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「二つの頂―宋磁と清朝官窯」展 静嘉堂@丸の内
二重橋前・東京
chariot

丸の内に昨年開館した静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)では開館1周年記念特別展
「二つの頂―宋磁と清朝官窯」が開かれています。
会期は12月17日(日)までです。
会期中、一部に展示替えがありますので、展覧会のHPでご確認下さい。

静嘉堂img127

せDSC07486


静嘉堂の所蔵する宋代の磁器と清朝の官窯磁器、約90点を展示する展覧会です。

「白磁刻花蓮花文輪花鉢」 定窯 北宋~金時代 12世紀 重要文化財
静嘉堂img138 (3)

切込みの入った牙白色(象牙色)の器に蓮の花の模様を彫り込んでいます。
加賀前田家に伝わった品です。
定窯は河北省保定市曲陽県澗磁村にあった窯で、唐代から金代まで続いています。
石炭を燃料にした焼成による象牙色の白磁で有名です。

「白地黒搔落牡丹文枕」 磁州窯 北宋時代 12世紀
静嘉堂img138 (2)

白化粧の地に鉄絵具を塗り、搔落しで牡丹模様を残しています。
牡丹は富貴を表し、枕は仏教の法具の如意の形をしており、意の如くなるの
意味があります。
磁州窯は華北一帯で陶器を生産した民窯の総称です。
陶の枕は磁州窯の特産で、展覧会でも何点か展示されています。
北宋の徽宗の時代、1108年の黄河の支流の洪水で埋没した河北省南部にあった
鉅鹿(巨鹿)の跡が1920年頃に発掘され、多くの陶磁器が出土しましたが、
この枕はその中の一つです。

「青磁鼎形香炉」 南宋官窯 南宋時代 12~13世紀
静嘉堂img138 (10)

古代青銅器の鼎を模しています。
澄んだ青緑色と一面の貫入(釉薬のヒビ)が見所です。
南宋の官窯は首都の杭州(浙江省)にありました。

「青磁貼花牡丹唐草文深鉢」 龍泉窯 南宋~元時代 13~14世紀
静嘉堂img138 (5)

型抜きで作った牡丹の花や葉を貼った青磁の鉢で、蓋の摘みは花のがくの形で、
蓋の周囲には銀の覆輪を施しています。
龍泉窯は浙江省龍泉市周辺にあった窯で、南宋から元代に青磁を生産していました。
澄んだ青色の、貫入(釉薬のヒビ)のほとんど無い器体が特徴です。
大坂の鴻池家に伝来しました。


以下は清の官窯の作品です。
清の官窯は江西省の景徳鎮にあり、技術的に極めて高度な陶磁器を制作していました。
こちらの展示室は撮影可能です。

「五彩百子図鉢」 一対 「大清康煕年製」銘 景徳鎮官窯
 清時代・康煕年間(1662~1722)

静嘉堂img138 (7)

せDSC07478

百子は沢山の子に恵まれるという吉祥図で、それぞれの鉢には偶数を嫌って、
101人の童子が描かれています。
官位が次々上がる平昇三級を表す、瓶に挿した3本の戟なども描かれた、
盛り沢山の図柄です。

「豆彩翠竹文碗」 一対 「大清雍正年製」銘 景徳鎮官窯
 清時代・雍正年間(1723~35)

静嘉堂img138 (6)

豆彩は青花で輪郭線を描き、上絵具で色を加える技法です。
清雅な趣きの碗で、一対の意匠が少し異なることから、数の多いセットの一部だった
可能性があるとのことです。

「青花臙脂紅龍鳳文瓶」 一対  「大清乾隆年製」銘 景徳鎮官窯
 清時代・乾隆年間(1736~95) 重要美術品

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青花(染付)で雲気文が、臙脂紅という釉で、片側に5本爪の龍、反対側に鳳、
そしてコウモリが描かれています。
コウモリ(蝙蝠)の蝠は福と同音の吉祥文様です。
精緻な作りで、龍や鳳は濃淡を付けて、立体的に表現されています。
5本爪の龍は皇帝専用の品だけに描かれるものです。

「素三彩寿字蝙蝠文盤」 「大清乾隆年製」銘 景徳鎮官窯
 清時代・乾隆年間(1736~95)

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素三彩は素焼きの白磁に緑、黄、紫などの色釉で描いたものです。
濃い黄色の地で、寿の字を囲んで見込みに並ぶ5匹のコウモリは五福
(長寿、富貴、無病、好徳、天命)を表します。

「粉彩百鹿図壺」 「大清乾隆年製」銘 景徳鎮官窯 清時代・乾隆年間(1736~95)
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せDSC07430

百鹿は受天百禄(天から数多くの幸)の意味の吉祥図で、コウモリや長寿を表す
松と共に描かれています。
朝廷の記録に、「耳の無い形の百鹿図の尊(壺)を作れ」という乾隆帝の命令の
記録があるそうです。

「青花豆青釉唐草文双耳扁壺」 「大清乾隆年製」銘 景徳鎮官窯
 清時代・乾隆年間(1736~95)

せDSC07443

中近東の金属器を模した形で、明の永楽年間の青花磁器の翻案です。
胴の豆青釉という淡い緑色の釉が乾隆官窯の特徴とのことで、釉の下には
牡丹唐草文が線彫りされています。
胴の中央に寿の字を囲んだ蓮華文がアクセントになっています。


国宝の曜変天目も一室を設けて展示してあります。

「曜変天目」(稲葉天目) 建窯 南宋時代 12~13世紀 国宝
三002

徳川家光から春日局に下され、子孫の稲葉家に伝えられたのでその名があります。
曜変天目は日本に数点あるだけの大変珍しい品で、特にこの稲葉天目は有名です。
小さな天目茶碗ですが、見込みの斑文は星のように輝き、観る角度によって
その色も微妙に変わり、小さな宇宙を観るような景色です。

展覧会のHPです。

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【2023/10/22 17:41】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんばんは。
  • コメント有難うございます。
    清朝の磁器は薄手で洗練されていて、現在でも日常の食器に使えそうです。
    竹のデザインは涼やかで、煎茶茶碗になります。
    益子というと峠の釜飯が浮かびます。

    【2023/10/25 21:17】 url[chariot #H4z1joGM] [ 編集]
  • 竹模様
  • 竹模様の茶碗いいですね。こういうのが有ったら欲しいんですが、なかなか売ってない。益子の売り出し、久しぶりに行ってみようかな。

    【2023/10/25 07:31】 url[miss.key #eRuZ.D2c] [ 編集]
    please comment















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