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「骨が語る人の「生と死」 日本列島一万年の記録より」 東京大学総合研究博物館
本郷三丁目
chariot

東京大学本郷キャンパスにある東京大学総合研究博物館本館では特別展示、
「骨が語る人の「生と死」 日本列島一万年の記録より」が行なわれています。
会期は2024年2月22日(木)まで、入場は無料、日祝および12月30日以降の
土曜が休館になりますので、開館カレンダーでご確認ください。
11月18日(土)には本展企画者の海部陽介教授によるギャラリートークが行われました。

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東京大学総合研究博物館が保管する、日本各地で収集された数千体の古人骨を基に、
祖先の生、死、病との闘いについて紹介する展示です。
展示室は撮影可能です。

現代人男性の骨格標本と比べた保美貝塚の男性の上腕骨です。
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保美貝塚は愛知県の渥美半島の突端にある縄文時代後期から晩期にかけての遺跡です。
一般的に海浜の縄文人の上腕骨は内陸の縄文人より逞しく、これは漁労に従事していた
ためと考えられます。
その中でも保美貝塚の縄文人の骨は太く、この骨の主は日本史上最高のマッチョマンと
されています。
この人たちは漁労の他、二上山のサヌカイトの石器が多数出土していることから、石材の
運搬も行なっていたようです。
サヌカイトは奈良と大阪の境の二上山で採れる、大変緻密な安山岩で、黒曜石と並んで
石器として各地で使われていました。

縄文人の歯は歯並びが良く、現代人のように上下の切歯がハサミのように重なるのではなく、
先端同士がかみ合い、かなり摩耗しているのが特徴です。
硬い物を食べていたので、あごの骨が発達していたためです。

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鎌倉時代になると出っ歯が増えてきます。
箸を使うようになり、前歯で嚙み切ることが減ったことで、擦り減らなくなったのが原因と
考えられるそうです。

京都の大徳寺三玄院に埋葬されていた戦国時代の石田三成の頭骨もかなりの出っ歯
だったのを思い出しました。

江戸時代は柔らかい物を食べていたので、あごが発達せず、歯並びも悪くなっています。

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その代わり、房楊枝などで徹底的に歯を磨く人が増えて、歯が驚くほどピカピカの人も
現れます。

近くの春日通りと本郷通りの交わる本郷三丁目交差点のかねやすビルです。
江戸時代に「本郷もかねやすまでは江戸のうち」と川柳に詠まれたお店です。
先祖は歯科医で、元禄時代に歯磨き粉を売り出して有名になりました。
その後、洋服や雑貨を売るお店になりましたが、現在は休業しています。

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縄文時代には後の弥生時代のような集団間の戦いの跡は見付かっていません。
しかし個別の骨を見ると、頭を鹿の角か何かで強く殴られたような穴のある骨や
鼻柱の折れた骨もあるそうです。
骨img117 (2)


鎌倉の由比ガ浜で発見された鎌倉時代の集団墓地では、頭に切傷のある骨が幾つも
出土しています。
新田義貞の鎌倉攻めの戦いの犠牲者ではないかと考えられています。

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眉間に傷のある成人女性や、死後に野晒しで白骨化してから埋葬されたらしく墨で経文の
書かれた頭蓋骨もあって、戦いの激しさを物語っています。


墓制も時代によってかなり変わっています。

マッチョマンの出土した保美貝塚では14人以上の骨を五角形に並べてありました。
一度仮埋葬した後、再埋葬する習慣があったようです。

骨img113 (3)


古代や中世の庶民の遺体は山野に野晒しにされることが多く、遺骨もあまり
残っていないそうです。
鎌倉時代の親鸞は「自分が死んだら体は鴨川に流して魚に食わせろ」と言い残して
いますが、この頃の葬送の習慣も反映しているのでしょう。
誰もが墓地に葬られるようになったのは檀家制度が整って、寺院の境内に墓地が
設けらたからだそうです。
以前、国立科学博物館で開かれた展覧会で、試し斬りで胴体を何度も切断された
骨の展示もありました。
近くの湯島4丁目の寺院の墓地跡地で発見されていて、丁寧に埋葬された刑死人も
あったようです。

結核や梅毒の跡のある人骨もあります。
結核が日本に入ってきたのは弥生時代、梅毒は室町時代とみられています。
梅毒は江戸時代に大流行しています。
徳川家康の次男、結城秀康や家康の重臣、本多正信の死因も梅毒とされています。

縄文時代から江戸時代まで、頭骨の形の変化の分かる展示もあります。
弥生時代の女性の頭骨があって、弥生人にしてはやや角ばった顔だなと思っていたら、
解説にも縄文人に近いところがあると書いてあったので、面白く思いました。

いろいろ珍しく、貴重な資料の揃った、興味深い展示です。

展覧会のHPです。

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【2024/01/27 18:58】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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