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「絵のなかに生きる 中・近世の風俗表現」展 根津美術館
表参道
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表参道の根津美術館ではコレクション展、「絵のなかに生きる中・近世の風俗表現」
が開かれています。
会期は12月23日(木)までです。

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説話絵、物語絵、名所絵、都市図などには色々の風俗の人たちが描かれています。
この展覧会では、やがて風俗そのものを題材にした作品が生まれるまでの作品
約30点を展示しています。

「蛙草紙絵巻」 伝土佐光信 室町時代 16世紀
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貧乏な男が御屋敷の床下に閉じ込められた蛙を掘り出し、呪いの解けた
その家の娘と結ばれるというお話です。
でんと構えた蛙や、逃げ出す子供、恐る恐る覗き込む人、あわてて
駆けつける人の姿がユーモラスです。
縁側には木槌やノコギリも置いてあります。

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「宇治橋図屏風」 二曲一隻 桃山時代 16~17世紀
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宇治川沿いの賑わいです。
画面右下に平等院が見えます。

川向こうの左上には黄檗山万福寺が見えます。
日本にインゲン豆を伝えた隠元禅師の開いたお寺です。

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宇治川名物の水車が回り、川では布を晒しています。
宇治橋には張り出しもあります。

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「洛中洛外図屏風」 八曲一双 江戸時代 17世紀

左隻
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右隻
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左隻には、祇園祭の神輿行列、金閣寺、北野神社、二条城、東寺、嵐山などが
見えます。
二条城には1750年に焼失した天守閣も描き込まれています。

根010


右隻には、東山の清水寺、八坂の塔、方広寺大仏殿、内裏、祇園祭の山鉾巡行
などが見えます。

根011


方広寺は豊臣秀吉の建てた寺で、東大寺大仏殿より大きな大仏殿は1798年に
焼失するまで京の名所だったということです。
右側の赤い柱の大きな建物です。

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天皇、足利、豊臣、徳川といった、時々の権力者の象徴を一つの画面に
納めているのが、洛中洛外図の面白さです。

「傘張り・虚無僧図」 岩佐又兵衛 江戸時代 17世紀 重要美術品
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尺八を聞いて、子供が喜んで走ってきました。
霞は金泥を混ぜた墨で描いているとのことです。
虚無僧の姿には岩佐又兵衛らしい力強さがあります。

「風俗図」 三幅対 江戸時代 17世紀 重要美術品
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パンフレットに使われている作品です。
中央の遊女を挟んで、左右の色男が意味ありげな視線を送っている三幅対です。

遊女は三味線を持った禿(かむろ)を従え、唐輪髷という髪型を結った、
貫禄のある姿です。
打掛には水車を豪快に描き出し、小袖の柄とも合わせ、裏地の赤も華やかです。
水車は伝説の宇治の橋姫を連想させているのでしょうか。

当時の風俗を描いた絵を観ていると、細かいところにも色々な発見があって、
飽きることがありません。

展覧会のHPです。

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【2010/12/01 06:30】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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