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「吹きガラス 妙なるかたち、技の妙」展 サントリー美術館
六本木・乃木坂
chariot

サントリー美術館では「吹きガラス 妙なるかたち、技の妙」展が開かれています。
会期は6月25日(日)まで、休館日は火曜日です。
会期中、一部に展示替えがあるので、展覧会のHPでご確認ください。

吹きガラスimg741 (2)


溶けた熱いガラスに金属の管(吹き竿)で息を吹き込んで成形する、吹きガラスについての
展覧会で、さまざまな技法に拠る作品、約200点が展示されています。
各技法についての解説も掲示されていて、どのように製作されていたのかが分かります。

展示品の一部は撮影可能です。

第I章:自然な曲線美-古代ローマの吹きガラス

吹きガラスは紀元前1世紀に東地中海地域で開発された技法です。

「吊手付二連瓶」 東地中海沿岸域 4~5世紀 遠山記念館
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試験管のような細い瓶を2つ合わせて、吊手も付けてあります。

「四連瓶」 シリア 4~5世紀 岡山市立オリエント美術館
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第Ⅱ章:ホットワークの魔法―ヨーロッパの吹きガラス

「レース・ガラス脚付鉢」 イタリア 16~17世紀 サントリー美術館
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細いガラス棒を並べ、吹き竿に巻き取って吹いて成形する、ヴェネチアで開発された
技法で作られています。

1590年の豊臣秀吉の小田原攻めの時、落城した八王子城からはヴェネチアの
レース・ガラスの破片が出土しており、戦国時代にはヴェネチアのガラス製品が
輸入されていたことが分かります。

「船形水差」 イタリア 16~17世紀 サントリー美術館
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優美で繊細な細工の、ヴェネチアらしい造形です。
船体にふくらみを持たせ、マストもしんこ細工のように組み上げています。


「ダイヤモンドポイント彫り蓋付ゴブレット」 イタリアもしくはスペイン
 16世紀 サントリー美術館

ベネ010

ダイヤモンドで精巧な植物模様の彫りを入れてあります。
カタルーニャはガラスの産地で、ヴェネチアの技術をよく取り入れています。


第Ⅲ章:制約がもたらす情趣―東アジアの吹きガラス

「蓋付壺 水滴」 伝滋賀県比叡山根本如法堂付近出土品のうち
 宋もしくは日本 12世紀 奈良国立博物館 

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経塚からの出土品です。
とても小さく、長く土中にあったため、変色して透明さは失われています。
特にガラスの水滴は現存最古の品とされています。
経塚は経典をその他の品と共に経筒に納め、地中に埋納したもので、根本如法堂の
付近には多くの経塚がありました。

「ガラス製造関連遺物」 博多駅遺跡群出土  11~13世紀 奈良国立博物館 
吹きガラスimg741 (7)

博多駅周辺では、ガラスの貼り付いた坩堝など、ガラス生産の遺物が出土しています。
ガラス製造技術は宋から博多に伝わっていました。

「藍色ちろり」 江戸時代 18世紀 サントリー美術館
ベネ008

南蛮貿易で栄えた長崎にガラスの技術が伝わり、長崎ビードロを生んでいます。
冷酒を入れる酒器で、ひねりの付いた取っ手がとてもお洒落です。
幕末の薩摩切子のくっきりした形とは違った、丸い柔らかさがあります。


第Ⅳ章:今に連なる手仕―近代日本の吹きガラス

明治になると近代的なガラス製造技術が伝わります。

「籠目文赤縁碗形氷コップ」 日本 20世紀 個人蔵
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かき氷の器で、赤色は彩色ではなく、2種類のガラスを継ぎ足しています。
凹凸のある鋳型に器を圧着させ、当たる部分と当たらない部分の温度差を利用して
模様を付けています。
手仕事の妙味を味わえる器です。

第Ⅴ章:広がる可能性-現代アートとしての吹きガラス

吹きガラスの技法を基にした現代アートの作品です。

「しろの くろの かたち 2022」 小林千紗 2022年 作家蔵
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黒の絵具を塗り、艶も消して、ガラスらしくない存在感を見せています。

「Amorphous 21-1」 横山翔平 2022年 作家蔵
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巨大な練り物のようで、力強さがそのまま固まっています。

「Amorphous 22-5」 横山翔平 2022年 作家蔵
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とても大きな球体に布の様にガラスが掛かっています。

「Vestige 」 藤掛幸智 2023年 作家蔵
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ガラスの板で直方体を作り、吹き竿に付けて変形させています。

「Transition ‘22-11」 竹岡健輔 2022年 作家蔵
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網目状に組んだパーツを球体に貼り付け、平面と立体を一体化させています。


展覧会のHPです。

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【2023/05/06 19:55】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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