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「シュルレアリスム展-パリ、ポンピドゥーセンター 所蔵作品による」 六本木 国立新美術館
乃木坂
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六本木の国立新美術館では、「シュルレアリスム展-パリ、ポンピドゥーセンター
所蔵作品による」が開かれています。
会期は5月9日(日)までです。

シ001


シュルレアリスムは1924年に28歳の詩人、アンドレ・ブルトンの行なった
「シュルレアリスム宣言」により始まった芸術運動です。

今回の展覧会ではパリのポンピドゥーの所蔵する絵画、彫刻、写真、映画など
約170点と、本や雑誌などの資料が展示されています。

ジョルジョ・デ・キリコ 「ギヨーム・アポリネールの予兆的肖像」 1914年
シ005

不安定な空間、石膏像、濃い影が、静謐でありながら不安げな雰囲気を
つくりだしています。
キリコの作品をいち早く評価した詩人のアポリネールにこの作品は贈られた
とのことです。
ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)はギリシャ生まれのイタリア人で、
形而上絵画の創始者としてシュルレアリスムに大きな影響を与えています。

ルネ・マグリット 「秘密の分身」 1927年
シ003

描かれた人物の顔を剥ぎ取って、横に貼り付けたような画面です。
人物の内側は木の洞のようで、鈴がたくさんぶら下がっています。
解説によれば鈴はカーニヴァルの道化を暗示しているかもしれないとのことです。
ルネ・マグリット(1898-1967)はシュルレアリスムを代表するベルギーの画家で、
キリコの作品を観て、自分の気持ちを表せる絵画のあることを発見し、
シュルレアリスムの作品を描くようになったということです。

ルネ・マグリット 「赤いモデル」 1935年
シ009

ブーツの先がいつの間にか足に変身しています。
マグリットのシュルレアリスムには日常の見慣れた風景が変容するという、
分かりやすさがあります。

イヴ・タンギー 「岩の窓のある宮殿」 1942年
シ002

不穏な気配の空間に濃い影を落として雑多なかけらが集まっているという、
タンギー独特の世界です。
物体は人間の形をしているようにも見えます。
キリコの絵に触発されて絵を描き始めたとのことで、空間や影にキリコの影響が
感じられます。
イヴ・タンギー(1900-1955)はフランス出身で、第二次大戦のためアメリカに
移住しており、この作品は米国で描かれています。

マックス・エルンスト 「ユビュ皇帝」 1923年
シ006

「ユビュ王」は1896年初演のフランスの戯曲です。
ユビュ親爺が王位を奪うものの、攻撃されて逃げ出すという粗筋の不条理劇で、
観客に大きな衝撃を与え、ルオーも続編の形で連作を描いています。
この作品は赤、青、黄、緑の派手な色で描かれ、ユビュは尊大に構えていますが、
コマのような不安定な姿をしています。
マックス・エルンスト(1891-1976)はドイツ出身で、コラージュや
フロッタージュなどさまざまな技法を用いています。

マックス・エルンスト 「三本の糸杉」 1951年
シ008

マックス・エルンストもキリコの影響を受けているとのことで、この作品も
左側の図形のような画面などはキリコ風です。
この3本は何を表しているのだろと思って観ていたら、「朝と昼と晩だ。」と
言っているお客さんがいました。
確かに右側の木の周りには星座のような物が描かれています。
マックス・エルンストも1941年にアメリカに渡っていて、この作品もアメリカで
描かれています。

ヴィクトル・ブローネル 「傷ついた主体性のトーテムII」 1948年
シ011

ヴィクトル・ブローネル(1903-1966)はルーマニア出身です。
ブローネルは「創造の源泉は不安にある。」と述べているそうです。
何点か展示されていますが、1930年代の作品にはキリコのような絵もあり、
作風は変化しています。

サルバドール・ダリ 「不可視のライオン、馬、眠る女」 1930年
シ010

どう捉えてよいか分からない不思議な風景が克明に描かれています。
古代の遺跡で幻想を視ているようで、強い光にスペインを感じます。
(1904-1989)はシュルレアリスムを代表するスペインの画家で、
シュルレアリスムというとマグリットやダリを思い出します。

アンドレ・マッソン 「迷宮」 1938年
シ007

ギリシャ神話に出てくる、クレタ島の迷宮に閉じ込められていたという、
牛の頭をした怪獣ミノタウルスの姿です。
アンドレ・マッソン(1896 -1987)はフランス生まれ、ベルギー育ちで、
初期にはキュビズムの作品を描いていました。
その後シュルレアリスムに進み、この頃は凶暴ともいえる作風になっています。
アンドレ・マッソンも第二次大戦のためアメリカに渡り、戦後フランスに
戻っています。

ポール・デルヴォー 「アクロポリス」 1966年
月の夜、女性たちが灯火を手にしずしずと神殿への階段を上り、
手前のベッドの上には全裸の女性がいます。
静寂で神秘的な世界です。
ポール・デルヴォー(1897-1994)はベルギーの画家で、キリコに
強い影響を受けています。

ジョアン・ミロ 「シエスタ」 1925年
シ004

明るい青色の広がる、伸び伸びとした画面で、時計針や文字盤の12という
数字も見えます。
ダリやマグリットの写実を基本にした作品と比べると平面的で、何か蒸留
されたような爽快さがあります。
ジョアン・ミロ(1893-1983)はダリと同じくカタルーニャ出身で、
ダリと同じようにパリでシュルレアリスムの運動に参加していますが、
作風は他の画家とかなり違います。

アルベルト・ジャコメッティ 「テーブル」 1933/1969年
シ012

違う形の足をしたテーブルに女性の胸像や手が載ったブロンズ像です。
他にも面白い形をした、ジャコメッティのシュルレアリスムの作品が何点か
展示されています。
ブロンズという素材のせいか、私にはシュルレアリスムの持つ不安感よりも
堅固さが感じられます。
アルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)はスイス出身で、棒のように細い
人物の彫刻で有名ですが、シュルレアリスムの作品を制作していた時期もあります。

ジャクソン・ポロック 「月の女が円を切る」 1943年
シ013

明快な赤、青、白の色彩や勢いよく躍るような線にはとても迫力があります。
ジャクソン・ポロック(1912-1956)はアメリカの画家で、絵具を塗らずに
垂らしたり飛び散らしたりするアクション・ペインティングで有名です。
ナチスの迫害と第二次世界大戦によって多くのシュルレアリスムの芸術家たちが
アメリカに逃れ、そこで新しい絵画を生み出します。
ジャクソン・ポロックもその影響を受けた一人ですが、交通事故のため、
44歳で亡くなっています。

一口にシュルレアリスムと言っても、多くの画家の様々な傾向の作品があり、
観ていて興味の尽きない展覧会でした。
特に、ジョルジュ・キリコが多くの画家たちに与えた影響の大きさがよく
分かりました。

展覧会のHPです。

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【2011/02/15 06:56】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(4) |
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コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
  • ケロさん、こんばんは。
  • 私のブログを参考にしていただいて有難うございます。
    シュルレアリスムの絵は自分の物の見方に対する良い刺激になりますね。
    私の好きなキリコの、画面の奥に汽車の描かれた作品もありました。
    ケロさんはどの絵が気に入られるだろうかと思います。

    【2011/02/17 19:30】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • こんばんは。

    遅くなっちゃいました^^;

    シュルレアリスムって、昔から好きなんですよ。
    なので、開催中に行ってみようかなと。
    いや、開催中に行かないと見れないけど(笑

    いつも、色々な情報ありがとうございます。
    かなり、参考にさせてもらってます♪

    【2011/02/17 00:11】 url[ケロ #5fZIkb1.] [ 編集]
  • kokoさん、こんにちは。
  • コメント有難うございます。
    私も絵画に詳しい訳ではないのですが、自分の勉強と記録のために書いています。
    展覧会もブログの記事にするつもりで観ていると、色々と気付くことも多くて面白いです。

    【2011/02/16 07:10】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • とっても詳しい内容に、私も一緒に鑑賞した気分になります♪

    毎日楽しみにしています!

    【2011/02/16 00:51】 url[koko #jnRiruIs] [ 編集]
    please comment















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     新国立美術館で開催されている『シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―』(~5月15日)に行ってきました。  お馴染みのマックス・エルンストとか、ジョアン・ミロ、ルネ・マグリットといった画家の作品が並んでいましたが、中でも興味を惹い
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