fc2ブログ
「博物館に初もうで」 東京国立博物館
上野
chariot

上野の東京国立博物館で開かれている新年恒例の「博物館に初もうで」に行って
きました。

東001

ト0032

恒例の真生流のいけばなです。
ト0041

館内も新春らしく華やかです。
ト0057

ト0055

今年は本館のリニューアル記念として、所蔵品のうちの名品を選んで特別公開
されています。
期間は1月16日までです。
今までの「平常展」も「総合文化展」に名前が変わります。

ト0053


「古今和歌集(元永本)」 平安時代(12世紀) 国宝
東005

古今和歌集の全巻の揃っている最古の品とのことです。
金銀箔を撒いた優美で豪華な料紙に和歌がかな書きされています。

右から巻第一春歌上四番、二条后の歌で

 ゆきのうちにはるはきにけりうぐひすのこほれるなみだいまやとくらむ

五番 読人不知

 うめがえにきゐるうぐひすはるかけてなけどもいまだゆきはふりつつ

六番 素性法師

 はるたてば花とやみらむしらゆきのかかれるえだにうぐひすぞなく

「佐竹本三十六歌仙絵巻断簡(忠峯)」 鎌倉時代(13世紀) 重要文化財
ト0085

壬生忠峯の歌です。

 はるたつといふはかりにやみよしのの やまもかすみてけさは見ゆらん

「時代不同歌合絵」 鎌倉時代(14世紀) 重要文化財
ト0079
 
時代不同歌合は時代の異なる100人の歌人による歌合です。
承久の乱のため流された隠岐で、後鳥羽上皇により撰ばれています。
歌合絵の人物は白描で描かれていて、小野小町の部分です。

 はなのいろはうつりにけりないたづらにわがみよにふるながめせしまに 

「秋冬山水図」 雪舟等楊 室町時代(15世紀末~16世紀初) 国宝
東002

漢画特有のくっきりした描き方で、近くの岩や遠くの山は平面を前後に並べた
ように見えます。

「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代(16世紀) 国宝
東004

狩野永徳晩年の作で、桃山らしい豪快な筆捌きでぐいぐい描いてあります。
元は八条宮家の襖絵ということで、引き手の跡がうっすらと残っています。
お公家さんの雅びとはかなり趣きが異なりますが、この頃は宮家もこのような
画風を喜んだのでしょうか。

「羅浮仙図」 岩佐又兵衛 江戸時代(17世紀) 重要美術品
ト0105

羅浮仙は美女の姿をした梅の精です。
岩佐又兵衛特有の下ぶくれの顔立ちで、すっくと立っています。

「風神雷神図屏風」 尾形光琳 江戸時代(18世紀) 重要文化財
東003
 
俵屋宗達の「風神雷神図」の写しです。
宗達と比べると、構図の取り方がおとなしくまとまっていることが分かります。

「松梅群鶏図屏風」 伊藤若冲 江戸時代(18世紀)
ト0111

鶏の爪先、尾の端まで力がみなぎっています。

「冨嶽三十六景」 葛飾北斎 江戸時代(19世紀)
全46枚のうち、22枚が展示されています。

「東都浅草本願寺」
東006

今の東本願寺派本山の東本願寺から見た正月の富士山です。

「礫川雪ノ旦」
東007

雪の日の礫川(小石川)からの富士の眺めです。
今の春日通りあたりでしょうか。
富士山も麓まで雪を被っています。


1階の12室は漆工、13室は金工・刀剣・陶磁の展示室になります。
現在の展示品は3月13日までです。

「舟橋蒔絵硯箱」 本阿弥光悦 江戸時代(17世紀) 国宝
ト0135

何とも大胆なデザインの硯箱です。
鉛の板で、舟橋の橋板を表しています。
表面に散らされている文字は後撰和歌集の源等の歌です。
「東路の佐野の舟橋かけてのみ思い渡るを知る人ぞなき」を元に、
「東路乃 さ乃ゝ かけて濃三 思 わたる を知人そ なき」と書かれ、
「舟橋」の字を抜いています。

「色絵月梅図茶壺」 野々村仁清 江戸時代(17世紀) 重要文化財
ト0169

ふっくらとした姿で、梅の赤や金泥が白地に映えてあでやかです。

「銹絵山水図水指」 野々村仁清 江戸時代(17世紀)
ト0172

仁清というと華やかな絵柄を思いますが、こちらは落着いた水墨画風です。
関東大震災で壊れたのを修復したそうです。


また本館では、今年の干支(えと)の兎にちなんだ作品が展示されています。
期間は1月30日までです。

「染付双兎図大皿」 伊万里 江戸時代(19世紀)
ト0120

パンフレットに使われています。
一面の水葵の中にレリーフで兎を浮き出させるという、豪華なお皿です。
愛嬌のある表情をしています。

「金茶糸素懸威波頭形兜」 江戸時代(17世紀)
ト0126

波頭をデザインした兜で、両側に立っている物は兎の耳を表しています。
波と兎の組み合わせは一つの様式になっています。

「肩衣 黒麻地波兎牡丹唐草州浜笹模様」 江戸時代(19世紀)
ト0123

狂言の衣装です。
波に図案化された兎の模様と牡丹唐草模様を並べ、州浜に笹を配しています。
こちらも波と兎の組み合わせです。

「兎桔梗図」 俵屋宗達 江戸時代(17世紀)
ト0117

桔梗の咲く野で兎が月を見ています。
柔らかな筆遣いで、兎の見上げる先に月を思わせ、しんみりとした秋の風情が
感じられます。
月と兎もよく見られる構図です。


宣伝にある通り特別展並みの豪華な展示で、とても見応えのある展覧会でした。
私の行ったのは2日でしたが、お昼ごろにはかなりの来館者が詰めかけていました。
関連記事

【2011/01/06 07:05】 美術館・博物館 | トラックバック(3) | コメント(2) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
  • えびさん、こんばんは。
  • コメント有難うございます。

    私は朝一番に行ったおかげで、ゆっくり観ることが出来ました。
    東博の総合文化展(平常展)が撮影自由なのは嬉しいところです。

    リンクの件、了解いたしました。
    よろしくお願いします。

    【2011/01/07 21:21】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • こんにちは。私も同じ日に行きましたが、お昼からだったので、たいへん混みあっていました。そのため、表慶館と法隆寺宝物館をメインに鑑賞したので、こちらで本館の写真をたくさん見せてもらってラッキーです。

    もし、よかったらブログをリンクさせてください。よろしくお願いします。

    【2011/01/07 17:38】 url[えび #-] [ 編集]
    please comment















    管理者にだけ表示を許可する

    trackback
    trackback url ↓
    https://nekoarena.blog.fc2.com/tb.php/893-a60db74e

    blog_name=【はろるど・わーど】 ♥   「博物館に初もうで/リニューアル記念特別公開」 東京国立博物館
     
    東京国立博物館(台東区上野公園13-9) 「博物館に初もうで/リニューアル記念特別公開」 リニューアル記念特別公開:1/2~1/16、初もうで展:1/2~1/30 本館の一部リニューアルオープンを祝し、新年の門出に相応しい名品を展観します。東京国立博物館で開催中の「博物
    【2011/01/29 06:21】

    blog_name=【つまずく石も縁の端くれ】 ♥   博物館に初もうで  東京国立博物館
     
    東京国立博物館本館がリニューアルして、パワーアップしたとのこと。東博ファンとしてはどんな具合に変わったのかと楽しみにしていたのだが、一階の漆器や陶磁器、日本刀などの導線...
    【2011/01/12 05:11】

    blog_name=【弐代目・青い日記帳 】 ♥   「博物館に初もうで」
     
    東京国立博物館で開催中の 「博物館に初もうで」に行って来ました。 東京国立博物館 平常展 本館リニューアル記念 特別公開 例年恒例の「博物館に初もうで」に加え、今年は本館1階工芸展示室の改装を中心とした「本館リニューアル」のお披露目や、これまで用いら...
    【2011/01/07 22:16】

    プロフィール

    chariot

    Author:chariot
    美術館・博物館めぐりとカフェの記事を書いています。

    最近の記事

    最近のコメント

    最近のトラックバック

    カテゴリー

    ブログ内検索

    月別アーカイブ

    リンク

    このブログをリンクに追加する

    RSSフィード


    | ホーム |