日本橋
日本橋髙島屋本館8階ホールでは「高野光正コレクション 発見された日本の風景」展が
開かれています。
会期は9月3日(日)までです。
入場料は一般1200円です。

高野光正氏は1939年生まれの名古屋出身の実業家で、アメリカやイギリスで
明治の日本を描いた作品を積極的に収集し、約700点のコレクションを形成しています。
展覧会ではこのうち水彩画を中心に115点が展示されています。
チャールズ・ワーグマン 「見物する人々」 水彩/紙

チャールズ・ワーグマン( 1832-1891)はイギリス人で、文久元年(1861)に
新聞記者兼挿絵画家として来日し、居留外国人向けの雑誌を創刊し、
高橋由一や五姓田義松に油彩画を教えています。
チャールズ・エドウィン・フリップ 「戎座」 水彩/紙

戎座(えびすざ)という芝居小屋の情景で、日傘を差して招き看板を見上げる女性や
天秤棒を担いだ商人も見えます。
チャールズ・エドウィン・フリップ( 1854-1906)はイギリス人の画家で、世界各地を
回って戦争や事件の状況などを描いています。
渡辺豊洲 「山岳渓流図」 水彩/紙

従来の山水画や浮世絵とは異なる、量感と奥行きのある洋画で描いています。
五姓田義松 「亀戸の藤浪」 水彩/紙

亀戸天神は藤の名所として有名です。
五姓田義松( 1855-1915)は浮世絵師で洋画家の五姓田芳柳(1827-1892)の子で、
チャールズ・ワーグマンに師事し、工部美術学校ではアントニオ・フォンタネージに
師事しています。
明治天皇の地方巡幸にも随行して作品を描き、後にフランスに渡り、帰国後は
1889年の明治美術協会の設立に参加しています。
明治美術協会は黒田清輝が1896年に結成した白馬会に対し旧派とみなされ、
やがて勢いを失います。
小山正太郎 「秋景図」 油彩/画布
濃密なバルビゾン派風の描き振りによる秋の林の景色で、藁屋根が見えるので
日本の風景と分かります。
画面は暗く、深い味わいのある作品です。
小山正太郎(1857-1916)は元長岡藩士で、工部美術学校でフォンタネージの
指導を受けています。
明治美術会に参加しますが、黒田清輝の白馬会が結成されると、小山たちは
旧派として退けられていきます。
その後、不同舎を設立し、青木繁、満谷国四郎などを教えています。
吉田博 「夜の灯」 水彩/紙

吉田博(1876-1950)は久留米藩士の子として生まれ、小山正太郎の画塾、
不同舎に入っています。
不同舎には同じ久留米藩士の子、青木繁と坂本繁二郎も入っています。
欧米を中心に海外渡航を重ね、山岳などの風景を水彩、油彩、木版により
多数制作しています。
明治美術協会の後身である太平洋画会の設立者の一人であり、海外での
人気の高い画家となっています。
五百城文哉 「日光東照宮陽明門」 油彩/画布 明治31( 1898)年

五百城文哉(いおきぶんさい、1863-1906)は水戸藩士の子で、高橋由一に師事し、
後に日光に住んで風景や植物を描いています。
日光は避暑地として多くの外国人が訪れ、絵の題材としても喜ばれています。
牧野富太郎とともに植物採集をしたこともあるそうで、精確な植物画も描いています。
外国人が特に好んだ題材は、富士山、日光などの風景や、花などです。
日本人が小さな庭にも花を咲かせて楽しんでいる様子は特に花好きのイギリス人に
喜ばれています。
また、子どもが背中に弟妹などをおぶって子守りする様子は珍しかったようで、
よく描かれています。
笠木治郎吉(1870-1923)の作品も11点、展示されています。
笠木治郎吉は横浜に住み、外国人の土産用に日本の庶民の姿を描いています。
くっきりと濃密に描かれた画面はちょっとポスターのような趣きがあります。
「農家の少女たち」 水彩/紙

「漁網を編む男性」 水彩/紙

「花を持つ少女」 水彩/紙

明治に来日した外国人が日本の何に注目したか、日本人画家がどのように
西洋画の技法による日本を描いたかを見せてくれて、とても面白い展覧会です。
展覧会のHPです。
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日本橋髙島屋本館8階ホールでは「高野光正コレクション 発見された日本の風景」展が
開かれています。
会期は9月3日(日)までです。
入場料は一般1200円です。

高野光正氏は1939年生まれの名古屋出身の実業家で、アメリカやイギリスで
明治の日本を描いた作品を積極的に収集し、約700点のコレクションを形成しています。
展覧会ではこのうち水彩画を中心に115点が展示されています。
チャールズ・ワーグマン 「見物する人々」 水彩/紙

チャールズ・ワーグマン( 1832-1891)はイギリス人で、文久元年(1861)に
新聞記者兼挿絵画家として来日し、居留外国人向けの雑誌を創刊し、
高橋由一や五姓田義松に油彩画を教えています。
チャールズ・エドウィン・フリップ 「戎座」 水彩/紙

戎座(えびすざ)という芝居小屋の情景で、日傘を差して招き看板を見上げる女性や
天秤棒を担いだ商人も見えます。
チャールズ・エドウィン・フリップ( 1854-1906)はイギリス人の画家で、世界各地を
回って戦争や事件の状況などを描いています。
渡辺豊洲 「山岳渓流図」 水彩/紙

従来の山水画や浮世絵とは異なる、量感と奥行きのある洋画で描いています。
五姓田義松 「亀戸の藤浪」 水彩/紙

亀戸天神は藤の名所として有名です。
五姓田義松( 1855-1915)は浮世絵師で洋画家の五姓田芳柳(1827-1892)の子で、
チャールズ・ワーグマンに師事し、工部美術学校ではアントニオ・フォンタネージに
師事しています。
明治天皇の地方巡幸にも随行して作品を描き、後にフランスに渡り、帰国後は
1889年の明治美術協会の設立に参加しています。
明治美術協会は黒田清輝が1896年に結成した白馬会に対し旧派とみなされ、
やがて勢いを失います。
小山正太郎 「秋景図」 油彩/画布
濃密なバルビゾン派風の描き振りによる秋の林の景色で、藁屋根が見えるので
日本の風景と分かります。
画面は暗く、深い味わいのある作品です。
小山正太郎(1857-1916)は元長岡藩士で、工部美術学校でフォンタネージの
指導を受けています。
明治美術会に参加しますが、黒田清輝の白馬会が結成されると、小山たちは
旧派として退けられていきます。
その後、不同舎を設立し、青木繁、満谷国四郎などを教えています。
吉田博 「夜の灯」 水彩/紙

吉田博(1876-1950)は久留米藩士の子として生まれ、小山正太郎の画塾、
不同舎に入っています。
不同舎には同じ久留米藩士の子、青木繁と坂本繁二郎も入っています。
欧米を中心に海外渡航を重ね、山岳などの風景を水彩、油彩、木版により
多数制作しています。
明治美術協会の後身である太平洋画会の設立者の一人であり、海外での
人気の高い画家となっています。
五百城文哉 「日光東照宮陽明門」 油彩/画布 明治31( 1898)年

五百城文哉(いおきぶんさい、1863-1906)は水戸藩士の子で、高橋由一に師事し、
後に日光に住んで風景や植物を描いています。
日光は避暑地として多くの外国人が訪れ、絵の題材としても喜ばれています。
牧野富太郎とともに植物採集をしたこともあるそうで、精確な植物画も描いています。
外国人が特に好んだ題材は、富士山、日光などの風景や、花などです。
日本人が小さな庭にも花を咲かせて楽しんでいる様子は特に花好きのイギリス人に
喜ばれています。
また、子どもが背中に弟妹などをおぶって子守りする様子は珍しかったようで、
よく描かれています。
笠木治郎吉(1870-1923)の作品も11点、展示されています。
笠木治郎吉は横浜に住み、外国人の土産用に日本の庶民の姿を描いています。
くっきりと濃密に描かれた画面はちょっとポスターのような趣きがあります。
「農家の少女たち」 水彩/紙

「漁網を編む男性」 水彩/紙

「花を持つ少女」 水彩/紙

明治に来日した外国人が日本の何に注目したか、日本人画家がどのように
西洋画の技法による日本を描いたかを見せてくれて、とても面白い展覧会です。
展覧会のHPです。
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