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「江~姫たちの戦国~」展 江戸東京博物館
両国
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両国の江戸東京博物館では特別展「江~姫たちの戦国~」が開かれています。
会期は2月20日までです。

江001


今年のNHK大河ドラマがテーマの展覧会です。
ドラマは浅井長政とお市の方の間に生まれた茶々(淀君)、初、江の三姉妹を
江を中心に描いたシリーズです。

展覧会では、浅井三姉妹と周辺の人々の所縁の品々約200点が展示されています。
期間中にかなりの展示替えがあります。

「江消息 常高院宛」 岐阜・栄昌院 江戸時代前期
江が姉の常高院(初)に宛てた手紙です。
「またの御ふみくわしく見まいらせ候」に始まり、常高院の中風を気遣う文言も
あります。
三姉妹は仲が良かったそうで、文面にも親しみが表れています。
かな書きの江の書体はのびやかです。

今回展示されている2通しか江の書状と確定できるものは残っていないそうで、
常高院の侍女たちが維持してきた尼寺に伝わっています。
こちらの書状は1月23日まで、もう1通は1月25日から2月20日までの展示です。

常高院(初)像 江戸時代 福井・常高寺
初は京極高次の正室になっています。
京極家は室町時代の守護大名で近江の領主だった名門です。
1月15日までの展示です。

浅井長政像 天正17年(1589) 和歌山・高野山持明院 重要文化財
江005

口髭を蓄えた貫禄のある姿です。
浅井氏は北近江を支配した戦国大名で、浅井長政はお市の方を妻として織田信長と
同盟を結びます。
ところが、信長が越前の朝倉義景を攻めた時に突然裏切ったため、後に朝倉氏と
共に滅ぼされます。

画像の上に書かれた賛から、長政の十七回忌にあたって描かれた絵姿らしいとの
ことです。
1月25日から2月20日までの展示です。
1月19日までは複製が展示されています。

「浅井長政夫人(市)像」 桃山時代 和歌山・高野山持明院 重要文化財
江006

白い小袖に華やかな赤色の腰巻姿で、経巻らしい物を手にしています。
気品のある姿で、美人の誉れ高かったお市の方を描き出しています。
お市の方の肖像としても、当時の女性の装束の例としても有名な絵です。
1月23日までの展示です。

「朝倉義景像」 天正元年(1573) 福井・心月寺 重要文化財
髷を結い、法衣を着けた姿です。
朝倉義景は天正元年に織田信長に滅ぼされているので、この肖像は供養のために
描かれたのでしょうか。
原本は2月5日から2月20日までの展示です。
2月4日までは複製が展示されています。

「姉川合戦図屏風」 林義親 天保8年(1837) 福井県立歴史博物館
織田徳川軍と浅井朝倉軍による琵琶湖に注ぐ姉川での戦いの場面です。
幕末に近い天保時代の作ですが、講談で有名な朝倉方の真柄十郎左衛門が
馬上で大太刀を振り上げて徳川軍と戦う様も描かれています。

「賤ヶ岳合戦図屏風」 右隻 江戸時代中期 神奈川・馬の博物館
江002

お市の方は浅井家滅亡の後、娘たちを連れて信長の部将、柴田勝家に嫁ぎます。
柴田勝家も信長死後に賤ヶ嶽の戦いで羽柴秀吉に敗れ、福井の北庄城で
お市の方と共に自刃しています。
賤ヶ嶽の戦いでは前田利家の前線からの離脱により勝家の軍勢は総崩れと
なっています。

「柴田勝家像」 桃山~江戸時代 柴田勝次郎
その落城前の姿を描き留めさせたといわれる画像です。
剥落が激しいですが、甲冑姿で、籠手、脛当は着けず、肩をいからせ、
あぐらをかいて座っています。
濃い髭面で髪はぼうぼうとして、猛将の最期にふさわしい姿です。
1月15日までの展示です。

「桐鳳凰文蒔絵唐櫃」 桃山時代 京都・豊国神社 重要文化財
江003

豊臣秀吉の遺品と伝えられています。
大きな唐櫃で、蒔絵も豪華な桃山風です。

「醍醐花見短冊」 慶長3年(1598) 京都・醍醐寺 重要文化財
秀吉が晩年に京都の醍醐寺で催した、「醍醐の花見」の折に参会者の詠んだ
和歌の短冊を集めた冊子です。

秀吉の自筆短冊

 深雪山かへるさをしきけふの暮
  花のおもかけいつか忘れん

「豊臣秀次・一族像」 江戸時代  京都・瑞泉寺
豊臣秀次は豊臣秀吉の甥で、秀吉の後を継いで関白となっています。
秀頼が生まれると秀吉との関係が悪化し、謀反の疑いを掛けられ、ついには
高野山で自害させられています。
この時、秀次の妻妾、子、侍女たち39人も三条河原で斬られています。

秀次を中心にして、秀次に従って自刃した家来たち、犠牲となった妻女たちの
姿を描いた三幅対で、供養のために作られたものと思われます。
それぞれの年齢と辞世の和歌も書かれていて、秀吉の残虐さをまざまざと
見せています。

「江戸図屏風」左隻 江戸時代 国立歴史民俗博物館
江戸城001

江は最初の夫と離別、次の夫と死別後、秀吉の命で徳川家康の三男、秀忠の
正室となります。
そして長男の家光、次男の忠長を産みます。
他に豊臣秀頼の正室の千姫、前田利常の正室の珠姫、松平忠直の正室の勝姫、
後水尾天皇の中宮の和子などの母となります。
松平忠直は大坂夏の陣で淀君や千姫たちのこもる大坂城に最初に攻め込んで
います。

この屏風は江戸時代初期の作で、焼失前の江戸城天守閣も描かれています。
左上には富士山も見えます。
1月15日までの展示で、16日からは複製が展示されます。

「めのう観音像」 江戸時代前期 東京・長善寺(笹寺)
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秀忠、あるいは江の念持仏と伝えられる小さな観音像です。
秀忠の没後、江によって寄進されています。

「崇源院宮殿」 寛永5年(1628)9月15日 東京・祐天寺
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家光は家督を継ぎ、3代将軍となりますが、秀忠と江は可愛がっていた忠長に
継がせたかったとも言われています。
家光の乳母の春日局の家康への直訴により、家光の家督相続が決まったという
ことですが、家光と忠長の間は険悪となり、後に忠長は自害させられています。

崇源院宮殿(くうでん)は高さ2m以上の家形の厨子で、金箔と華やかな彩色で
彩られ、とても精巧な細工が施されています。
現在は東京の祐天寺にありますが、元は忠長の居城の駿府城に置かれていました。
内部を調べたところ、墨書から崇源院(江)の供養のため、忠長が造らせたことが
分かりました。
忠長の増上寺宛の書状によれば、この御霊屋(宮殿)を幕府に無断で造ったため、
増上寺での崇源院の三回忌法要への出席が許されなかったとのことです。
江への思慕の念が忠長の立場を更に悪くしています。


織田、豊臣、徳川関係の遺品が数多く展示され、戦国時代ファンには興味の
尽きない展覧会です。
分かりやすい解説もあちこちに掲示されているので、歴史に詳しくない方でも
楽しめるように工夫されています。

ミュージアムグッズの中に、山口晃さんの描いた、大河ドラマの原作、
田渕久美子著「江-姫たちの戦国」の表紙絵の原画もあります。

江008

こちらは下巻で、晩年の初の姿です。
薄紅色の小袖の模様は浅井家の家紋の三盛亀甲花菱紋のようです。
山口さんらしい遊び心で眼鏡を手にしていますが、表紙絵では眼鏡は消されて
いるそうです。


展覧会のHPです。

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【2011/01/09 07:14】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(0) |
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