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東京国立博物館 「没後400年特別展 長谷川等伯」
上野
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上野の東京国立博物館では「没後400年特別展 長谷川等伯」が開かれています。
期間は3月22日まで、会期中一部展示替えがあります。

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今年は長谷川等伯(1539~1610)の没後400年ということで、国内にある等伯の
作品のほとんど、80点近くが展示されています。

12番 「善女龍王像」 石川県七尾美術館

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長谷川等伯は石川県の七尾の出身で、初めは信春と名乗り、日蓮宗関係の
絵仏師として仏画を多く描いていたので、今でも石川県、富山県などに
等伯の仏画が多く残っているとのことです。
これは小さな像で、信者の女性のために描かれたとのことです。
右手に剣、左手に宝珠を持ち、龍を背負った姿を、細かく柔らかな筆遣いで
表しています。
初期の頃からかなりの技量の持主だったことが分かります。


28番 「山水図襖」 4面 1589年 京都・圓徳院

桐の紋の付いた襖の唐紙に描かれた山水図です。
30歳台になって京都に上った等伯が、大徳寺三玄院の開祖、春屋宗園に
襖絵を描かせてほしいと願っても許してもらえないので、留守中に
上がりこんで模様のある襖に描いたといわれています。
等伯のデモンストレーションだった訳で、これにより力量を認められて、
京都の大寺院の障壁画を手掛けるようになったとのことです。
話には聞いていましたが、一面の桐紋の上に描かれているのを実際に観ると、
その行動力と自信には感心します。


41番 「楓図壁貼付」 4面 1592年頃 京都・智積院

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京都で、狩野派と画壇の頂点を争っていた頃の作品です。
元は、豊臣秀吉が長男の鶴松の菩提を弔うため建立した祥雲寺の障壁画
だったのを貼り直したので、絵の継ぎ目にずれがあります。
秋の初めなのでしょう、楓の葉はまだ緑の葉と紅葉とが混じり、萩や鶏頭も
描かれています。
画面では分かりにくいですが、左上から右側まで続いている青い流水が
画面に変化と奥行きを与えています。
桃山風の豪放な図ですが、草花の描写には優美さもを感じられます。


43番 「柳橋水車図屏風」 6曲1双 兵庫・香雪美術館

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左隻
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右隻
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画面をまたぐ大きな木の橋と、若葉を付けた柳の枝です。
若葉は一枚一枚ていねいに描き込まれています。
川には蛇籠(じゃかご)とともに水車が見えるので、宇治川と分かります。
蒔絵のように装飾的ですが、川の流れはリズムのある力強い線で描かれ、
桃山風の力強さを感じます。 


48番 「仏涅槃図」 1幅 1599年 京都・本法寺

縦10m、横6mの巨大な涅槃図で、会場の高い天井から吊っても下の部分は
横に寝ています。
お寺のお堂に掛けるにしても、余程高い天井が必要です。
図の裏には、有縁の人々とともに、将来を期待されながら亡くなった長男の
久蔵の名も書かれているとのことです。
見上げると、その大きさと細密な描写には圧倒されます。
等伯は晩年になっても、その画力と意気込みは衰えていないことを示しています。
本法寺は日蓮宗の寺院で、長谷川等伯はこの寺と関係が深く、山門建立の施主に
なるなどしています。


63番 「蜆子猪頭図襖」 4面 1601年 京都・真珠庵

蜆子(けんす)和尚は唐時代の僧で、年中同じ衣を着て、蝦や蜆を捕って食べて
いたといいます。 
猪頭(ちょとう)和尚は北宋時代の僧で、猪の頭を好んで食べたとのことです。
水墨の襖絵で、ボロを着て網を持った蜆子和尚は、捕った蝦を掲げて大笑し、
猪の頭を傍らに置いた猪頭和尚は、こちらを横目で見て笑みを浮かべています。
等伯は日蓮宗の信者ですが、禅宗の題材も多く手掛けています。
この絵は、その中でも肩の力の抜けた感じで、飄々とした禅味がよく出ています。


76番 「松林図屏風」 6曲1双 東京国立博物館

左隻
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右隻
等2-28-2010_002

長谷川等伯といえば、やはりこの作品です。
会場の最後に展示されています。
遠くにかすかに見える山を頂点にした、ゆるやかな三角形の構図で、
霧の中に濃く薄く現われる松林の情景は、等伯独自の画境です。
近づいて観ると、松の枝は簡潔ながら力強く描かれています。
様式性や装飾性を超えて、自分たちが現実に観て感じている自然の
佇まいを描き出しています。

他にも、「千利休像」、「枯木猿猴図」など、長谷川等伯の作品が
ほぼ網羅されています。
会期も短く、混雑するかもしれないので、早めに行って、お目当ての
作品があったら真っ先にご覧になると良いかもしれません。

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【2010/03/03 07:39】 美術館・博物館 | トラックバック(3) | コメント(2) |
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  • はろるどさん、こんばんは。
  • 私も、仏画、肖像画、水墨画、障壁画など、
    何でもこなす等伯の多芸さには感心しました。
    俵屋宗達とは京都での活躍時期が重なりますから、
    二人の関係は近かったかも知れませんね。

    【2010/03/04 22:24】 url[猫アリーナ chariot #-] [ 編集]
  • こんばんは。仏画、障壁画、水墨と見どころの多い展覧会でしたね。にわかに初期の仏画と後期の松林図が同じ絵師だとは思えませんが、その多芸な面も等伯の魅力なのかと感じました。

    >柳橋水車図屏風

    琳派の先取りのような作品でしたね。宗達とも繋がっていくのでしょうか。興味深かったです。

    【2010/03/04 21:26】 url[はろるど #l5HLehIY] [ 編集]
    please comment















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