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「やまと絵 受け継がれる王朝の美」 東京国立博物館 その2
上野
chariot

東京国立博物館で開かれている特別展「やまと絵 受け継がれる王朝の美」の記事
その2で、通期展示されている作品を中心に載せます。
会期は12月3日(日)までです。

会期中、細かい展示替えがありますので、展覧会のHPでご確認下さい。
写真の一部は過去の展覧会のものです。

第1章 やまと絵の成立―平安時代ー

「平家納経 薬王菩薩本事品 第二十三」 平安時代 長寛2年(1164)奉納
 広島・嚴島神社 国宝
 
やまと絵img148 (3)

展示期間は以下の通りです。
分別功徳品 第十七:10月11日~11月5日
薬王菩薩本事品 第二十三:11月7日~12月3日

平家納経は平家一門が厳島神社に奉納した、法華経30巻を中心にした経典で、
見返しに優美な絵が描かれています。
薬王菩薩本事品 第二十三には阿弥陀如来と女性が描かれ、葦手文字で、
経典の一節が書かれています。

「源氏物語絵巻 夕霧」 平安時代 12世紀 五島美術館 国宝 
やまと絵img148 (22)

光源氏の子、夕霧に届いた手紙を奪い取ろうとする妻の雲居の雁です。
室内は吹抜屋台、人物の顔は引目鉤鼻で描かれています。

各場面の展示期間は以下の通りです。
関屋・絵合:10月11日~10月22日
柏木二:10月24日~11月5日
横笛:11月7日~11月19日(以上、徳川美術館蔵)
夕霧:11月21日~12月3日(五島美術館蔵)

「信貴山縁起絵巻 飛倉巻」 平安時代 12世紀 奈良・朝護孫子寺 国宝
やまと絵img148 (2)
 
各巻の展示期間は以下の通りです。
飛倉巻:10月11日~11月5日
延喜加持巻:11月7日~11月19日
尼公巻:11月21日~12月3日

信貴山の中興の祖である命蓮の霊験譚を描いた絵巻です。
飛倉巻は命運の托鉢に用いる鉢が山崎の長者の米倉を持ち上げて、
信貴山にまで空を運んだというお話です。
空を飛ぶ蔵を見上げ、追いかける人々が生き生きと描かれています。
倉は校倉造りなのが分かります。

「辟邪絵 神虫(へきじゃえ しんちゅう)」 
 平安~鎌倉時代・12世紀 奈良国立博物館 国宝

妖怪3

会期中、場面替えがあります。
辟邪絵は邪を避ける効力のある物を集めた絵のことです。
神虫は南方の山中にあって、朝に三千、夕に三百の人に害を為す虎鬼を食すという、
ありがたい虫です。
鬼を捕まえ、赤い血にまみれながら、むさぼり食っています。
後白河法皇周辺で制作され、元は蓮華王院(三十三間堂)に保管されていたという
伝承があります。
「辟邪絵」は実業家の益田孝(鈍翁)の所蔵でしたが、戦後に5つに切断され、
掛軸になっています。

「鳥獣戯画 甲巻」 平安~鎌倉時代 12~13世紀 京都・高山寺 国宝
やまと絵img148 (1)
 
甲巻は擬人化された猿、兎、蛙などが活躍する、鳥獣戯画の中でも最も人気のある巻で、
今回の展示は滅多とない機会です。

展示期間は以下の通りです。
甲巻:10月11日~10月22日
乙巻:10月24日~11月5日
丙巻:11月7日~11月19日
丁巻:11月21日~12月3日

2015年の東京国立博物館の平常展で「鳥獣戯画」の模写が展示されていた時の記事です。


第2章 やまと絵の新様―鎌倉時代―

「紫式部日記絵巻断簡」 鎌倉時代 13世紀 東京国立博物館 重要文化財
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通期展示で、第2会場の最初に展示され、金字の表装が煌めいています。
藤原道長の娘、彰子の生んだ敦成親王(後一条天皇)の五十日の祝いの場面で、
道長の妻が抱いています。
手前の男性が道長、几帳を後ろにしているのが紫式部です。
元は巻物でしたが、昭和8年(1933)に益田鈍翁が分割して、掛軸に変えています。

「一遍聖絵 巻十」 法眼円伊 鎌倉時代 正安元年(1299)
 神奈川・清浄光寺(遊行寺) 国宝

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「一遍聖絵」は時宗の祖、一遍の死の10年後に制作され、弟子の聖戒が詞書を書き、
円伊が描いています。

2015年に「一遍聖絵」全12巻が東京国立博物館などで公開された時の記事です。


第3章 やまと絵の成熟―南北朝・室町時代―

「松図屏風」 伝土佐光信 室町時代・16世紀 東京国立博物館 重要文化財
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通期展示です。
金箔地に松と岩が描かれています。
大きな松と小さな松を配して奥行きがあります。

「土蜘蛛草紙」 鎌倉時代・14世紀 東京国立博物館 重要文化財
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会期中、場面替えがあります。
源頼光(948-1021)が家来の渡辺綱と共に京都の神楽岡(吉田山)に棲む
土蜘蛛を退治するというお話です。
荒れた古屋敷に頼光と綱が居ると、異形の者たちがやって来て、やがて消え去り、
頼光は続いて現れた怪しい美女に斬りかかります。

「福富草紙」 室町時代 14~15世紀 京都・春浦院 重要文化財
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会期中、場面替えがあります。
ある男が、自在に放屁する芸で財を得た男をうらやんで、貴人の前で真似を
したところ、粗相をしてしまい、散々に打たれて追い出されるという話です。
血が噴き出し、着物は破れて逃げ帰る男を、道行く人も容赦なく笑っています。
愚か者に対する痛烈な嘲りを観て取れます。
個人の才覚に目覚め始めた、室町という時代を表しているのでしょうか。

「百鬼夜行絵巻(ひゃっきやぎょうえまき)」 部分 
 室町時代・16世紀 伝土佐光信 京都・真珠庵 重要文化財

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会期中、場面替えがあります。
仏事の道具や生活の道具が妖怪となって深夜の京都の町を練り歩いている図です。
「百鬼夜行」を描いた作品の中で最古とされる有名な絵巻で、「付喪神絵巻」と
関連があるようです。
日本の妖怪たちにはどこか微笑ましいところがあり、観ていて楽しくなってしまう
絵巻です。

「砧蒔絵硯箱」 室町時代 15世紀 東京国立博物館 重要文化財
大蒔絵img134 (3)

通期の展示です。
女郎花や竜胆の咲く秋の野に枕がおかれ、銀の月が出ています。
「しられぬる」の文字が細い銀で書かれていて、千載和歌集の俊盛法師の歌に
拠っていることが分かります。

衣打つ音を聞くにぞ知られぬる里遠からぬ草枕とは


第4章 宮廷絵所の系譜

「石山寺縁起絵巻」 巻第三 伝高階隆兼
 鎌倉~南北朝時代 14世紀 滋賀・石山寺 重要文化財

やまと絵img148 (19)

11月7日からの展示です。
巻第二は11月5日までの展示です。
近江の石山寺の創建の次第と本尊の如意輪観音の霊験を記した全7巻の絵巻です。
石山寺は紫式部が源氏物語の想を練ったと伝えられている寺です。
第3巻までは14世紀に完成しましたが、江戸時代に谷文晁が6、7巻を描いたことで
全7巻が完成しました。


終章 やまと絵と四季―受け継がれる王朝の美―

「浜松図屏風」 室町時代 15~16世紀 東京国立博物館 重要文化財
右隻
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左隻
やまと絵img148 (9)

通期展示です。
一面に松の緑が広がり、右隻は春と夏、左隻は秋と冬の景色です。
秋の紅葉、冬の雪山も見えます。
古くからの山水図の形式ですが、狩や漁をする人たちなど、日常の生活も描かれています。

展覧会のHPです。

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【2023/10/15 20:03】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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