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「もうひとつの19 世紀―ブーグロー、ミレイとアカデミーの画家たち」展 国立西洋美術館
上野
chariot

国立西洋美術館の新館版画素描展示室では「もうひとつの19 世紀―ブーグロー、ミレイと
アカデミーの画家たち」展が開かれています。
会期は2024年2月12日(月・休)までです。
常設展の一部として観ることが出来ます。

アカデミーimg191 (1)


展示室は撮影可能です。

19世紀後半はフランスの印象派の始まった時期ですが、その頃の主流はアカデミーの
画家たちでした。
フランスの1648年に創立された王立絵画彫刻アカデミー、イギリスの1768年に創立された
アカデミー・オブ・アーツに属し、古典主義に基く作品を描いていました。
展覧会では国立西洋美術館の所蔵する、この変化の時代に活躍したブーグローや
ラファエル・コラン、レオン・ボナなどアカデミーの画家たちの作品が展示されています。


ウィリアム・アドルフ・ブーグロー 「音楽」 1855-56年頃
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個人邸宅の装飾用の作品です。
竪琴やタンバリン、アウロスで音楽を奏していて、古典古代への憧憬を表しています。

ウィリアム・アドルフ・ブーグロー 「クピドの懲罰」 1855-56年頃
こDSC07687

クピド(キューピッド)はローマ神話に登場する愛の神で、恋の矢を放って人の恋愛を
成就させます。
悪戯っ子なので、時々罰を受けたりします。

ウィリアム・アドルフ・ブーグロー 「武器の返却を懇願するクピド」 1855-56年頃
こDSC07691

クピドが恋の矢と弓を取り上げられています。

こDSC07695


ウィリアム・アドルフ・ブーグロー 「小川のほとり」1875年
アカデミーimg196

古代ローマの彫刻、「足の裏の棘を抜く少年」を思わせる姿とのことで、古典への
素養を見せています。
愛らしい少女を描いたこの絵は人気となり、ブーグローはこの種類の作品を
多く描くようになります。

ウィリアム・アドルフ・ブーグロー 「姉弟」 1887年
こDSC07729

ウィリアム・アドルフ・ブーグロー 「純潔」 1893年 井内コレクションより寄託
聖母子像で、マリアは幼子イエスと子羊を抱いています。


ウィリアム・アドルフ・ブーグロー 「ガブリエル・コットの肖像」 1890年
アカデミーimg191 (3)

ウィリアム・アドルフ・ブーグロー(1825 - 1905)はアカデミーを代表する画家の一人で、
優美で甘味な作風で知られています。
ガブリエル・コットはブーグローやカバネルに学んだ画家、ピエール・オーギュスト・コット
(1837 - 1883)の娘です。
ブーグローはコットの一家と親密で、ガブリエルの結婚に際にはこの絵を描いて母親に
贈っています。

ジョン・エヴァレット・ミレイ 「狼の巣穴」 1863年
アカデミーimg191 (2)

ジョン・エヴァリット・ミレイ(1829-1896)はラファエル前派の画家で、高い技量の
持ち主ですが、後にラファエル前派を離れ、感傷的な作品で名声を得ています。
ミレイの4人の子どもたちがピアノの下を狼の巣穴に見立てて遊んでいるところです。
愛らしい子どもを物語的に描く、「ファンシー・ピクチャー」と呼ばれる技法はイギリスで
評判となっています。

ジョン・エヴァリット・ミレイ 「あひるの子」 1889年
松方img908

薄緑の服を着た女の子が手にパンのような物を持ち、それを見たあひるの親子が
寄ってきています。
松方コレクションに入った後、散逸した作品の一つですが、1975年に国立西洋美術館が
収蔵しています。

ジャン=ジャック・エンネル 「ノエツラン夫人の肖像」
アカデミーimg191 (5)

ジャン=ジャック・エンネル(1829-1905)は国立美術学校に学び、イタリアにも
留学しています。
アカデミックな画風ですが、象徴主義的な雰囲気を持っています。

ラファエル・コラン 「詩」 1899年
アカデミーimg191 (4)

ラファエル・コラン(1850-1916)はパリの美術学校でブーグローやアレクサンドル・カバネルに
学んでいます。
当時盛んになった印象派の画風を取り入れたことから外光派とも呼ばれています。
明治以降の日本の洋画界をリードした黒田清輝、久米桂一郎、岡田三郎助、和田英作は
コランに学んでおり、黒田たちが日本にもたらした西洋画はこの外光派の作風です。

東京美術学校出身の佐伯祐三が最初に渡仏した時、ヴラマンクを訪ね、自作を見せたところ、
「このアカデミック!」と一喝された話は有名です。

アカデミーの画家のブーグローやカバネルは印象派を否定しましたが、やがて印象派は
興隆し、主流となります。
更にセザンヌなどを経て、要するに絵画とは色と形であるということになり、抽象絵画が
生まれています。
現在では写実的な絵画も見直され、アカデミーの画家たちも再評価されているようです。
絵画の流行の変遷は面白いものです。

展覧会のHPです。

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【2023/11/28 19:26】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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