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「テート美術館展 光― ターナー、印象派から現代へ」 国立新美術館 その1
乃木坂
chariot

六本木の国立新美術館では「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」が
開かれています。
会期は10月2日(月)まで、休館日は火曜日です。

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イギリスのテート美術館のコレクションから「光」をテーマに、18世紀末から現代までの作品
約120点が展示されています。
今回の展覧会は絵画ばかりでなく、キネティック・アートやインスタレーション、映像などの
現代アートも展示されているのが特徴です。

記事は2回に分け、今日はその1です。
展示室は一部を除いて撮影可能です。

ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー 「噴火するヴェスヴィオ山とナポリ湾の島々を臨む眺め」
 1776-80年頃

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満月に照らされたナポリ湾と噴煙を上げて噴火するヴェスヴィオ山です。
噴火で埋まったヘルクラネウムは1738年、ポンペイは1748年に発見され、人びとの
注目を集めました。
ジョゼフ・ライト(1734年 – 1797)はダービー出身の画家で、光による明暗を強調した
作品を描いています。

ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー 「トスカーナの海岸の灯台と月光」 1789年出品?
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ジョン・マーティン 「ポンペイとヘルクラネウムの崩壊」 1822年、2011年修復
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横253㎝の大作で、ヴェスヴィオ山の噴火による火砕流に呑み込まれようとする
ポンペイとヘルクラネウム、逃げ惑うローマ人たちです。
ジョン・マーティン(1789 - 1854)はイングランド出身で、巨大な画面に描かれた
劇的な情景で有名です。

ウィリアム・ブレイク 「アダムを裁く神」 レリーフ・エッチング 1795年
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ウィリアム・ブレイク(1757 - 1827)はロンドン生まれの詩人、画家、銅版画家で、
神話的世界を描いています。
イングランドの 愛国歌「エルサレム」の作詞者でもあります。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「湖に沈む夕日」 1840年頃
パンフレットに使われている作品です。
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775-1851)は晩年になると、自然を
描くのに、写実を超えてその力、感動そのものを表そうとするようになります。
そして光や空気を画面に表そうとするので、物体の形がはっきり見えなくなり、
抽象画に近くなってきます。
晩年のモネも光そのものを追及しているところが似ています。

2013年に東京都美術館で開かれた「ターナー展」の記事です。

ジョン・コンスタブル 「ハリッジ灯台」 1820年出品?
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空と雲、海を中心にした、のどかな風景です。

ジョン・コンスタブル 「ハムステッド・ヒースのブランチ・ヒル・ポンド、
土手に腰掛ける少年」 1825年頃

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広々とした景色で、雲の間から日が差しています。

ジョン・コンスタブルは(1776-1837)は同時代のウィリアム・ターナー(1775-1851)と
並ぶ風景画家で、ターナーがヨーロッパ各地を訪ねてその地の風景を描いたのに対し、
コンスタブルは劇的な要素を抑えて、故郷のサフォークなど、自分の生活に密着した
風景を生涯描き続けています。

2021年に三菱一号館美術館で開かれた「テート美術館所蔵 コンスタブル展」の記事です。

ジェームズ・マクニール・ホイッスラー 「肌色と緑色の黄昏:バルパライソ」 1866年
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チリの港町、バルパライソの情景です。
抑えた色調によって夕暮れ時の情感を描き出しています。
ジェームズ・マクニール・ホイッスラー(1834-1903)アはメリカ生まれで、イギリスと
フランスで活躍し、日本の浮世絵の影響も受け、ジャポニズムの画家とも呼ばれています。

2014年に横浜美術館で開かれた「ホイッスラー展」の記事です。

ジョン・エヴァレット・ミレイ 「露に濡れたハリエニシダ」 1889-90年
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地味な題材ですが、露に濡れ淡い日の光に照らされたハリエニシダの描写は
画力の高さを示しています。
ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-1896)はダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
(1828-1882)、ウィリアム・ホルマン・ハント(1827-1910)と共に1848年に
結成した絵画結社、ラファエル前派の一員でした。
後にラファエル前派を離れ、感傷的な作品で名声を得ています。

ジョン・ブレット 「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」 1871年
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横約2mの大きな作品で、イギリス南部ドーセットシャーの風景です。
ジョン・ブレット(1831-1902)はイギリスの画家で、風景画を得意とし、ラファエル前派を
支援した美術評論家のジョン・ラスキン(1819-1900)に評価されています。

エドワード・バーン=ジョーンズ 『「愛」に導かれる巡礼』 1896-97年
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横約3mの大作で、チョーサーの翻案による「薔薇物語」を題材にしていて、
「愛」が薔薇に恋焦がれた巡礼の手を取って導いています。
巡礼はサンティアゴ巡礼の象徴のホタテ貝を頭巾に着け、「愛」は
象徴である大きな矢を手にしています。
中世的な雰囲気のある端正な作品ですが、制作には20年かかったそうです。

エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ(1833-98)はバーミンガム出身で、
職人の子としては珍しくオックスフォード大学で神学を学び、後にアーツアンドクラフツの
提唱者となるウィリアム・モリス(1834-96)と友人になり、また美術評論家の
ジョン・ラスキンやラファエル前派を結成したダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの
影響を受けています。

2012年に三菱一号館美術館で開かれた「バーン=ジョーンズ展―装飾と象徴」の記事です。

光といえば印象派なので、モネ、ピサロ、シスレーなど、印象派の作品もあります。

アルフレッド・シスレー 「春の小さな草地」 1880年
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シスレー特有の地平線を低くした画面で、明るい日の光に照らされています。

カミーユ・ピサロ 「水先案内人がいる桟橋、ル・アーヴル、朝、霞がかった曇天」 1903年
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亡くなった年の作品で、一度始めていた点描派の描法から以前の作風に戻っています。

アルマン・ギヨマン 「モレ=シュル=ロワン」 1902年
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モレ=シュル=ロワンはパリの郊外にあり、シスレーも移り住んでいます。
アルマン・ギヨマン(1841 - 1927)はセザンヌやピサロと親しい印象派の画家で、
強めの色彩が特徴です。

フィリップ・ウィルソン・スティーア 「ヨットの行列」 1892-93年
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点描風の筆遣いによる明るい色調の作品です。
フィリップ・ウィルソン・スティーア(1860 – 1942)はイングランド生まれで、
イギリスの印象派を代表する画家の一人です。

ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864–1916)も2点展示されています。

ヴィルヘルム・ハマスホイ 「室内」 1899年
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何でもない室内の情景ですが、静謐な雰囲気に満たされています。

ウィリアム・ローゼンスタイン 「母と子」 1903年
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ハマスホイの作品と似た情景ですが、主題は母子の情愛です。
ウィリアム・ローゼンスタイン(1872- 1945)はイングランド生まれの画家で、
人物画を得意としていました。

抽象画や現代アートは、その2に書きます。

人気の高い展覧会で、休日の午後だったこともありましたが、かなりの来館者でした。

展覧会のHPです。

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【2023/07/18 19:25】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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