竹橋
竹橋の東京国立近代美術館では、「麻生三郎展」が開かれています。
期間は12月19日(日)までです。

その後、2011年1月5日から2月20日まで京都国立近代美術館に、
4月29日から6月12日まで愛知県美術館に巡回します。
麻生三郎(1913-2000)の油彩約70点と素描約60点が展示されています。
素描の一部は11月28日までの前期と11月30日からの後期で展示替えがあります。
作風の変化に従って、以下の3つの章に分けられています。
第1章 闇の中で光を見つめる 1934-1953
第2章 赤い空の下で 1954-1960
第3章 内と外の軋(きし)み 1961-1994
第1章 闇の中で光を見つめる 1934-1953
自画像や家族を多く描いている時期です。
ごく初期を除けば、麻生三郎の絵は暗く沈んだ色調です。
その暗さの中に浮かび上がるものを描こうとしているようです。
「自画像」 1937年

気迫のある自画像です。
黒目にも赤色を散らしています。
赤色を効果的に使ってアクセントを付けるのは初期からの特徴です。
「男」 1940年

黒い背景の前に、赤いチョッキの男が皿の物を口にしています。
手が大きく描かれています。
食べるという行為の中に人間の本質を見ています。
「うつぶせ(うずくまる女)」 1943年

戦時中の作品で、青ざめた顔の女性がうたた寝をしています。
徐々に人物と背景との境が消えていきます。
腕がたくましく描かれています。
手足を大きく描くのも麻生三郎の特徴です。
「ひとり」 1951年
パンフレットに使われている作品です。
抱き合っている二人の人物が横から描かれています。
「ひとり」という題名からも、人間の存在そのものを描こうとしているようです。
第2章 赤い空の下で 1954-1960
赤い地色の風景と人物が描かれている時期です。
人物の姿は抽象化されていきます。
「赤い空」 1956年

赤黒い空に浮かぶ赤黒い太陽からは光線が出ています。
建物や煙突も見えます。
左側には正面を向いた、右側には横向きの人物が見えます。
人物はがっしりとした足先をしています。
麻生三郎は、「正面か横を向いた人物を描いている。斜めの人物は弱くなる。
柱のような人物を描きたい。」と述べています。
第3章 内と外の軋(きし)み 1961-1994
対象が分解を始め、背景と見分けが付かなくなってきます。
ほとんど抽象画に近くなっています。
「ある群像 3」 1970年

よく観ると、人体の部分らしいものが見えます。
絵の中心近くには大きな目が描かれています。
「りょうはしの人」 1992年

左右に一人づつ、真中に二人の人物がうっすらと浮かんでいます。
真中のうちの一人は向こう向き、三人は正面を向いているように見えます。
人間の存在とは何か問いかけているようです。
「月島」 1959年 素描

東京、中央区の月島の工場風景です。
麻生三郎は近くの鉄砲洲の生まれです。
麻生三郎の素描は、描線に感情がこもっています。
11月28日までの展示です。
ともかく、重く、妥協の無い作品ばかりでした。
通して作品を観てくると、徐々に画風は変化していますが、その方向性は
一貫していて、揺るぎがありません。
描くということを一途に追求していったことがよく分かります。
展覧会のHPです。
chariot
竹橋の東京国立近代美術館では、「麻生三郎展」が開かれています。
期間は12月19日(日)までです。

その後、2011年1月5日から2月20日まで京都国立近代美術館に、
4月29日から6月12日まで愛知県美術館に巡回します。
麻生三郎(1913-2000)の油彩約70点と素描約60点が展示されています。
素描の一部は11月28日までの前期と11月30日からの後期で展示替えがあります。
作風の変化に従って、以下の3つの章に分けられています。
第1章 闇の中で光を見つめる 1934-1953
第2章 赤い空の下で 1954-1960
第3章 内と外の軋(きし)み 1961-1994
第1章 闇の中で光を見つめる 1934-1953
自画像や家族を多く描いている時期です。
ごく初期を除けば、麻生三郎の絵は暗く沈んだ色調です。
その暗さの中に浮かび上がるものを描こうとしているようです。
「自画像」 1937年

気迫のある自画像です。
黒目にも赤色を散らしています。
赤色を効果的に使ってアクセントを付けるのは初期からの特徴です。
「男」 1940年

黒い背景の前に、赤いチョッキの男が皿の物を口にしています。
手が大きく描かれています。
食べるという行為の中に人間の本質を見ています。
「うつぶせ(うずくまる女)」 1943年

戦時中の作品で、青ざめた顔の女性がうたた寝をしています。
徐々に人物と背景との境が消えていきます。
腕がたくましく描かれています。
手足を大きく描くのも麻生三郎の特徴です。
「ひとり」 1951年
パンフレットに使われている作品です。
抱き合っている二人の人物が横から描かれています。
「ひとり」という題名からも、人間の存在そのものを描こうとしているようです。
第2章 赤い空の下で 1954-1960
赤い地色の風景と人物が描かれている時期です。
人物の姿は抽象化されていきます。
「赤い空」 1956年

赤黒い空に浮かぶ赤黒い太陽からは光線が出ています。
建物や煙突も見えます。
左側には正面を向いた、右側には横向きの人物が見えます。
人物はがっしりとした足先をしています。
麻生三郎は、「正面か横を向いた人物を描いている。斜めの人物は弱くなる。
柱のような人物を描きたい。」と述べています。
第3章 内と外の軋(きし)み 1961-1994
対象が分解を始め、背景と見分けが付かなくなってきます。
ほとんど抽象画に近くなっています。
「ある群像 3」 1970年

よく観ると、人体の部分らしいものが見えます。
絵の中心近くには大きな目が描かれています。
「りょうはしの人」 1992年

左右に一人づつ、真中に二人の人物がうっすらと浮かんでいます。
真中のうちの一人は向こう向き、三人は正面を向いているように見えます。
人間の存在とは何か問いかけているようです。
「月島」 1959年 素描

東京、中央区の月島の工場風景です。
麻生三郎は近くの鉄砲洲の生まれです。
麻生三郎の素描は、描線に感情がこもっています。
11月28日までの展示です。
ともかく、重く、妥協の無い作品ばかりでした。
通して作品を観てくると、徐々に画風は変化していますが、その方向性は
一貫していて、揺るぎがありません。
描くということを一途に追求していったことがよく分かります。
展覧会のHPです。
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blog_name=【はろるど・わーど】 ♥ 「麻生三郎展」 東京国立近代美術館
東京国立近代美術館(千代田区北の丸公園3-1)
「麻生三郎展」
11/9-12/19
かつては靉光や松本竣介らと「新人画会」を結成し、その後も「絵画の本質を粘り強く探求し続けてきた」(ちらしより引用)画家、麻生三郎(1913-2000)の業績を回顧します。東京国立近代美術館...
【2011/01/29 06:47】
【2011/01/29 06:47】