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「日本画に挑んだ精鋭たち―菱田春草、上村松園、 川端龍子から松尾敏男へ―」展 山種美術館
恵比寿
chariot

広尾の山種美術館では、特別展「日本画に挑んだ精鋭たち―菱田春草、上村松園、
川端龍子から松尾敏男へ―」展が開かれています。
会期は9月24日(日)までです。

日本画img984


柴田是真 「墨林筆哥」 1877-88年
若002

漆を使って描く漆絵による、琵琶を弾く蛙です。
蛙の鳴き声を琵琶になぞらえているのでしょうか。
柴田是真は漆絵の技法で有名です。

菱田 春草 「雨後」  1907年頃
日本画img985 (3)

横山大観と菱田春草は日本美術院の創設に参加し、1900年頃からは光や空気感を
出すために輪郭線を使わないで描く技法を手掛けています。
輪郭線が無いため、ぼんやりした印象があり、当時は「朦朧体」と呼ばれ、
非難されています。

土田麦僊 大原女 1915年
img212.jpgimg213.jpg

京都大原の桜で、右隻には三人の大原女が柴を頭を載せて、山道を歩いています。
左隻には何本もの竹が伸び、水車が回り、屋根にはキジバトが止まっています。
満開の桜の枝が両側に向けて広がり、右隻の大原女は右に体を傾け、左隻の竹は
左に傾き、左右に広がりを見せています。
大原女の足元をデッサンのままに残して、動きを感じさせる工夫をしています。

速水御舟 「白芙蓉」 1934年
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あわあわとした描き振りで、葉も墨の濃淡を巧みに使って表し、
芙蓉に挿した赤が華やかさを添えています。

川端龍子 「鳴門」 1929年
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川img023 (4)

川端龍子は洋画を学んでいましたが日本画に転向し、横山大観の日本美術院に
参加しています。
そして青龍社を設立し、従来のいわゆる「床の間芸術」に対抗して、広い展示場での
展示に耐える、「会場芸術」を追及しています。
横約8m以上もある大作で、濃い群青の波が渦巻く、迫力いっぱいの画面が
広がっています。
青龍社の第1回展の出品作で、「会場芸術」を目指す川端龍子の意気込みが
表れています。

上村松園 「牡丹雪」 1944年
松園001

雪の積もった傘を傾けて、二人の町娘が歩いています。
一人は、麻の葉模様の帯を締め、袂で傘の柄をくるむ様にして持ち、
前かがみになって褄を取り、雪道に難渋している風情で、もう一人は
御高祖頭巾を被っています。
清らかで、凛とした風情が、雪によって引き立ちます。

山口蓬春 「卓上」 1952年
西005

日本画とは思えないようなキュビズム風のモダンな作品ですが、装飾的なところは
やはり日本画で、緑色が爽やかです。
山口蓬春は洋画出身ということもあってか、近代西欧画を積極的に取り入れています。

これらの画家はそれぞれの方法で日本画の近代化に努めてきました。


以下は過去に山種美術館賞やSeed山種美術館日本画アワードを受賞した作品の展示です。

松尾敏男 「翔」 1970年 山種賞展(1 回) 優秀賞
日本画img985 (2)

上へ上へと広がる雄大な構想の作品です。

2010年に日本橋三越で開かれた「松尾敏男展」の記事です。

大森運夫 「山の夜神楽」 1975年 山種賞展(3 回)大賞
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伝統芸能の土俗的な力強さを描いています。

岡村桂三郎 「オオカミ」 1987年 山種賞展(9 回) 優秀賞
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人と獣の交錯する、猛々しい世界です。
岡村桂三郎さん(1958~)は東京都出身の日本画家で、板に怪物などを
ごつごつとした筆触で武骨に描いています。

京都絵美 「ゆめうつつ」 2016年 Seed 展(1 回) 大賞
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更紗を着た女性が夢を見ているような表情で、漂うように浮かび上がっています。
肌の色の濃淡やペイズリーの柄によって、日本画には珍しい立体感のある作品です。
京都絵美(みやこえみ)さん(1981-)は福岡県出身で、日本美術院院友、創作と
仏教絵画の研究を行なっています。


山種美術館のHPです。

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【2023/09/16 18:56】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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