上野
東京国立博物館の総合文化展(平常展)の展示品の多くが8月8日に展示替えに
なったので、3回に分けて記事にします。
今日はその1で、武具や衣装などです。
「円珍戒牒(円珍関係文書の内)」 平安時代・天長10年(833) 国宝


国宝室の展示です。
延暦寺第五世座主で天台宗寺門派の祖、円珍(智証大師)が延暦寺で菩薩戒を
受けた時に太政官が発行した証明書です。
太政官印が捺されています。
「色々糸威胴丸」 室町時代・15世紀 文化庁蔵 重要文化財



紅、白、紫の糸で威した胴丸で、大袖と杏葉が付き、金具を獅子牡丹文の絵韋で
包んでいます。
「金小札紅糸中白威腹巻」 安土桃山時代・16世紀 重要美術品


背中で引き合わせる腹巻で、大袖と喉輪、杏葉が付いています。
紅糸と白糸で威し、小札に金箔を貼った、華やかな鎧です。
「本小札勝色威腹巻」 江戸時代・18世紀文化庁蔵

今治藩久松松平家伝来で、室町時代の腹巻を模した復古調の甲冑です。
勝色(紺色)の糸で威し、星兜に鍬形と龍頭を付け、家紋の星梅鉢紋の
金具を配しています。

袖は壺袖で、腹巻の背の引合わせ部分を守る背板も付いています。
「雪下胴具足」 安土桃山時代・天正12年(1584)

会津雪下鍛冶の考案した、鉄板5枚を蝶番でつないだ武骨な五枚胴具足で、
伊達政宗が好んだ形です。
「片鎌槍」 室町時代・16世紀 徳川茂承氏寄贈

十文字槍の片方を短くした形です。
加藤清正の娘、八十姫(瑤林院)が紀伊和歌山藩初代徳川頼宣に輿入れの時に
持参しています。
「帷子 白麻地橘岩波文字模様」 江戸時代・18世紀


帷子(かたびら)は裏地の無い単衣で、夏に着られました。
橘の木の模様に和漢朗詠集の詩の一節「嘉 辰 令 月 歓 無 極」の文字が
刺繍されています。
「帷子 玉子色麻地風景模様」 江戸時代・18世紀


江戸時代後期の典型的な武家女性の夏の帷子です。
藍を主にした模様は江戸の武家屋敷の御殿女中の下位の衣装とされています。
「帷子 白麻地笠紅葉模様」 江戸時代・18世紀


笠と紅葉の意匠は古今和歌集の秋の歌に拠っています。
雨降れば笠取山のもみじ葉は行きかふ人の袖さへぞ照る
壬生忠岑
「帷子 白麻地幕鳥兜火焔太鼓風景模様」 江戸時代・19世紀


紅葉や幕、舞楽の鳥兜、火焔太鼓の意匠は源氏物語の紅葉の賀の帖に
拠っています。
以下は能衣装です。
「縫箔 紅白紺段籠目秋草七宝夕顔流水杜若模様」
江戸時代・18世紀 文化庁蔵


三段に分けて染め、刺繍で四季の花を表しています。
縫箔は刺繍と金銀箔で模様を表した衣装で、安土桃山時代の表着でした。
江戸時代の表着である唐織の段模様を模した珍しい品とのことです。
「縫箔 茶地百合御所車模様」 奈良・金春家伝来
安土桃山時代・16世紀 重要文化財


袖幅の狭い安土桃山時代の小袖の形です。
金の摺箔で立涌模様を施し、御所車と百合を刺繍しています。
大振りな百合のあしらいが印象的です。
chariot
東京国立博物館の総合文化展(平常展)の展示品の多くが8月8日に展示替えに
なったので、3回に分けて記事にします。
今日はその1で、武具や衣装などです。
「円珍戒牒(円珍関係文書の内)」 平安時代・天長10年(833) 国宝


国宝室の展示です。
延暦寺第五世座主で天台宗寺門派の祖、円珍(智証大師)が延暦寺で菩薩戒を
受けた時に太政官が発行した証明書です。
太政官印が捺されています。
「色々糸威胴丸」 室町時代・15世紀 文化庁蔵 重要文化財



紅、白、紫の糸で威した胴丸で、大袖と杏葉が付き、金具を獅子牡丹文の絵韋で
包んでいます。
「金小札紅糸中白威腹巻」 安土桃山時代・16世紀 重要美術品


背中で引き合わせる腹巻で、大袖と喉輪、杏葉が付いています。
紅糸と白糸で威し、小札に金箔を貼った、華やかな鎧です。
「本小札勝色威腹巻」 江戸時代・18世紀文化庁蔵

今治藩久松松平家伝来で、室町時代の腹巻を模した復古調の甲冑です。
勝色(紺色)の糸で威し、星兜に鍬形と龍頭を付け、家紋の星梅鉢紋の
金具を配しています。

袖は壺袖で、腹巻の背の引合わせ部分を守る背板も付いています。
「雪下胴具足」 安土桃山時代・天正12年(1584)

会津雪下鍛冶の考案した、鉄板5枚を蝶番でつないだ武骨な五枚胴具足で、
伊達政宗が好んだ形です。
「片鎌槍」 室町時代・16世紀 徳川茂承氏寄贈

十文字槍の片方を短くした形です。
加藤清正の娘、八十姫(瑤林院)が紀伊和歌山藩初代徳川頼宣に輿入れの時に
持参しています。
「帷子 白麻地橘岩波文字模様」 江戸時代・18世紀


帷子(かたびら)は裏地の無い単衣で、夏に着られました。
橘の木の模様に和漢朗詠集の詩の一節「嘉 辰 令 月 歓 無 極」の文字が
刺繍されています。
「帷子 玉子色麻地風景模様」 江戸時代・18世紀


江戸時代後期の典型的な武家女性の夏の帷子です。
藍を主にした模様は江戸の武家屋敷の御殿女中の下位の衣装とされています。
「帷子 白麻地笠紅葉模様」 江戸時代・18世紀


笠と紅葉の意匠は古今和歌集の秋の歌に拠っています。
雨降れば笠取山のもみじ葉は行きかふ人の袖さへぞ照る
壬生忠岑
「帷子 白麻地幕鳥兜火焔太鼓風景模様」 江戸時代・19世紀


紅葉や幕、舞楽の鳥兜、火焔太鼓の意匠は源氏物語の紅葉の賀の帖に
拠っています。
以下は能衣装です。
「縫箔 紅白紺段籠目秋草七宝夕顔流水杜若模様」
江戸時代・18世紀 文化庁蔵


三段に分けて染め、刺繍で四季の花を表しています。
縫箔は刺繍と金銀箔で模様を表した衣装で、安土桃山時代の表着でした。
江戸時代の表着である唐織の段模様を模した珍しい品とのことです。
「縫箔 茶地百合御所車模様」 奈良・金春家伝来
安土桃山時代・16世紀 重要文化財


袖幅の狭い安土桃山時代の小袖の形です。
金の摺箔で立涌模様を施し、御所車と百合を刺繍しています。
大振りな百合のあしらいが印象的です。
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