目黒・白金台
目黒の東京都庭園美術館では、「20世紀のポスター[タイポグラフィ]-デザインの
ちから・文字のちから」展が開かれています。
会期は3月27日(日)までです。

このポスターの作者は佐藤晃一さんです。
タイポグラフィとは活字などによる文字の表現技法とのことで、この展覧会では
約110点のポスターによる、様々なタイポグラフィを展示しています。
展示は以下の4部で構成されています。
第1部:読む文字から見る文字へ:タイポグラフィの革新(1900~30年代)
第2部:タイポグラフィの国際化:モダンデザインの展開と商業広告の拡大
(1940~50年代)
第3部:躍動する文字と図像:大衆社会とタイポグラフィの連結(1960~70年代)
第4部:電子時代のタイポグラフィ:ポストモダンとDTP革命(1980~90年代)
第1部:読む文字から見る文字へ:タイポグラフィの革新(1900~30年代)
大量生産の時代に入り、ポスターも単純で明快なものになってきます。
構成主義やバウハウスの運動に触発されて、書体も縦横が同じ太さで端に飾りの
付かない、「サンセリフ体」が積極的に用いられるようになります。
エル・リシツキー 「ソヴィエト連邦展」 1929年

ロシア構成主義の作品とのことですが、書体はサンセリフ体です。
フォトモンタージュによる、ピカソのキュビズムのような顔の表現が目を惹きます。
ヤン・チヒョルト 『「構成主義者」展』 1937年

サンセリフ体の文字と図形だけを使ったデザインです。
今の作品といっても通用するモダンさです。
ヤン・チヒョルトはドイツ出身で、特に初期にはサンセリフ体を提唱しています。
第2部:タイポグラフィの国際化:モダンデザインの展開と商業広告の拡大
(1940~50年代)
ナチスの政権獲得とバウハウスの解散の後、デザイナーたちはスイスやアメリカに
移っていきます。
スイスでは、サンセリフ体や画面を格子状に分割するグリッドシステムによる、
国際様式が生まれます。
マックス・フーバー 「モンツァ・グランプリ」 1948年

自動車レースのポスターです。
字まで躍動しています。
マックス・フーバーはスイス出身で、イタリア企業のデザインを多く
手掛けています。
ヨーゼフ・ミュラー=ブロックマン
「ストラヴィンスキー、べルク、フォルトナー」 1955年

コンサートのポスターで、グリッドシステムによる画面構成です。
ヨーゼフ・ミュラー=ブロックマンはスイス出身で、国際様式の代表者です。
亀倉雄策 「ニコンSP」 1957年(1990年再制作版)

様々の形と色でSPの字を強調しています。
ブラッドベリートンプソン 「ウエストヴァーコ社」 1958年
文字や記号を使った顔文字を作っています。
もうこの時代に今と同じような顔文字があったのには驚きました。
第3部:躍動する文字と図像:大衆社会とタイポグラフィの連結(1960~70年代)
アメリカにヒッピー文化が興り、それに影響されたタイポグラフィも現われます。
また、国際様式を硬直的とする反発も起きます。
ミルトン・グレイザー&シーモア・クワスト 「フィルムセンス」 1968年

サイケデリックな賑やかさがあり、整然とした国際様式とは違う感じです。
ミルトン・グレイザーは「I love(ハートマーク) NY」のロゴで有名です。
横尾忠則 「大山デブコの犯罪」1968年
劇団天井桟敷の公演ポスターです。
真中に大きく大入袋の「大入」の字を書いています。
サンセリフ体中心の外国の物に比べ、漢字や仮名を使う日本語のポスターは
いろいろの書体があって変化に富んでいます。
第4部:電子時代のタイポグラフィ:ポストモダンとDTP革命(1980~90年代)
コンピュータ時代を迎え、過去のあらゆるデザイン、モティーフを自由に取り入れて
制作されるようになります。
ポール・ランド 「IBM」 1981年
左から、目(Eye=I)、蜂(Bee=B)、Mを描いてIBMと読ませています。
江戸時代の、鎌の絵(かま)、○(輪=わ)、ぬ、と並べて、かまわぬ(構わぬ)と
読ませたのと同じ趣向です。
シーモア・クワスト 「デザイン・トーク」 1994年

字を並べて人の顔を作り、Gの字から吹き出しでTALKの字を出しています。
マンガとよく似た発想です。
ウッディ・パートル 「Y」 1994年

Xの字をノコギリで切ってYの字にしようとしています。
これは何のポスターだったのかと思ったら、デザイン・サミットのために
アルファベットのAからZまで分担して制作したポスターの1枚でした。
他に、マックス・エルンスト、ベン・シャーン、アンディ・ウォーホルの
作品もあります。
書体以外にも色々の工夫やアイデアが見られて、とても面白い展覧会でした。
私は日頃、パソコンでよくサンセリフ体を使っていますが、この展覧会で初めて
タイポグラフィの歴史の中の位置付けを知りました。
また、展覧会に行って以来、街で見かけるポスターや表示板の字が気になるように
なりました。
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目黒の東京都庭園美術館では、「20世紀のポスター[タイポグラフィ]-デザインの
ちから・文字のちから」展が開かれています。
会期は3月27日(日)までです。

このポスターの作者は佐藤晃一さんです。
タイポグラフィとは活字などによる文字の表現技法とのことで、この展覧会では
約110点のポスターによる、様々なタイポグラフィを展示しています。
展示は以下の4部で構成されています。
第1部:読む文字から見る文字へ:タイポグラフィの革新(1900~30年代)
第2部:タイポグラフィの国際化:モダンデザインの展開と商業広告の拡大
(1940~50年代)
第3部:躍動する文字と図像:大衆社会とタイポグラフィの連結(1960~70年代)
第4部:電子時代のタイポグラフィ:ポストモダンとDTP革命(1980~90年代)
第1部:読む文字から見る文字へ:タイポグラフィの革新(1900~30年代)
大量生産の時代に入り、ポスターも単純で明快なものになってきます。
構成主義やバウハウスの運動に触発されて、書体も縦横が同じ太さで端に飾りの
付かない、「サンセリフ体」が積極的に用いられるようになります。
エル・リシツキー 「ソヴィエト連邦展」 1929年

ロシア構成主義の作品とのことですが、書体はサンセリフ体です。
フォトモンタージュによる、ピカソのキュビズムのような顔の表現が目を惹きます。
ヤン・チヒョルト 『「構成主義者」展』 1937年

サンセリフ体の文字と図形だけを使ったデザインです。
今の作品といっても通用するモダンさです。
ヤン・チヒョルトはドイツ出身で、特に初期にはサンセリフ体を提唱しています。
第2部:タイポグラフィの国際化:モダンデザインの展開と商業広告の拡大
(1940~50年代)
ナチスの政権獲得とバウハウスの解散の後、デザイナーたちはスイスやアメリカに
移っていきます。
スイスでは、サンセリフ体や画面を格子状に分割するグリッドシステムによる、
国際様式が生まれます。
マックス・フーバー 「モンツァ・グランプリ」 1948年

自動車レースのポスターです。
字まで躍動しています。
マックス・フーバーはスイス出身で、イタリア企業のデザインを多く
手掛けています。
ヨーゼフ・ミュラー=ブロックマン
「ストラヴィンスキー、べルク、フォルトナー」 1955年

コンサートのポスターで、グリッドシステムによる画面構成です。
ヨーゼフ・ミュラー=ブロックマンはスイス出身で、国際様式の代表者です。
亀倉雄策 「ニコンSP」 1957年(1990年再制作版)

様々の形と色でSPの字を強調しています。
ブラッドベリートンプソン 「ウエストヴァーコ社」 1958年
文字や記号を使った顔文字を作っています。
もうこの時代に今と同じような顔文字があったのには驚きました。
第3部:躍動する文字と図像:大衆社会とタイポグラフィの連結(1960~70年代)
アメリカにヒッピー文化が興り、それに影響されたタイポグラフィも現われます。
また、国際様式を硬直的とする反発も起きます。
ミルトン・グレイザー&シーモア・クワスト 「フィルムセンス」 1968年

サイケデリックな賑やかさがあり、整然とした国際様式とは違う感じです。
ミルトン・グレイザーは「I love(ハートマーク) NY」のロゴで有名です。
横尾忠則 「大山デブコの犯罪」1968年
劇団天井桟敷の公演ポスターです。
真中に大きく大入袋の「大入」の字を書いています。
サンセリフ体中心の外国の物に比べ、漢字や仮名を使う日本語のポスターは
いろいろの書体があって変化に富んでいます。
第4部:電子時代のタイポグラフィ:ポストモダンとDTP革命(1980~90年代)
コンピュータ時代を迎え、過去のあらゆるデザイン、モティーフを自由に取り入れて
制作されるようになります。
ポール・ランド 「IBM」 1981年
左から、目(Eye=I)、蜂(Bee=B)、Mを描いてIBMと読ませています。
江戸時代の、鎌の絵(かま)、○(輪=わ)、ぬ、と並べて、かまわぬ(構わぬ)と
読ませたのと同じ趣向です。
シーモア・クワスト 「デザイン・トーク」 1994年

字を並べて人の顔を作り、Gの字から吹き出しでTALKの字を出しています。
マンガとよく似た発想です。
ウッディ・パートル 「Y」 1994年

Xの字をノコギリで切ってYの字にしようとしています。
これは何のポスターだったのかと思ったら、デザイン・サミットのために
アルファベットのAからZまで分担して制作したポスターの1枚でした。
他に、マックス・エルンスト、ベン・シャーン、アンディ・ウォーホルの
作品もあります。
書体以外にも色々の工夫やアイデアが見られて、とても面白い展覧会でした。
私は日頃、パソコンでよくサンセリフ体を使っていますが、この展覧会で初めて
タイポグラフィの歴史の中の位置付けを知りました。
また、展覧会に行って以来、街で見かけるポスターや表示板の字が気になるように
なりました。
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私も先日行ってきました。
110点もポスターが展示されていたのですね。どれもサイズが大きいから、そんなにたくさあるように見えませんでした。
110点もポスターが展示されていたのですね。どれもサイズが大きいから、そんなにたくさあるように見えませんでした。
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東京都庭園美術館(港区白金台5-21-9)
「20世紀のポスター タイポグラフィ - デザインのちから・文字のちから」
1/29-3/27
古今東西、20世紀のポスターを華やかに彩った文字のデザイン、「タイポグラフィ」の世界を紹介します。東京都庭園美術館で開催中の「20世紀の...
【2011/02/20 20:32】
【2011/02/20 20:32】
blog_name=【弐代目・青い日記帳 】 ♥ 「20世紀のポスター[タイポグラフィ]」展
東京都庭園美術館で開催中の
「20世紀のポスター[タイポグラフィ] ―デザインのちから・文字のちから―」展にお邪魔して来ました。
アールデコ様式の粋を尽くした旧朝香宮邸にタイポグラフィ(文字による表現)のポスターが理路整然と展示されている様は、いつも
【2011/02/15 22:09】
【2011/02/15 22:09】
ヤン・チヒョルトの1937年のポスターが今とほとんど変わらないのには驚きました。
漢字を生かした和風のポスターも面白いと思いました。