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「甲冑・刀・刀装具―光村コレクション・ダイジェストー」 南青山 根津美術館
表参道
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南青山の根津美術館では企画展、「甲冑・刀・刀装具―光村コレクション・ダイジェストー」が
開かれています。
会期は10月15日(日)までです。

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光村コレクションは実業家で現在の光村印刷の創業者である光村利藻(1877―1955)が
収集した3000点以上の武具のコレクションです。
明治42年(1909)に根津嘉一郎が一括購入しています。


「黒韋肩取威腹巻」 室町時代 16世紀 重要文化財
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光村コレクション以外の所蔵品です。
背中で引き合わせる腹巻で、鹿革を藍で濃く染めた黒韋と紅糸・白糸で威してあり、
大袖が付いています。
金具の鋲は八重菊の形です。
室町時代の当初の状態を残す品ということで、重要文化財に指定されています。

「浅葱紺糸威胴丸具足」 江戸時代・18~19世紀
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復古調の鎧で、胴丸に面頬、大袖、杏葉が付き、胴には弦走(つるばしり)が
張ってあります。
杏葉は古代には馬の装飾板でしたが、やがて下級武士の肩先を守る防具となり、
更に胸前に付ける防具となります。

「太刀 銘 長光」 鎌倉時代 13世紀 重要美術品
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長光は備前長船派の刀工で、長船派の祖、光忠の子とされています。
刃文は直線的で、目釘穴が幾つも開いているのは摺り上げたのでしょうか。

「早蕨金具脇指拵」 海野勝珉 明治時代 20世紀
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刀装具などの意匠を早蕨でまとめています。
幕末に現れた、洋式の軍装で刀を差しやすいように、鐺(こじり)を丸くした突兵拵です。
海野勝珉(1844-1915)は水戸出身の彫金家で、帝室技芸員にもなっています。
光村利藻は海野勝珉など金工家を保護し、江戸時代以来の工芸技術の継承に
貢献しています。

明治の刀工、初代月山貞一の刀剣も3振り展示されています。


「鬼念仏・笛吹地蔵目貫(部分)」 大月光弘 江戸時代 19世紀
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目貫は刀身を柄に固定する目釘に被せる金具です。
首から鉦を提げた鬼念仏と、蓮の葉を被った地蔵の姿です。
鬼念仏は大津絵によく描かれる題材です。
大月光弘は京金工の大月光興の子で、光村コレクションには大月派の作品が
多く含まれています。

「波兎図鍔」 篠山篤興 江戸時代 文久2年(1862)
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波兎は目出度い図柄で、能の「竹生島」では「月海上に浮かんでは兎も波を走るか
おもしろの島の景色や」と謡っています。
篠山篤興(1813-1891)は京都の金工で、徳川家茂や孝明天皇の刀の刀装具を
制作しています。

「牡丹蝶図鐔」 加納夏雄作 明治時代 19世紀
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幕末から明治にかけての彫金の名人、加納夏雄(1828-1898)の作です。
表側には鉄地に牡丹を浮き彫りし、花芯には金象嵌を施してあります。

「呂洞賓図小柄」 塚田秀鏡 明治30年代 19~20世紀
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塚田秀鏡(1848-1918)は明治大正期の金工で、絵を柴田是真に学んでいます。
銘に、「應光村利藻之需要 眞雄斎秀鏡」とあり、光村利藻はよく名画を題材にした物を
注文しています。

幕末明治の名工、後藤一乗や落語の「宗珉の滝」の題材になった横谷宗珉、
粟穂の意匠で有名な荒木東明の作もあります。
刀装具は精巧な細工が施されているので、単眼鏡を持参されることをお勧めします。


展示室5には「二月堂焼経」が展示されています。

「華厳経巻第四十六」 奈良時代・8世紀 重要文化財
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紺紙に銀字で書かれていて、二月堂焼経とも呼ばれています。
東大寺二月堂に置かれていた物が、寛文7年(1667)にお水取りの火が燃え移って
お堂が焼けてしまった時に持ち出された経巻で、上下が少し焦げています。
元は全六十巻ありましたが、始めから終わりまで残っている巻はこの巻第四十六と
個人蔵の巻第一だけだそうです。
現存する奈良時代の紺紙銀字経はこの焼経のみとのことです。
写経生による謹直な字体で、銀字は時が経つと酸化して見えにくくなりがちですが、
このお経は字がよく残っています。
料紙はコウゾ紙で、藍で何度も染めています。
東大寺は華厳経による寺院です。

光明皇后が亡き両親の藤原不比等と橘三千代の追福のため発願した一切経の
一部も展示されています。
「天平十二年五月一日記」と書かれているので、五月一日経の名があります。


展示室6のテーマは「月見の茶」です。
月にまつわる茶道具の展示です。

「色絵武蔵野図茶碗」 野々村仁清作 江戸時代 17世紀 重要美術品
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銀を塗って夜景を、大きく丸く塗り残して満月を表し、薄を見込みにまで描き入れて
秋の風情としていて、仁清らしい華やぎがあります。

「一重切花入 銘 三井寺」 千宗旦作 江戸時代 17世紀
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千利休の作った、園城寺という名の一重切花入に倣って、孫の宗旦が作ったものです。
謡曲の「三井寺」は中秋の名月の日の三井寺(園城寺)を舞台にしています。

展覧会のHPです。

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【2023/09/28 19:29】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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