920年代を中心に長くパリに滞在し、多くの作品を購入して
日本にもたらしており、特にルオーと交流を深めています。

「秋の終り」 1952-56年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

「聖書風景」の一つで、ルオーの好んだ夕暮れの光景の中のキリストで、月も出ています。
風景画と宗教画が一体となった作品です。
ルオーの作品は晩年になると、画面に黄色が増えてきます。
「キリストとの親しき集い」 1952年 パナソニック汐留美術館

室内でのキリストの姿で、女性に祝福を与えているところです。
横長の画面にアーチが連なり、穏やかで安定感のある情景です。
常設展示室ルオー・ギャラリーでは「女曲馬師(人形の顔)」と「エジプトへの逃避」を
高解像度撮影した画像を拡大投影していて、細かい筆遣いや豊かな色彩を確認する
ことが出来ます。
(参考)
「女曲馬師(人形の顔)」 1925年頃 パナソニック汐留美術館

ルオーの特徴のアーモンド型の目をした、くっきりとした肖像です。
目元や口元、髪飾りの赤に生命力を感じます。
展覧会のHPです。
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