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東京国立博物館 総合文化展 2023年8月 その3
上野
chariot

東京国立博物館の総合文化展(平常展)の記事を3回に分け、今日はその3で、
屏風や軸物を載せます。

「釈迦三尊図」 雲渓永怡 室町時代・16世紀 常盤山文庫蔵
びDSC05028

花を持つ釈迦如来と獅子に乗った文殊菩薩、象に乗った普賢菩薩の三幅対です。
雲渓永怡は雪舟の系統で、周防の大内氏の周辺で活動した画僧です。
この作品も元は山口県内の寺院にありました。

「十王像(右から太山王、平等王、都市王)」 室町時代・16世紀
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死者の生前の行ないを裁く10人の王のうち、太山王(四十九日)、平等王(百箇日)、
都市王(一周忌)の像です。
閻魔王は三十五日を担当します。

「厩図屏風」 室町時代・16世紀 重要文化財
右隻
びDSC05013

左隻
びDSC05016 (1)

馬の守り神とされる猿も描かれています。
びDSC05016 (2)

びDSC05022

厩には6頭の馬がつながれ、その前で碁や将棋に興じる人がいて、
外には松や桜、鶴などが配されています。
厩図は室町時代、武家に好まれた画題です。

「竹林七賢図屏風」 啓孫 室町時代・16世紀
びDSC05024

魏の時代、竹林に隠遁したという七賢人を描いています。
啓孫(生没年不詳)は関東で活躍した画僧、祥啓の弟子です。

「士農工商図屏風」 狩野探幽 江戸時代・17世紀 個人蔵 重要美術品
右隻
びDSC05090 (1)


びDSC05090 (2)


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左隻
びDSC05094 (1)


びDSC05336


びDSC05338

士農工商は儒教の概念で、画面も中国の情景になっています。
日本では職業区分を表す言葉とされ、士は武士のことと解釈しています。
狩野探幽らしく、余白を大きく取った画面で、虎狩りをする士や大工仕事をする
工などが描かれています。

「長恨歌図屏風」 筆者不詳 江戸時代・17世紀
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白楽天の「長恨歌」の情景で、画面下は唐の玄宗皇帝と楊貴妃の華やかな日々、
画面上は安禄山の乱による長安からの逃避と楊貴妃の悲劇の場面です。
17世紀初頭の狩野派による作と思われます。

「帝鑑図屏風」 狩野探幽他 江戸時代・17世紀
右隻
び1DSC05142

左隻
び2DSC05148

為政者の諫めとして描かれた屏風で、右隻に賢帝の善行、左隻に愚帝の愚行が
並べられています。
狩野派など各派の絵師の合作です。

「許由巣父図屏風」 久隅守景 江戸時代・17世紀
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びDSC05180 (2)

許由は伝説上の隠者で、高潔な人柄を知った堯帝は帝位を譲ろうと申し出ますが、
汚らわしいことを聞いたといって川の水で耳を洗います。
同じく隠者の巣父(そうほ)は牛に水を飲ませに川に来ますが、その光景を見て、
そのような汚い水は飲ませられないといって、牛を連れて帰って行ってしまいます。
滝の流れる空間の表現が巧みです。

「神農図」 狩野永納 江戸時代・17世紀
びDSC05184
 
神農は伝説上の王で、医療と農耕を民に教えたとされています。
自ら各種の植物を食べてその効能を調べたと伝えられています。
賛は伊藤仁斎です。

「李広射石図」 尾形光琳 江戸時代・18世紀
びDSC05165

前漢の将軍、李広(?―前119)が石を虎と見間違えて射た矢が
石に突き立ったという故事に拠っています。
手早く描かれ、大きな笠が目を引きます。
光琳が描くと、勇猛な李広も柔らかくユーモラスになります。

「蘇武図」 渡辺崋山 江戸時代・天保10年(1839)
びDSC05177

蘇武(前140頃? -前60)は前漢の人で、使者として匈奴に赴きますが捕えられ、
20年近く抑留されます。
その間、匈奴への臣従の要求を拒否して、羊飼いとして暮らしました。
節を枉げない蘇武の人格をよく表した絵です。

「玄圃瑤華のうち水葵・糸瓜」 伊藤若冲自画自刻 江戸時代・明和5年(1768)
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「玄圃瑤華のうち花菖蒲・棕櫚」 伊藤若冲自画自刻 江戸時代・明和5年(1768)
びDSC05173

玄圃は仙人の住む所、瑤華は玉のように美しい花という意味です。
拓版画という、版木に紙を乗せ、墨を含んだたんぽで叩いて刷り出す、
拓本と同じ技法によっています。
白と黒の対比の効いた、デザイン性もある画面です。

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【2023/08/19 21:04】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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